見出し画像

読んでみた:羊は安らかに草を食み

評価:★★★★★

本の概要

認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆" があった――
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!

日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄!

過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅" に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。

読書感

現代と戦争の時代を体験するような感覚。1人の人生を追体験し、今の彼女を形作った出来事に触れていく。
生き残り、精一杯生き抜くというこの感覚は自ら体験する事は難しいけど、今は亡くなった自分の親父が少し理解できた気がした。

満州で商売をやっていた祖母。戦争でどうなったのか一度も語ってくれなかった親父。
満州からの引き揚げがこんなに大変だったなんて。戦後、親無しで苦労したことも一度も子供の前で愚痴らなかった親父。

この時代を生き抜いた人達の力強さ。芯の強さ。寡黙だけど不器用に生き抜いた。
俺の親はこんな時代を過ごしたんだね。

ストーリーはとても面白く人生の背骨を感じる物語でした。久々に没頭して読破しました。

いやぁ、面白かった。

いいなと思ったら応援しよう!