【考察】G7広島サミットは果たして有意義だったのか?
広島で5月19-21日まで行われたG7広島サミットが終わりました。
今回のG7サミットは、例年新聞の一面に小さく扱われる扱いから一転、ウクライナのゼレンスキー大統領が急遽訪日し、またG7首脳たちが広島の平和記念公園で献花をするなど、話題性に富むものとなりました。
このG7広島サミット、みなさんもさまざまな感想をお持ちになったことと思います。
そんな中で私は、主に2つの重要な点があったと思います。
G7首脳たちが、広島の平和記念公園で献花。そして原爆資料館へ訪問
まず一つ重要だと思うのは、オバマ元大統領以来7年ぶりに、アメリカの大統領が広島で祈りを捧げたということです。オバマ元大統領は、学生ころから核廃絶に対する思いを持っていました。そして、アメリカでは未だ核兵器の投下を正当だったとみなす意見がある中、勇気を持って、信念を貫くために広島を訪問しました。
そして、現職のアメリカ大統領としては二人目として、バイデン大統領が広島訪問を果たしました。また、今回はアメリカの大統領のみならず、G7の首脳たちや招待国の首脳も広島で献花をしました。
その国の多くは、過去に第二次世界大戦で日本と戦火を交えた国々です。
歴史は、過去は、一度起こってしまったことは、もう二度と変えることはできません。しかし、過去に対立してた国々が、お互いの歴史に向かい合い、和解を果たし、そして将来に対して結束することは、未来の平和に対し非常に意味のあることなのではないかと感じました。
ウクライナのゼレンスキー大統領、G7サミットへ現地参加
そして、もう一点重要だと感じたことは、やはりウクライナのゼレンスキー大統領がG7サミットに現地参加できたことだと思います。
ゼレンスキー大統領は、昨年2月のロシアによるウクライナへの全面侵攻開始以降、戦局がある程度落ち着いてからは、ヨーロッパやアメリカを直接訪問し、首脳たちと会談をしていました。しかし、今回のような西側諸国の首脳たちが一堂に会する場に来たのは、今回が初めてだったと思います。
みなさんご存じのように、国際情勢は常に流動的です。ましてや来年は、ウクライナの最大の支援国であるアメリカで大統領選挙があります。ここで共和党のトランプ氏が再選されるようなことがあると、ウクライナへの支援が細りかねません。
私は、ウクライナとロシアの戦いは、帝国主義と民族自決の戦いと言ってもいいと思います。この戦争は、21世紀中盤を、中国やロシアなどの権威主義国家が、国際秩序を無視して自分たちの思い通りとする世界としてしまうか、私たち西側諸国が自由、民主主義、国際秩序を維持し、人権を尊重する世界を守っていくかのまさに分水嶺になるのだと考えています。
西側諸国が一堂に会し、ゼレンスキー大統領と戦闘機の供与を含めた長期的な支援を約束できたのは、今後の世界のために非常に意味深いことだったと考えています。
日本は、台頭する中国や核開発を続ける北朝鮮、もはやファシズムと言っても過言ではないロシアといった国々に囲まれた東アジアに位置しています。アメリカやヨーロッパ諸国からしたら、衰えたとは言えなお世界第3位の経済大国として、自由や民主主義といった価値観を共有するパートナー国として、その地政学的な重要性は過去になく高まっています。仮に現政権が岸田首相ではなくとも、西側諸国から見た日本の重要性は変わらないでしょう。
しかし、今回ウクライナで激しい戦闘が続く中、唯一の被爆国として、世界で最初に核兵器の惨禍に見舞われた広島で、自由や民主主義を信奉する国々が価値観を共有し、一致結束した姿勢を示すことができた。これは意味深いことだったと思いますし、それらを実現させた岸田首相と関係各位には、類まれな手腕を発揮したのではないかと評価し尊敬したいと思います。