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【CASE STUDY BOOK4より 座談会企画02】「希少性を持つ非凡人公務員の座談会-CSB出版委員会」前半

NPO法人自治経営の“実践者による”公民連携事例紹介の書籍「CASE STUDY BOOK4」に掲載されている「希少性を持つ非凡人公務員の座談会-CSB出版委員会」を特別に公開いたします。
座談会の前半では、このCASESTUDYBOOKの編集を行なっているメンバーによる技術を生かした公務員の希少性や委託による問題点についてがトピックになっています。公務員だけでなく、組織に所属する人にとって、ずっと向き合っていくべき共通のテーマですね。

CASE STUDY BOOK4

【対談者】
洞口文人
株式会社L • P • D代表取締役
NPO法人自治経営副理事長 FMアライアンス

有馬毅
須賀川市市民福祉部長寿福祉課 主査
NPO法人自治経営南東北アライアンス
一般社団法人ロジカラ理事

新田裕磨
塩竈市建設部定住促進課
教育員会教育部教育総務課兼務 主査
NPO法人自治経営南東北アライアンス

榊田大輔
佐倉市資産部施設保全課 主任技師
一般社団法人佐倉家家守舎 理事
NPO法人自治経営関東甲信越アライアンス

聞き手
宮本恭嗣
株式会社ENdesign代表取締役社長
さいたま市PPPコーディネーター
(これらの肩書き取材当時のものです)

技術を生かした公務員の希少性

−NPO法人自治経営のケーススタディブック出版委員会に所属しているデザイン能力の高い編集班の皆さんにお話を伺いたいと思います。まずは、自己紹介をお願いします。

(洞口)仙台市役所に建築職として勤務していましたが、1年前に退職して妻が立ち上げた設計事務所に入リ、妻とともに設計やまちづくり、不動産開発など幅広くやっています。大学院では建築を学び、設計事務所に少しだけ勤務し、仙台市に入庁しました。専門はデザインや設計です。市役所時代に、このケーススタディブック出版委員会を立ち上げ、vol.1 • 2 • 3すべての発行をしてきました。Vol.1はデザイン編集できる人がおらず、僕一人でやって、vol. 2は塩竈市の新田さん、vol.3はデザイン編集ができる人を増やしてチームで本を作りました。

(新田) 僕も建築職で塩釜市役所に勤めています。大学院で建築を学び、2011年に塩竃市に入庁しました。東日本大震災直後の採用で、しかも10年ぶりの建築職採用でした。そのため、全体として建築職が少ない中で、20代を過ごしました。洞口さんと比較すると、僕は設計やデザインを諦めて役所に入ったタイプです。市役所だと「建築の人」というだけで、求められることが多いし、また多様であって、色々なことに対応してきました。塩竃市は建築職の人数が少なかったため、自分が目立つことができたかなと思います。入庁して3年目のときに、市美術館の仕事で都市経営プロフェッショナルスクール(以下、プロスクール)の講師である竹内昌義先生と繋がることができ、それがきっかけで「リノベーションまちづくり」に興味を持ちました。すでに、先を走っていた仙台の取り組みに参加したリ、プロスクールを受講したリして、知識を得つつ実践を重ねてきました。今は、断熱やエネルギー関連の事業を仕込みたいなと思っています。

(有馬)私だけ、みなさんと違ってバリバリの事務職です。今は、高齢者福祉の部署にいます。2005年に須賀川市役所に入庁しました。大学は文学部で学び、入庁してからは企画部署、税務部署、まちづくリ部署を経て、まちづくり会社に出向しました。そのときに、プロスクールを受講しました。ケーススタディブックのVol.3のときに、「illustrator(以下、イラレ)を使える人がいたら編集メンバーに入ってほしい」と声をかけられ、携わることになりました。役所の中で建築職でもないのに、イラレを使っているのは珍しい人ですかね。もともとデザインに興味があって、大学のとき自作でウェブページを作ったりしていて、イラレを使えるようになりました。イラレを使えると、資料作りで周りと差が出て、周囲からの見る目が違います。ワードで作るにしても、他の人との見る目が違ってくると思います。

(洞口)有馬さんは、事務屋の中の事務屋なのに、須賀川でマルシェを何回もやっていますよね?

(有馬) 60回はやっていると思います。

(洞口)マルチプレーヤーもいいところ。
−事務職ならではの振れ幅ですね。続いて、榊田さん、お願いします。

(榊田)私も大学院で建築を学んでいました。学生時代は、就職先の選択肢には、公務員は全くなく、建築家になることだけを考えてました。大手の建築事務所に就職して、ミッカン本社ビル・新宿マルイ本館、須賀川市民交流センター(基本設計)を担当していました。子どもが生まれたことを機に、佐倉に戻ってくることにしました。当初は独立して設計事務所も立ち上げようかと考えていたんですが、妻に「独立したい」と言ったら、「離婚するか?公務員になるか?」と選択を迫られ、公務員を選択しました(笑)。建築職として入庁した後に、サンセットヒルズというキャンプ場の木造施設を新築するという話があったため、「自分で設計やリます!」と上司にお願いしで委託せずにやりました。建築職の公務員が、自前でやることができれば、技術力も上がりますし、委託費も削減できます。ちなみに自分の自宅も、大学院の研究室の先輩と一緒に設計しました。その後、プロスクールを受講し、一般社団法人佐倉家守舎を立ち上げて、公務員とまちづくリ会社との兼業をしています。

(洞口)設計・監理を自前でやることで 1,000万円くらい浮かすことができて、都市経営にもインパクトのあることですね。

委託による技術力の低下

−数十年前は、役所はもっと自前でやっていたと思います。なんで委託が多くなってしまったんだろうね。今回のテーマである「公務員の希少性」ですが、みなさんの話を聞いると、自身の希少性を業務に生かすことで、新たな取り組みに広がっているなと思いました。

(有馬) よく公務員は役所の中では歯車の一つと言われます。特に事務職だと、「あなただからできるというのは困る」と言われますね。「あなたしか使えない技術は使わないで」と。そういう意味では、出向して外に出ることでやりたいことができて、スキルが磨けたと思います。

(洞口) そこに歯がゆさがありますよね。「こんなことができます」と言っても「そういうことをやるな」という風潮が役所にあります。異動してくる後任者ができなくなるのは困るという理由ですね。でも技術革新とかで、みんなができることが増える方がいいはずなのに、事務処理を早くやれればいいという風潮になり、人材が画ー的になってしまうという悪循環が発生している。

(有馬)個人のスキルだけに頼るのではなく、システム化するということを役所は考えている。外部に委託することは誰でもできるから、自前設計から委託に移行してきたというのがあるのかもしれません。

−システム化や誰でもできるようにすることは、理解できないことではないですけど、結局、役所も属人的ですよね。システム化しているところもあリますが、全てがシステム化されているわけではなく、担当者の裁量や能力によって、仕事の質が決まっていると思います。

(洞口) 公務員は、能力を測る指標が少ないと思います。民間だと調整力とか企画力とか営業力とか様々な指標があると思います。

次回は、後半!「希少性の高い人材の確保」「技術云々でなく、自分の戦える武器を持つ」について言及していきます。

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