ニュースなスペイン語 Histéresis:履歴現象
Datosmacro.comによると、スペインの失業率(la tasa de desempleo/paro)は、2008年3月に記録した9.5%が最後の1桁台(de un dígito)だった。以降、今日まで2桁台(de dos dígitos)が続いていて、最新の調査では、2020年11月に16.4%までに達した(日本は2.9%)。
より深刻なのが25歳未満の若者の失業率(la tasa de desempleo juvenil)で、スペインは40.9%で、EU平均が17.7%であることを考えると、群を抜いて高い。ギリシア(35.0%)、イタリア(29.5%)と続く。日本は4.8%で、同調査では最下位だった。
そんな中、「履歴現象(histéresis)」という見慣れない用語がスペイン放送協会(Radio Televisión Española)のホームページに登場した(1月30日付け)。
履歴現象とは、「ヒステリシス」とも呼ばれ、「物質の状態が、現在の条件だけでなく、過去の経路の影響を受ける現象(『デジタル大辞泉』)」を指すらしい。
スペイン銀行(el Banco de España)の試算によると、コロナが今すぐ終息して経済が回復したと仮定しても、失業率が回復するのは、最低でも2022年、最悪のシナリオ(el peor escenario)では2023年以降になるという。これが履歴現象だ。積み重なった失業率はそう簡単には戻らない。
ところで、スペインは最新のデータで、新たに3万8118人の感染者、513人の犠牲者を記録した。国内感染者数は274万3119人、犠牲者数は5万8319人。10万人あたりの感染者数は886人で二日連続で微減(una pequeña bajada)に転じた。
ブレーキを踏んでも、加速し過ぎたコロナ重戦車は、すぐには止まらない。疲弊し切った医療現場は、補強しても、すぐに回復するわけではない。履歴現象はコロナにも当てはまる。
写真はRTVEより。コロナの影響で閉店した飲食業のシャッターの張り紙には「お客様へ 皆さん、負けないでください。私たちは負けるわけがありません。飲食業はウイルスではありません。皆さんの自覚が必要です」とある。