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「いまだ最高峰のマンガ」

私かなりの漫画を読んできて、ランキングも作成しています。
何度も作り替えて新しい作品などもランキングに入ってきたりして入れ替えするんですが、もうずっと金字塔のように1位から動かない漫画があります。

それは
「あしたのジョー」
です。

あまりにも古い漫画のため、ちょっと引かれる方もいるかもしれませんが、いろんな角度から見ても、やはりこの作品がナンバーワンです。

高森朝雄原作、ちばてつや作画

根性、ど昭和、不良、などあげたらキリがないくらい古い要素満載ですが、それでも
・ストーリー
・漫画から感じる熱量
・没頭感
・数年後も思い出して考えてしまう内容
いずれをとっても深く深く刻まれています。

全般を通して素晴らしいのですが、私が忘れられないシーンが1つあります。

それは東洋太平洋のタイトルをかけて戦う金龍飛戦です。

金龍飛は韓国のボクサー。

南北戦争で父親を亡くすが、その父親を殺してしまったのが幼少期の自分であるという不遇。お腹を極限まですかして、食べ物を奪い合った(後で勘違いだとわかるのだが)兵士を石で叩き殺してしまう。

その子供を不憫に感じてのちのトレーナーが後見人として金を育てていく。

性格無比な試合運び、チョムチョムという相手を倒れて休むことさえ許さない恐ろしい戦法、一定の食べ物しか受け付けない体(減量に苦しむことがない)というボクサー。

矢吹はこの金と戦うことになる。

もちろん、その戦う前までの流れがまた猛烈に色濃いのだが、それがあっての金龍飛戦となるのだが、全てを語るには長すぎるので割愛します。

試合まえに、矢吹は極限の減量と戦って骨と皮のような体になる。直前まではもう唾液も出ない体で下剤を飲み、サウナで失神しながら軽量パス。その後の食事の場面で金と出会う。

そこでの会話で矢吹は精神的に叩きのめされていしまう。相手は戦争で恐ろしい経験をし、減量など、ボクシングなどかわいい、守られたスポーツだと思っている。自分は減量にさえ猛烈な苦しみを得ながら、痩せさらばえた体で戦いを挑む。

「勝てっこねえ」

精神的にそう思ってしまう。

しかし、試合が始まり、ある一定時間が経過した時に、頭に力石の姿が走る。

金は戦争であのような経験をし、そのハングリーにもう勝てない、次元が違うと思い込んでしまったが、違う。
金は最終的に自分の意志で人をころし僅かとはいえ、食べ物にありつけた。
しかし、力石は男との約束のため、戦いのため、自らの尊厳のために、自らの意志で飲まず、そして食べなかった。そしてしんでいった。

そんな男を既に知っていて、目の前で見ていた、そして戦った。
なのに、金に負けては申し訳が立たない。

そういう思いから猛ラッシュをかけて、最後は矢吹の顔面から血が出て、その血をみて金が発作を起こし、そこへパンチを浴びせて終了。となった。

まあ、壮絶、凄まじい描写、ラッシュの時の矢吹のセリフ。全てが今思い出しても鳥肌が出るシーン。
1つの漫画でここまで毛穴から吹き出るようなエネルギーを感じたのはなかなかない。すごいシーンだった。

その後もさまざまな漫画を読んできたけども、あの時の熱量、漫画から感じる感情、それを上回るものに出会っていない。

時代も、作者と原作者の相性も、全てが合致した作品であったと思う。

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