自分も他人も知らない、自分の良いところ
保育園のお迎えに行こうと玄関から出たところで
女性に声を掛けられた。
聞けば我が家の花壇やプランターの花が綺麗で、
いつも楽しませていただいています、
とのことだった。
どんな人が育てているのだろう、
いつかプレゼントでも玄関に置きたいと思っていた
と言う。
ハイビスカスも去年綺麗でしたね、
クリスマスローズもこんなに綺麗で
何かこつでもあるのですか?
思いがけず、私よりずっと年配の
美しい女性にお誉め頂いて私は天にも登る気持ちだった。
毒親育ちにありがちな誉められ下手。
以前の記事にも書いたが、
それは意識的に止めている。
へらへらと、いやーそんなことないですし、
こんな◯◯(出来る限りのネガティブ)もあって、
等と聞かれてもいないことを話すことは止めている。
気持ち的にはそっちが勝るし、
特に今回のような不意打ちではそれが出そうになる。
でも『ありがとうございます』と素直に、
その方に失礼にならないように、
しっかりと受け止める。
『励みになります。ありがとうございます。』
数分2人で花について話をした。
素敵な時間だった。
私にとってクリスマスローズは
植えた時だけ白くて今は葉と同様の色で嫌だなぁ
シクラメンも枯れぎみだなぁと思っていたところに
この女性は綺麗だと言う。
私にとって大木になりつつあるアカシアが自慢だが
それは見えていないようだ。
自分が良いと思っていないものを認めてくれる。
先日仕事で知り合って仲良くしていた年上の女性に
偶然会った。
今が一番仕事で辛く苦しいという。
プロジェクトリーダーに抜擢されたのに
自分には出来るわけがなく、メンバーは反抗的で、
外部からも何故そのメンバーにその業務をさせるのか等、やいのやいの言われるのだと言う。
私は何故かその時、幼稚園の時の、
おじさんの話を思い出した。
私が年長の時、
父の転勤話が出て、母が父についていくか、
祖父母とともに実家に残るかと選択に迫られた。
何故か父の先輩という人まで実家に来て、
相談会となった。
その先輩が、6歳の私に言った。
紙に◯を書き、
縦と横に、線を引っ張って四分割したその人。
『この1つは自分だけが知ってる自分の良いところ。
もう1つは自分と他人が知ってる自分の良いところ。
もう1つは他人だけが知っている自分の良いところ。
では残りの1つは何だろう』
あのおじさんはきっと、
私が普通には育っていないことを気づいたのだろう。
その話はおじさんと私だけが窓際でしていたし
他の家族も兄も聞いていない。
大人に混じって、家に残れ、出ていく、
という家族の分断の会話に入れられている私を
きっと心配してくれたに違いない。
『残りはね、自分も他人も知らない、
自分の良いところだよ。
ここをこれから探していくのが人生だよ。』
私はその女の先輩に、この話をした。
昨年人事異動があったとき、
私は肩叩きにあったのだと思った。
会社の中心のような戦力部隊になり
出来ませんと辞めてくれるのを期待されているのでは
丸1日塞ぎこんだ。
ネガティブ、自己憐憫にも程がある。
しっかりと他人と境界線をひいて
他人と自分は違うことを理解しなければ。
私が良いと思うものだけが受け入れられるのではない。
私が気づいていない自分の良さ、もあるはずだ。
しかもそれは人によって様々だ。
自分にも、他人にも、
いまだ分からない私の良さ、可能性。
まだまだ人生は続く。
兄の分まで見つける旅に出る。
我が家の花壇を植え替えていると
時々ご高齢の女性に声をかけてもらうことが多い。
いつも綺麗にして偉いわね、
通るのが楽しみなのよ、
そう話してくださる女性たちの優しさ。勇気。
今日の女性も我が家の先の
娘さんの家に行く途中という。
その途中に花を愛でて、知らぬ
私を誉めてくれる美しい女性。
きっとお嬢さんとの仲もとても良いのだろう。
兄の死を境に、
私は花壇やプランターを花でいっぱいにした。
自分のために生気をもらい続けていた私だったが
こうやって誰かの気持ちの安らぎに貢献出来ている。
捨てたもんじゃない。
間もなく祖母の好きだったクロッカスが咲く。
庭をクロッカスで埋め尽くしていた祖母。
白、紫、黄色、ミックス、白い縞が入ったもの。
活けた花を捨てる時は、
いつも花専用のお墓が庭にあって手を合わせていた。
祖母に教えてもらった花の素晴らしさ。
あの頃何とも思っていなかったのに
今頃祖母を思い出す。
おじさんの話だって、
きっと我が子の勉強で、◯を4人で分ける、
8人で分ける等やっていたので
記憶が引っ張られたに違いない。
幼い私にも
虐待以外の良い記憶もたくさんあったようだ。
夫の母も近所で花屋敷と呼ばれるほど
プランターや花壇で花を楽しんでいたらしい。
それもあって夫も喜んでくれて
花の調達に遠出するのも楽しんでくれているし
掘り起こした時に手のひらくらいのカエルが
冬眠して悲鳴をあげた私のところに飛んできて
カエルをどこかに運んでいってくれる。
我が子にも季節の花を教える
よい機会になっているし、
毎朝保育園に向かう前に花の咲き具合を伝え合う
素敵な時間を持てている。
もうすぐ春だ。
腕のなる季節が迫っている。
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