5/21 ニュースなスペイン語 Llegada masiva(2):大量到達(2)
19日の記事の続報である。
今週の月曜日から、モロッコ(Marruecos)の人々が国境を超え、職を求め、アフリカ大陸のスペイン領セウタ市(Ceuta)に押し寄せた。その数、約8000人。通常、この種の大移動は男性が主だが、今回は女性や未成年も目立った。一同、陸海両路を使い、セウタを目指した。
その後、モロッコは国境を閉鎖し、セウタへの流出は食い止めた。セウタ入りした8000名のモロッコ人の内、5600人はすでに国外退去される手続きが済んでいるようだ。
さて、問題は親を同伴しない未成年(menores no acompañados)の処遇だ。現在、彼らはセウタ市内の保護センター(centro de protección)にいる。そんな中、各自治州は今週の水曜日、こうした未成年の内、200名を受け入れることで政府と合意した。
社会権利大臣(Ministra de Derechos Sociales)、イオネ・ベララ(Ione Belarra)は、各自治州の責任者を緊急に招集し(convocar de urgencia)、「セウタに対して相互に責任を持つ(corresponsabilizarse con Ceuta)」よう求めた。困ったときはお互い様、という精神だ。
マドリード州(Madrid)とバスク州(País Vasco)はいずれもセウタのと「団結(solidaridad)」 を表明した。その上でマドリード州は早く割り当て人数を明らかにするよう政府に求めた。マドリード州は、スペイン経済をけん引しているリーダーとしての矜持からか、困難な時にはいち早く名乗りでて、援助を手を差し出す。その時の決まり文句が「団結」だ。
そして、カタルーニャ州(Cataluña)も受け入れを表明している。
一方、アンダルシア州(Andalucía)はややキナ臭い。今週の水曜日に、極右政党ボックス(Vox)はアンダルシア州政府に対して、もし、未成年の受け入れを決行すれば、連立政権への支持(apoyo)から手を引くと迫った(ha amenazado)。アンダルシア州政府は国民党(PP)と市民党(Ciudadanos)の牙城だ。とは言え、決して安定基盤ではないので、極右政党からの支持とは言え、やはり、無いよりはマシなのだ。今後、どのような舵取りがなされるのか。なお、ボックスの、親を同伴しない未成年たちへの冷遇ぶりは今に始まったことではない(詳しくは4月21日の記事を参照のこと)。
写真はスペイン国営放送(RTVE)より(5.20)。モロッコから来た少年たち、アイマン(左)とリドゥアン(右)。アイマン13歳、リドゥアン14歳。セウタにふたりの親の姿はない。リドゥアンは6人きょうだいの4番目。誰にも声をかけずにモロッコを出た。セウタからは泳いでやって来た。母親に電話をすると、電話口で泣き叫ぶ声が聞こえたと言う。ご飯は食わせてあげるから戻っておいでー。しかし、リドゥアンの決意は固い。食い扶持以外に、職が欲しい。モロッコには戻る気はない。こうした少年たちが推定で800人、セウタには保護されている。