謝辞の書き方 ~世の父母会長さんに贈る~
本来土日更新はお休みの「じぶん実験室」ですが…本日は番外編。
昨日の夜、ツイッターでこんなやり取りがありました。
SNSでちょこちょこお話させてもらっているチーさんのこのつぶやき。
私も一昨年に引き続き、今年も幼稚園の会長をしているので、つい先日、今年の分(笑)の下書きが終わったところ。
一応短期間で2回書いているので、リプしながらその苦労に共感していたら…
なんと、リクエストを頂きました!(笑)
謝辞の書き方…ううむ、確かに。
一般的なお作法は検索するとたくさん出ているけれど、経験者は語る、的な形でお伝えするのもありなのかも…。
そこで、今回は「じぶん実験室・番外編」。悩める世の父母の会長さんに贈る、「謝辞の書き方」についてお話したいと思います!
書き始める前に――
さて、「謝辞=文章作らなきゃ!」というのが最大の悩みではありますが…書き始める前にまず確認しておきたいことがいくつか。
1.所要時間は?
先生に、「だいたい何分くらいの文章を用意すればいいか?」を聞いてみましょう。
厳格にタイムテーブルが決まっている場合もあるかもしれませんし、決まっていなくとも大体の目安があるかもしれません。
私が通う園では、過去の原稿をお借りできるので、それを朗読して過去の時間を割り出してみたりもしました。
あるサイトには、「800~1000字程度でまとめて」とありますが、これはかなりサラリとした文章にならざるを得ないかと…。
その年、あるいは園ならではのエピソードを入れるとなると、
もう少し長い方が個人的にはいいと思います。
ちなみに私の場合、前回も今回も本文は1500文字前後です。
2.来賓は列席するのか?
コロナ禍で、人数を絞っての式典を開催することも多いもの。
――定型文中でこんな文章がよくありますが、当日「来賓がいない!」と知ると、緊張状態では動揺の原因にも。
先生に「今年はどうなりそうか?」、予め確認してみましょう。来賓はいない、と分かっていれば、予め該当部分の文章を割愛することもできますね。
3.手書き?印刷??
謝辞=筆ペンでさらさらと…というイメージですが、最近は印刷するケースも増えているよう。どちらにするかは、園の価値観や前例によって判断が変わってくるかと思います。
過去原稿を見たり、先生に聞いたりしてみるとよいですが、園の雰囲気等によって「そのどちらも難しい」のであれば、手書きが無難かもしれません…。
なお、手書きの場合は罫線入りの用紙。印刷の場合は罫線なしの用紙が断然オススメ。
また、用紙は多めに買っておくのが安心です。
長い文章の場合、用紙を貼って延長が可能
誤字があった場合、予備用紙で切り貼りできる
致命的なミスの場合も書き直せる
わたしは手書き派なので、この用紙を前回も今回も2組購入しました。
ギリギリになって「用紙が足りない!」となっても、品切れだったり、近所で同じものが見つからないというケースもあるので、早めに手配しておいた方が安心です。
文章を考える
構成
さて、いよいよ最大の難関、文章ですが…。
多くのサイトで既に紹介されている通り、以下が大まかな流れでしょう。
時候の挨拶
式への感謝
自己紹介(僭越ながら~ってやつですね)
感謝と絡めながらエピソードや思い出
子どもたちの今後に思いを馳せて…
〆
(2と3は順番が入れ替わることも)
それぞれの例文などは既に多くあるサイトにお任せすることにして、以下では短期間で2回謝辞を書いた立場(笑)という目線からの文章の膨らませ方のヒントなどをお話したいと思います。
ヒント1:時候の挨拶は定型文で問題なし
冒頭の時候の挨拶ですが…これはもう、定型文コピペで問題はないと思います。
だって、みんなこれが「お作法上の形式的なもの」って知っていますもの。
ここでパワーを割いて、オリジナリティを出したところで、正直誰も覚えていません。時間を使わず、ふさわしいと思われるものを潔くコピペしてしまいましょう。
ヒント2:3年間すべてを綺麗になぞらなくてOK
多くの幼稚園は「3年保育」が一般的だと思いますが、時系列にそれぞれの学年に言及すると「冗長になる」か「薄っぺらくなる」かになりがちかと。
3年間を編集視点で眺め、「子供たちの成長のコントラストが大きく描ける」「園の特色が鮮やかに描ける」時期やイベントをピックアップするのがオススメです。
そうすると、どうしても「心許ない年少⇔頼もしくなった年長」となりがちで、年中学年が薄っぺらくなり当時の担任の先生に申し訳ない…とも思いにさいなまれるかもしれません。そんなときは「3年間の担任の先生方が日々注いでくださった愛情あってこそ」というニュアンスをどこかに盛り込めば大丈夫です。
ヒント3:個人的な思い出に終始しない
書き手は会長と同時に、保護者でもあるので、手っ取り早いのは我が子のエピソードですが…共感をえにくく、時には反感すら買うことも。
(がんばって書いているのですが…それが現実)
――となると、みんなが共通して印象に残っている大きなイベントなどをモチーフに取り上げると保護者にとっても子供たちにとってもわかりやすいでしょう。
また、具体的な先生とのやり取りやエピソードについては、「我が子のもの」より「ママ友との会話で聞いたこと」を一般化して使うのがいいと思います。そういうエピソードを集めることで「誰かが言われた」という事象ではなく、「そういう言葉をかけてくれる園」という「雰囲気や保育方針」に昇華しやすいと思います。
(個人情報やプライバシーの問題には触れないようにご注意を!)
ヒント4:天気やハプニングで「その年ならでは」を引き出す
ヒント3で「大きなイベント」を取り上げて…とお話しましたが、そうすると「結局毎年代り映えしない話になるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、「その年ならでは感」を出すのにぜひ思い出してほしいのが、「天気」や「ハプニング」。
例えば雨だったら、「子どもたちの不安」という感情にかけ合わせることもできますし、悪天候の中で頑張った行事があれば「子どもたちの逞しさ」と対比させてもいいですよね。
また近年コロナ禍で形式を大きく変えた行事も多いと思いますが、「どう変更するか?」に園の姿勢や価値観が滲み出るので、それに対する感謝や、そこで見えた発見に言及してもいいでしょう。また、そんな場を子どもたちがどう楽しんでいたか?というのも、オリジナリティにつなげられるはずです!
書きあがったら
書きあがったら、当日と同じペースを意識して、必ず声に出して読んでみましょう。
読んでみると、意外といろいろな発見があります。
一文が長い
実際に朗読したときに、ブレスや区切りどころがわからない文章があれば、文章が長い可能性も。聞き手側にもすんなり頭に入らない文章の可能性が高いです。くどい
思い入れのあるエピソードだから…と盛り込んでも、ともすると「入れ込む」ことが目的となり、唐突感や重複感がある場合が。「伝えたいこと」に立ち返った時に、本当に必要でなければ、思い切って削除するというのも手です。思いがあると躊躇する気持ちもわかりますが…思い出が消えるわけではないので大丈夫!カタカナ、漢字のバランス
書き言葉と話し言葉は違います。書いたときはわかりやすく適切に思えても、口に出すと雰囲気が全く違う場合が少なくありません。熟語を別の表現に置き換える、カタカナ言葉を日本語に置き換えるなどするだけで、文章の雰囲気がガラリとかわることも。
実は一番大事なこと
…と、いろいろ(一見)小手先のことを書いてしまいましたが、個人的に一番大切にすべき起点は「何を伝えたいか」ということだと思います。
そういうとまた身構えてしまうかもしれませんが…きっと会長さんをやっていると、園とのつながりも濃い分、「ここに対して本当に感謝を伝えたい」というポイントが実は見えているはず。
具体的な例でいうと、私の場合はこんな感じ。
一昨年: 園児一人一人の「らしさ」に徹底的に向き合う園のすばらしさ
今年: 「いま子どもたちに対してできることは何か」を見つめた先生方の愛情
みなさんにシェアするために書いているものでもないので、あまりつまびらかにできない(し、したくもない(笑))というのがあるので詳しくは書きませんが…
一昨年は園の「自由保育」だからこそのご苦労や愛情のかけ方への感謝。
今年は「コロナ禍で見えた、子どものために工夫と苦労をいとわない先生」への感謝。
どちらも、「この園ならでは」「この年ならでは」の話になっているかと思います。
どう書くか?の前に、純粋に「この園でよかった!」と思えたのはなぜか?会長を務めたからこそ見えた「知らなかったすばらしさ」がどこにあるのか?
そんなことにまず思いを馳せてみると、心からの感謝が湧き出てきて、書き始めの取っ掛かりがつかみやすいかと思います。
おしまいに
ここまでで、何かご参考になったことが少しでもあればよいのですが…。
何はともあれ、忘れていただきたくないのは、あなた自身もは会長である前に、一保護者でもある、ということ。
その子にとって一生に一度の卒園式なのに、「みんなの反応は?」「うまく読めるかしら…」と謝辞にばかり気を取られているなんてもったいない!!!
みんなお金を払ってあなたのスピーチを聞きに来ているわけでもありません(笑)。
大切なのは気持ち。「みなさんの感謝を代表として伝えさせてもらいますね」という謙虚さと、それ引き受ける立場にあることをむしろありがたく思い、その上で心を込めて伝えればもうそれで立派に役目を果たしたことになるはず。
そして聞く側の方々は、心を砕き、時間を割いてその場に立っている代表の方を、あたたかく見守ってくださいね。
というわけで……今年の式典も、もう間もなく。
子どもたちにとって、そしておうちの方々にとって。素晴らしい旅立ちの場になりますように。