皆が知らない「マッカーシー・アメリカ下院議長解任」の対立の真相
こんにちは。自由主義研究所の藤丸です。
昨日「ケビン・マッカーシー米下院議長が解任」というニュースがありました。
アメリカ下院議長の解任は史上はじめてです。
今回はこの件について、日本在住アメリカ人の自由主義者の仲間からの寄稿です。
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皆が知らない「マッカーシー・アメリカ下院議長解任」の対立の真相
アメリカ政府の予算案をめぐって、共和党のマッカーシー下院議長の解任動議が可決されました。
解任動議を提出したのは、保守派で強烈なトランプ支持者であるマット・ゲーツ議員でした。
解任に賛成したのは216(共和党8人、民主党208人)で、反対したのは210人(全員共和党員)でした。
多くの保守議員はこの動議に反対しましたが、賛成した保守議員もいます。
その動機などについては別の場で話したいですが、
今回は、日本のメディアや評論家が言わない(知らない)けれども、
自由主義者が注目すべきエピソードのポイントを紹介したいと思います。
アメリカ保守派の議員(マッカーシー賛成派でも反対派でも)が、一番優先している事項は政府支出の削減です。
保守派内でのマッカーシーの解任についての議論は政治的な面もありますが、保守派は全員「政府支出を減らしたい」という共通点があります。
その次の優先事項は、南国境を守るために予算を増やすこととウクライナへの支援をなくすことです。
これは日本の保守派を含めて日本の政治家が想像できないところです。
なぜならば、日本の政治家は皆ケインズ経済学派またはさらに過激なMMT(現代貨幣理論)信者なので、公債を発行することは問題ではなく、
むしろ政府支出を増やすことで経済を成長させることができると信じているからです。
アメリカの政治思想から見ると、これはバイデン大統領やリベラルと変わらないのです。
アメリカの自由主義者や保守主義者にとって、「政府の支出」は納税者に負担をかけ、クラウディングアウトを招き、繁栄を妨げてしまう、ということは当然の認識なのです。
日本の政党や政治家は、財政、経済政策、金融政策で基本的に同じ意見しかないので与党と野党に関わらず同じ大きな政府の政策しか生み出しません。
アメリカは基本的に予算案を一つの大きな法案にまとめて可決します。
でも、その結果、余計な支出や支援で溢れ、今まで通り赤字支出になっています。
強硬の財政保守議員は、予算案をいくつかに分けて議会で採決したいと思っています。
その理由は、いくつかの小さい予算案にすると、無駄なところが削りやすいからです。
ゲーツ議員の主張は、「公債があまりにもひどい問題なので予算案をいくつかに分けて採決すべきだ」ということです。
マッカーシー元下院議長やマッカーシーを支持した保守議員も「そうしたかったが、民主党の大統領がいるから今は難しい」と思っているわけです。
先週マッカーシー氏が提案した予算案に、支出を8%削減することが含まれていました。
つまり、今回の対立は何より政府支出削減のやり方についてでもあったのです。