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ふるさと納税施策の現実

▶ふるさと納税のウソホント!?

先日、政策提言の顧問をしている自治体からお悩み相談。
「ふるさと納税制度で、問題起こしている複数の自治体が認定取り消し処分受けてるけど、実際どうなの?」
現在、ふるさと納税を実施している自治体で一部の自治体がいわゆる「産地偽装」をしたり、30%と規定されている「返礼品の調達額」の超過、頼んだ返礼品が届かない「業務過誤」、「自治体職員と事業者の癒着」が問題になっている。
私もトータル30ほどの自治体職員と連携しているため、コネクションを駆使して現状取材に入った。結果はそうでしょうね…と思う事ばかり。

▶ふるさと納税制度のいいとこ・だめなとこ

このnoteは自治体職員や地域担い手向けに書いているので、ふるさと納税制度の説明は割愛させていただく。そもそもふるさと納税制度に私は賛成。
人口減で疲弊する地方自治体の税収を、アイデアで全国から集めることができ、そして地方を活性化することができる活力源。地方行政は夢ばっかり掲げても、「財源とその根拠」がない限り絵に描いた餅で終わる。
まずは資金だ。私が思うふるさと納税制度の現場で感じることは下記。

【メリット】
・地方自治体に寄付が集まることで、行政サービスの幅が広がる
・域内の返礼品生産者・事業者に雇用と収益を提供できる
→PR予算も自治体が出してくれ、リピートの際には自分の顧客となりうる
・縁もゆかりもなかった寄付者が、交流から関係へと変わりつながりができる→将来的な観光や移住訴求に役立つ

【デメリット(おかしいと思う点)】
・自分のふるさと・居住地ではない自治体に寄付が流れることで、自分の住んでいる地域の税収が流出し、住民サービスの財源が減る(本末転倒)
→ふるさと納税制度では、自分の住んでいる自治体に寄付はできない
・ふるさとをよくしたい「志」から、「返礼品」目的になってること
・自分の自治体内の特産品がなくても、同一県内の特産品ならOK
→特産品がない自治体には申し訳ないけど。
平等を掲げるなら、出身地域への寄付のみにするとか、返礼品は一律NGにして、応援したい自治体施策にのみ寄付できるようにするとかね。

こういった中で、ふるさと納税施策担当の自治体職員がはまっている罠に関して記述していこうと思う。

▶大手ポータルサイトの巧妙な提案

私も都内のIT企業のはしくれだが、地方自治体の担当職員が見事に煙に巻かれた提案をされて、委託している現状をよく見る。
確かに、ふるさと納税寄付額をアップさせるには、今や大手ポータルを頼ることが必須。それは間違いない。勝手にオリジナルサイトを作っても集客できなければそれこそ無駄使い。でもちょっと待てよ…。

■富める自治体はさらに富みを重ねる

ふるさと納税寄付額から広告PRにかけられる金額は、割合が決まっているため、やみくもに広告出稿はできない。ということは寄付額が多い自治体は、より広告費の幅は広く資金潤沢のため、どうやっても寄付実績の低い自治体は広告PR費が少なくなってしまう。その差は億単位。
通常の民間であれば、新製品に関して多大な広告費を積み増し、認知を広げて市場のパイを取りに行くことは基本中の基本。このままだったら、海産物も、肉も、野菜も、果物も、酒もある寄付額が多い自治体がずーっと有利じゃないかってジレンマが出てきますわな。

■大手ポータルサイトで目立ちたい!

ショッピングサイトでもそうだが、広告掲載するポータル側の意向で、寄付額はいくらでも変わってしまうということ。

・ポータルページ上部で、目立つところにうちの自治体返礼品を載せて欲しい!そうすれば寄付額アップできるんです!
ポータルの広告抽選枠を勝ち取って、一気に寄付額伸ばすように依頼してるんですが、抽選に漏れちゃうんですよー。

よく聞くんですよねー。
こういったことを4つのポータルの「中の人」に聞いてみました。

■お金くれるんだったら、上部掲載も抽選枠も当てますよー

そりゃそうですよね。いいところに掲載してほしけりゃ金を出せ。です。
抽選で当ててほしけりゃ、普段の広告費よこせ。です。
そういうポータルの広告収益モデルです。ポータル側からすれば、認知がない自治体返礼品を掲載するより、載せるだけで売れて、リピートもされ、ますます広告費くれる自治体を特集したほうがいいに決まってる。
でも、ポータルに頼らないといけない現実。
こういった広告ビジネスモデルは普通のショッピングサイトでもトラベルサイトでも常。

■換金性の高いものはNG?

返礼品は換金性の高いものはNG。
でもちょっとまって。大手ポータルは、キャンペーンと称して、寄付額分のポイント付与やクーポン付与を実施し、現金として使用できますが、これってOK?
パチンコの3店方式的に映るんだが。
それがわかってる自治体はポイント分の金額を上乗せして、出品してる自治体多数いますけど。いいんですかね?。
ポータル側もポイントアップや○○マラソンなど熾烈な戦いをしているけど、もはや政策の意義からほど遠いことに自治体が巻き込まれてる現実。
先日ニュースになったキャシュフルのような、現金へと交換すると罰せられるのに、返礼品をメルカリ出品して現金化することは個人ならOKなのか?
けっこうやってますよね。

■カタログショッピングかよ?

総務省は「カタログショッピング的に見せてはだめ…」と指導している。ん?
ポータルはそんなこと守ってるんですかね?過大な広告表示、誇大表示的な訴求を図るキャッチ。「高還元率のお買い得!」なんてランキングはユーザーファーストだけど、ちょい違うのでは。
WEB経由でのふるさと納税が圧倒的ななか、みんな寄付額を集めるためにアイデアで乗り切ろうという意思はすごく分かる。
でも、ちゃんと守ってる自治体がバカを見ませんか?

▶氷山の一角

冒頭に戻って、今問題になっている「職員と事業者の癒着」「産地偽装」「調達額超過」「業務過誤」。聞いてみたら、いっぱいありました。
自治体職員の多忙さを知れば、そんなこと知らなかった、気が付かなかった、委託業者を信じていた。。。ただばれていないだけで、内々で処理したケースが多いけれど、目が届かないとこで、HACCP的に言えば未発生だけどリスクはらんでいる案件は多数です。地元新聞社も、自らトクダネで発信してしまうと市政にマイナスだし、自治体にもひょっとしたら購読者、事業者にも嫌われるってマイナスなため、記者クラブは情報をつかんでいても書けない事情があるんですよーって正直な声を聞いた。ジャーナリズムとは?

先日相談を受けた職員から聞いた話。
関西の自治体で、ある名産牛の偽装があった。隣町のお肉屋さんが「あの店が返礼品出品しているA5ランクの牛肉だけど、あの店が市場でA5ランクを落札したところ10年見たことないぞ!」その密告から、議員に話が行き発覚。すぐに事業者のその商品だけ、非表示に変えたそうだ。
同一県内同一返礼品を可能にしたことで、事業者同士でも不信感がおき(ライバルになるため)密告や通報が自治体には一か月で7~8件寄せられている事実がある。強者は、総務省に直接クレーム入れてる。
県庁職員も、市町村の動向ちゃんと見なきゃと思います。

■寄付額アップは多額な委託費より、アイデアと手間
昨年私が担当した11自治体。すべてにおいて寄付額35%以上アップできた。実績としてオープンになっているので嘘はない。多いところは50%!
じゃあ、知名度が低いブレイクしていない自治他の「下克上」はないのか?

あるんですよ。

多額な委託費をかけずとも、アイデア・企画力、とちょっとした手間でね。
好評であれば次回記述したく思います。


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