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3/14 ニュースなスペイン語 Se tambalea la moción(2):揺らぐ不信任決議案(2)

昨日からの続報である。

ムルシア州では、10日、市民党(Ciudadanos)とスペイン社会労働党(PSOE)によって、国民党(PP)議会に対する不信任決議案(la moción de censura)が提出された。しかし、市民党から、予期せぬことに、3名の造反議員(disidente, díscolo=写真)が出たため、来週投票が予定されている決議案に暗雲が立ち込めている。3名は党規則(la disciplina de partido)に違反したなどとして、市民党から離党処分を受けた。そして、この3名を囲い込んだのが、国民党のムルシア州知事フェルナンド・ロペス・ミラス(Fernando López Miras)だ。ロペス・ミラスは彼らに役職を付け、州議会に取り込んだ。

ムルシア州議会は45名の議員で構成されている。13日の段階で、不信任決議案に賛成票(en favor)を投じると考えられているのがPSOE党員と市民党員をはじめとする22名。一方、反対票(en contra)を投じると考えられているのが国民党員と造反した市民党員をはじめとする20名。

そして、まだ、態度を保留している(en duda)のが3名いる。この保留組3名が、実は、極右勢力のボックス党(Vox)員なのである。賛成派も反対派も容易には共闘しにくい相手だ。恐らく、ボックス党は協力の見返りに自党の(極右的)政策を州議会に取り込むことを要求してくるだろう。今後の政局の注目点となるかもしれない。

さて、PSOEのご意見番ホセ・ルイス・アバロス(José Luis Ábalos)は、13日に行った党会合で、造反議員をロペス・ミラスが役職を付けて州議会に迎え入れたことに触れ、これを「逃亡者の買収(compra de tránsfugas)」と表現し、痛烈に批判した。また「奴隷の売買(venta de esclavos)」とか「今となっては、ムルシアはまるで暗い部屋で、薄明りの中、人に値札を貼っている(Ahora son despachos oscuros, a media luz, donde se pone precio a las personas)」とも評した。

一方、国民党の秘書官(el secretario)テオドーロ・ガルシア・エヘア(Teodoro García Egea)は「国民党との取り決めに忠実だった3名の議員の方々には感謝申し上げる(Agradecer a estas tres personas que se han mantenido fieles al pacto)」と造反議員を称えた。

既報のとおり、マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)が、10日に、総選挙(5月4日に開催予定)を実施すると宣言したが、実は、現在、マドリード州最高裁(El Tribunal Superior de Justicia de Madrid (TSJM))の判断待ちの状態だ。近日中には総選挙の有無の判断が下されると思われる。

写真はLa opinión de Murcia紙(3.14)より。写真は市民党から離党処分を受けた造反議員。左からバジェス・ミゲレス(Valles Miguélez)、イサベル・フランコ(Isabel Franco)、フランシスコ・アルバレス(Francisco Álvarez)。