7/2 ニュースなスペイン語 Gasto en defensa:防衛費
国内総生産(GDP;PIB)の少なくとも2%を防衛費にあてる――。北大西洋条約機構での「約束(compromiso)」のひとつだ。
スペインはこれまで、防衛費のGDP比率は1.01%でNATO内では3番目に低い。ちなみに日本は約1.24%(推計値)なので、日本に近い水準だった。
このグラフを見る限り、NATO加盟国(países miembros)の目標である、防衛費の対GDP比率2%を達成しているのは、ギリシアをはじめとする上位9カ国にすぎない。アメリカ合衆国(Estados Unidos)やイギリス(Reino Unido)、フランスなどの大国もあるが、かなり、経済的には貧困なイメージの国が並ぶ。
つまり、このグラフは、稼ぎの少ない国が、国内での稼ぎの多くをNATOに当てざるを得ない現実を表している。
ちなみに、スペインより下位には計算上、2カ国あるはずだが、アイスランド(Islandia)は軍隊は持たないので、グラフには載っておらず、武装国であるルクセンブルグ(Luxenburgo)だけが記載されている。
昨日の記事でも紹介したとおり、NATOは今後アフリカのサヘル地域も視野に入れた軍事戦略を展開することなり、ヨーロッパ最南であるスペインは、この南方(flanco sur)戦略に否が応でも巻き込まれることになる。
だから、防衛費の対GDP比率をこれまでの約2倍に引き上げることは、まぁ、当然の結果。国を揚げて、任務に当たれ――ということだ。
しかし、国内の調整は易くない。ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が防衛費の対GDB比率の倍増を表明した際、連立パートナーのポデモス党(Podemos)はいち早く、反対を表明した。
サンチェスは
我々はこの目標を達成しなければならない。国同士の約束、責務であることをご理解いただくつもりだ(Tenemos que cumplir con ese objetivo. Pediré que sea un compromiso de país)
と述べた。
ところで、防衛費対GDP比率が最下位組のスペインがNATO内で肩身が狭いかというと、そういうわけでもない。実は、スペインの拠出している防衛費は、NATO全体の軍事費内に占める割合から見ると、29か国中、上位10位に入っている。
さらに、NATO軍の日常生活を支える「作戦活動予算(presupuesto operativo)」に至っては、第7位番目を誇る。だから、対GDB比率が目標の2%を下回っていても、すぐにつまはじきにされてしまうことはない。しかし、長い目で見た場合(2029年を目途としている)、対GDB比率2%はマスト案件となりそうだ。
写真はカディスのロタ空軍基地に配備されている米軍の駆逐艦(destructor)の内のひとつ「ポーター(Porter )」。ロタ基地にはポーターを含め、現在、4隻の駆逐艦が配備されているが、今回のサミットで、さらに2隻の配備が決まった。なお、駆逐艦の増設は国会での承認が必要だが、ポデモス党は、この増強にも反対している。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20220701/espana-debera-duplicar-su-gasto-defensa-para-cumplir-compromiso-adquirido-otan/2386115.shtml