「普通のことができない」の裏にある能力を開花させよ
精神・発達障害者の採用は難しい。
それは、リスクマネジメントが難しいから。
一般的にそう思われていることが多い中、JPTで実践するリスクマネジメントを伺った前回の記事。
そこでふと思ったのは、「リスクリスクと言うけれど、精神・発達障害者だからこそ会社に大きな貢献をできることもあるんじゃない?」ということ。
成川さんにふとそんな話をすると、社員の皆さんに関する自慢話がたくさん聞けました。
(執筆:代表取締役社長 成川潤、ミッションパートナー ちひろ)
▼【精神・発達障害者雇用のリスク】インタビュー全シリーズへのリンクはこちら▼
・精神・発達障害者は就職できない? その採用リスクを人事の目線で因数分解する。
・企業が障害者社員に期待するのは、成果ではなく法定雇用率なのか?
・内定承諾率100%の特例子会社が実践する精神・発達障害者雇用のリスク・マネジメントを公開します
・『普通のことができない』の裏にある能力を開花させよ(本記事)
精神・発達障害者の持つ特異な能力
ー精神・発達障害を持つ人って、とがった能力のある方が多い印象があるのですが、どうですか?
(成川)
僕も同じように思っています。
ただ、それは特定の分野で能力がずば抜けて高い人が多い、という意味ではなく、出来ない部分があるから逆説的に尖ってしまう、というケースが多いように思います。
たとえば、普段は問題なく仕事が出来ているのに、ある些細なことをきっかけに過度に不安になったり、体調を崩してパフォーマンスが下がってしまう。
きっかけは人によって異なるのですが、気圧の変化だったり、人混みだったり、ショッキングなニュースを目にすることだったり、友人からの何気ない一言だったり。
本人以外から見れば些細なことでも、本人にとっては全然些細なことじゃない。そういった感度の違いが大きいからこそ、障害なのでしょうね。
一般的な障害者雇用ではこの落ち込みに着目し、あらゆる仕事に制限なく取り組めないのであれば、限定的な付加価値の低い仕事を任せるしか無い、よって賃金は低く設定される、という構造にあったのだと考えています。
凸凹でもいい、尖っていてもいい。得意なことがあれば。
ーでもそれって、総合力のある人じゃないと価値の高い仕事が出来ないという前提になってしまいませんか?
(成川)
そうなんです。そこがおかしいところだと思うんですよね。
昨今、障害者雇用以外の場面では、専門分野に特化した人たちが集まり、チームを編成することが主流だと思いますし、今後もその流れは変わらない。
苦手なことは克服するのではなく誰かに任せることで、得意な領域で勝負して価値を提供する。その考え方を障害者雇用の場にも持ってきたいんですよね。
ーたしかに、よくそんな記事を目にします。
(成川)
仕事で求められる力って、普段生活をする上で求められることよりも、限定的にし易いと思うんですよね。一人暮らしをしていたときのことを思い返すと、お金の管理とか部屋の掃除とか行政手続きとか、あれもこれも、、、苦手なこともたくさんできないと独り立ちできない。
でも仕事は、あれもこれもできなくていいから、この分野で成果を出してくれたらそれでOK!ってやりやすくて。
だから、彼らの「できない」を、仕組みで取り除くことができれば、凸凹がある「とがった」人材の価値も高めやすいはずなんです。
確かに、現時点では精神・発達障害者は採用リスクが高いかもしれない。
でも、会社のほうは、そのリスクを下げる努力や工夫を続けるべきです。
それは合理的配慮などという言葉に収まらず、会社全体、ひいては社会全体のアウトプットを増やしてくれるのではないでしょうか。
ー今回も発見と学びが多いインタビューでした。ありがとうございました。
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