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【政策④】アベノミクスが起こそうとしたインフレについて分かりやすく解説してみる
前回アベノミクスの第一の矢、異次元緩和により日銀が大量に国債を保有しているという話をしました。
国の予算の相当な部分を国債に頼る現状が続く限り、今後も日銀の国債保有量が増加していく可能性が十分にあります。
またすでに日銀が抱えている国債の額は膨大で、発行額の50%以上となっています。
それでは、日銀が国債を大量に保有することは何が問題となるのでしょうか?
日銀が国債を大量に保有することの問題点
日銀が国債を大量に保有することの問題点、それは「利上げ」がしづらくなることです。
本来、中央銀行は国債を大量に保有していません。下図のように、日銀が国債を大量に保有しだしたのは21世紀初頭の金融緩和からです。
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とくに日銀は2013年から、異次元緩和で市中から大量に国債を購入し始めました。日銀が各金融機関から国債を購入し、その代金を各金融機関などの売り手に渡し、それが貸出に回ることで、世の中にたくさんお金を行き渡らせてインフレ期待を高めようとしたのです。しかし、そのお金のうちかなりの額が、各金融機関が日銀に持つ口座(当座預金=各金融機関が日銀に持っている銀行口座のようなもの)に預けられたままとなっています。
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ここまでの上の説明で、え、どういうこと?と思う方が大半でしょう。そこでまず、政府と日銀がアベノミクスによって起こしたかった「インフレ」について説明します。
インフレーションとは?
まず、インフレーションというのは、簡単に言うと物の値段が上がることです。物の値段が上がる理由はいくつかありますが、その一つに、お金の価値が低くなった結果物の値段が高くなるというメカニズムがあります。
例えば、江戸時代に幕府は金貨や銀貨を作って流通させていました。しかし、度重なる天災や浪費によって財政難になった幕府は、貨幣に含まれている金や銀の量を減らして(=貨幣改鋳)、その分多くの貨幣を作って差額で儲けようとしました。しかし、庶民は貨幣の価値が下がったことをちゃんと見抜き、貨幣の価値が低くなった分、同じものを買うのにより多くの貨幣が必要となったのです。これが、具体的なインフレの例の一つです。
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もっと具体的に言うと、例えば今まで米3俵で金貨一枚だったのが、貨幣改鋳により金貨に含まれる金の量が減ってしまったので、米3俵買うのに金貨三枚が必要となってしまった。これは米の値段が上がっているのでインフレです。(幕府は金貨一枚中の金の量を減らしてるので、全体としてたくさんの貨幣を鋳造でき、世の中に出回ってるお金の全体量は増えています。)
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日銀が目指したもの
日銀は異次元緩和で、世の中に出回るお金の全体量を増やそうとしました。民間の銀行が持っている国債を買い上げ、その代金を民間銀行に渡す。そして銀行が余ったお金を個人や企業に貸し出し、世の中に出回るお金の全体量を増やし、インフレを作り出そうとしたのです。
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江戸時代は、金貨に含まれる金の量を減らし、その分多く鋳造することで、結果として世の中に多くの貨幣が出回ることとなりインフレとなりました。
現代のお金はそれ自体に貴金属のような価値はありません。つまり、世の中に出回る量が増えれば(金貨以上に)単純にその分価値が下がり(価値が希薄化し)、インフレを生み出すことができる!と政府や日銀は考えました。そこで日銀は黒田総裁の就任時、2年間で2%のインフレを達成するという目標を掲げ大規模な異次元緩和を開始したのです。
その規模は前任の白川方明総裁の頃の金融緩和とはまさに桁違いの、異次元なものでした。
黒田総裁は2年間で2%の物価上昇を達成するために、マネタリーベースを2年間で2倍にするとし(マネタリーベースに関しては後日またご説明します)、異例の規模で国債の買い入れを開始したのです。また2014年10月からは、約80兆円にのぼる資産買い入れを開始しました。その結果、前掲の表のように、日銀の国債保有残高はみるみる積み上がっていったのです。
では、このようにして日銀が国債を大量に購入した結果どうなったか?を次回ご説明していこうと思います。