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やはり「教員の働き方改革」の劇的な改善への思い(3)

皆さま、こんにちは!
9月29日(日)以来の投稿になります
長い筆休みとなってしまいました

今回は、「教員の働き方改革」と「教員不足」の問題について私の考えを論じてみます

先ず、議論の整理をします

「教員の働き方改革」「教員不足の問題」「教員の待遇改善」に係る、この間の文科省と財務省の応酬(私には問題の本質をすり替えるパフォーマンスにしかみえません)について、朝日新聞は「財務省の案は「乱暴な議論」、阿部文科相 教員給与めぐって」「財務省vs文科省 公立教員給与で火花 「進まぬ改革」指摘に反論へ」(いずれも「朝日新聞デジタル」2024年11月12日付け配信)との見出しを付けて報じています

来年度予算で、公立学校教員のなり手不足に対処するためとして、教職調整額を今の「基本給の4%」から「基本給の13%」に増やすよう要求した文科省に対して、財務省は、時間外勤務の全国平均が国の目標値を下回れば調整額を段階的に引き上げる案を示しました。数年かけて時間外勤務を平均で月20時間に減らし、教職調整額を今の「基本給の4%」から「基本給の10%」をめざすとしました

文科省が進めてきた働き方改革が効果を上げていない

これが財務省の言い分です
文科省は痛いところを衝かれました
他方、この論点は、財務省自身にブーメランとして戻ってくるのです

そして、(どの口が言うか!と思わず陰口を叩きたくなりますが)文科省から以下の言質が引き出されました(これはとても重要です!)

〇「人も増やさずに、現場の努力だけで業務を減らせというのはあり得ない」(文科省幹部)
〇「教職員定数の改善も行わずに、時間外の在校等時間の縮減を教職調整額の引き上げの条件とすることは乱暴で、必要な教育指導が行われなくなる恐れがある」財務省案は「実現性に乏しく、子どもたちや教師への支援という視点にかける」(阿部文科相 定例会見)
※以上、出典 前出朝日新聞デジタルより引用

そうなんです
私が拙論でずっと主張し続けてきた
問題の抜本的改善
「教職員不足」の改善=「教職員定数」の抜本的改善=「教員の働き方改革」の劇的な改善(時間外勤務の劇的な削減=定時退勤の一般化)
しかないのです

先生方の「働き方改革」の本質的改善には、「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」の改善や財源の確保等、国の「本気の教員の働き方改革改善」施策しかないのです(義務制の初等教育学校・前期中等教育学校にも準じます)

文科省には、本気を出して「教職員定数の改善」を実現するために財務省と闘ってくれることを願います

政府は2026年1月に、いまの「基本給の4%」から1%増やして5%とし、30年度までに段階的に10%にする方針を固めたようです

「教員不足」の問題について、見落とされがちな課題についても触れておきます

私は6年間、大阪府立高等学校の校長職を務めました
最後の三年間は「コロナ禍」の三年間で大変頭を悩まされたのですが、それ以上にしんどかったのが、常勤講師(臨時的任用職員)・非常勤講師(会計年度職員)の先生方を探すことでした

義務制の学校も含めて今、多くの学校園で本来の教員定数を充足していないケースがあります

私が大阪府立箕面高校で校長を勤めていた令和4(2022)年度は、4月1日より有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和、10月1日より産後パパ育休・育児休業制度(改正)の施行もあり、産後パパ育休や男性パートナーの育休を積極的に取るように推奨し、先生方も私の思いに応えてくれましたので、その分もあり、1年間で、5名の常勤講師と11名の非常勤講師の先生方が必要となり、教頭先生にも分担していただき、定年退職した先輩教員を何とか探し当て講師をお願いしました

管理職が非常勤講師の先生を探せなければ、授業を空けることはできないので、現場の先生方が手分けして+αの授業時間を受け持つことになります
「働き方改革」とは全く逆行です

では、制度的にどうすればよいのか、と尋ねられれば
教諭の先生方同様に、待遇改善しかありません

常勤講師の先生に対しては、大阪府では待遇改善は進んでいました
同じ学校に働き続けてくれる(特に、支援学校には多くいらっしゃいます)優秀な常勤講師の先生方が多くおられます
教員になりたくて何度も教員採用テストにチャレンジするも叶わない
そんな先生方も少なくありません
校長は、常勤講師・非常勤講師の先生方も含めて全教員の授業見学・指導助言をします(大阪府の場合は、すべての先生方の授業評価をし、評価票を作成しています)

教員採用試験の公平性・透明性の確保・アカウンタビリティの問題もありますが、教員採用制度として(表に公表して)定められた年月を同一校で常勤講師として勤務している受験生に関しては、校長評価の具申を採用に反映させるようにしてもらえればと切に願います

他方、非常勤講師の先生方への待遇改善は必須事項です
「非常勤講師に係る労働条件明示書」に「業務内容」が明示されていて、そこには「教科の授業(付随する準備や評価を含む。)」と記されていることが多いと思います

「教科の授業(付随する準備や評価を含む。)」という「業務内容」に対して、「付随する準備」の解釈が重要なのです

私は、生徒たちの学力向上・教養の深化・進学対策に資する教材研究や生徒たちへの質問会、補講習等に対しては、「業務内容」と認めてきました

非常勤講師の先生方の報酬は、授業1単位分の報酬×35週分の配当があります
週10時間の授業を持たれていれば、授業1単位分の報酬が年間350週分となるのです

教頭先生と事務長さんが非常勤講師の出勤管理をしますが、私は両者に単位数×35週分の報酬総額を超えないようにしっかり管理してあげてと指示していました

「教科の授業(付随する準備や評価を含む。)」を、授業+考査作問1時間+採点1時間、とされている高校もあるやに聞き及びます
これでは、非常勤講師として勤めようという気にはなりません
生徒たちのために、非常勤講師の先生の確保(先生方のモチベーションも上がる)のために、「付随する準備」の解釈を適正に行い、配当される報酬総額を支給すべく、その上限を超えないような管理を管理職と事務室に求めるように教育委員会はすべきです
もし、教職員人事課の先生がご覧になっていれば即座に点検してみてください

「教員不足」「教員の働き方改革」の問題は裾野が広い


今月25日、文科大臣が、中央教育審議会に、学習指導要領改訂を諮問しました
この問題についても後日論じていきたいと思います

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします

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