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【元徴用工問題】日韓はどのような関係になるのが望ましいだろうか?

 韓国の朴振外相は3月6日午前、日韓間の最大の懸案である元徴用工の訴訟問題について、韓国大法院(最高裁)判決で確定した被告である日本企業の賠償を、韓国の財団が肩代わりする解決策を発表しました。

 解決策は韓国行政安全省の傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が、遅延利子を含む賠償金相当額を原告側に支払う内容です。

 その資金は企業からの「自発的な寄付」でまかなうとされており、被告の日本企業の資金拠出は前提としていません。

深まり続けた相互不信

 みなさんご存知の通り日本は1910〜1945年まで朝鮮半島を植民地支配しました。その間支配者である日本と、被支配者である朝鮮の間でさまざまな出来事(三一独立運動、武断統治、徴用工問題、慰安婦問題、創氏改名、皇民化政策、朝鮮半島の南北分断、在日韓国・朝鮮人)があり、日本の敗戦後も影響をもたらし続けてきました。

日本の支配の象徴だった朝鮮総督府

 とくに朴槿恵元大統領と、安倍政権時に合意それた慰安婦合意では、その後文在寅前大統領のときに空文化され、「最終的で非可逆的」なはずだった合意が反古にされた形になる日本の態度は硬化しました。

 日韓関係はどうしても、このような積年の問題によりマイナス感情が働きやすく、解決が計られては問題提起がおき、両国間の不信感・わだかまりが深まり続けました。

 しかしここで、冷静にみなさんに考えていただきたいのは「日韓の反目を最も喜ぶのは誰か?」という点です。

日韓の反目で一番利益を得るのは誰か?

 緊迫する東アジア情勢で、それは間違いなく中国や北朝鮮です。

 日韓の共通の政治体制である民主主義、その強みでもあり弱みでもある点は、政策が世論に左右されやすいということです。

 お互いの国民がお互いにマイナス感情を抱いていると、国民の支持を得るためにどうしても友好的な政策が取れなくなります。

 アメリカの同盟国である日韓の反目は、東アジアの覇権を握ろうとしている中国にはまたとない好機です。できればこのままずっと、日韓のわだかまりが続くように願っているでしょう。

 韓国の尹大統領は、就任以来複数回にわたり(日本の敗戦の日である光復節や、3.1独立運動の記念日である三一節など)、日本との和解、パートナーとしての重要性を訴えてきました。

尹大統領 "Yoon Suk-yeol in May 2022" by Korea.net is licensed under CC BY-SA 2.0.

 本来であれば、国民の根深い反日感情を利用し、日本との関係改善を先延ばししたほうが政治家としては楽な道のはずです。

 しかし、尹大統領はそれを選ばなかった。もちろんアメリカに日韓関係の改善を迫られているという事情はあるにせよ(アメリカは民主党政権のときほど、日米韓の連携を重視します。日韓慰安婦問題の合意が成されたときも、日韓の連携を促したいアメリカ側の強い働きかけがありました。)

、自国民に繰り返し日本との関係改善の重要性を説明し、元徴用工問題の解決を通し日韓関係の将来を切り開こうとしています。政治家としてのこの真摯な姿勢を、日本も受け止めなければならないのではないでしょうか?

 最近では若い世代の間で特に、互いの国への嫌悪感も減ってきているとされています。

 加速する北朝鮮の核開発、台頭する権威主義国家中国、国際秩序の破壊者ロシアと、東アジアを取り巻く環境は厳しくなる一方です。

 日韓両国は、私たちが最も守るべき「自由・民主主義」という価値観を共有する大切なパートナーです。ぜひ、今後さらに連携を深めていきつつ、多難な東アジア情勢という難局を乗り切っていかなければならないと思っています。


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