【意外と大変⁈】農業体験ツアーを主催するときに考えたいこと
都会の喧騒を離れて太陽のもとで体を動かす、収穫物を食べながら農家さんと語らう。
今回は以前から行っている農業体験ツアーについて書きます。
農家さんのところに遊びに行きたい!と思っている方や、人を集めて農業体験ツアーをやってみたいと考えている方に読んでもらえたら幸いです。
今回も先にまとめを書きます。
農業体験ツアーってなに?
ここでは、旅行会社のような企業が企画するようなものから知り合いの農家さんのところに連れて行ってもらうものまで総称してざっくりと「農業体験ツアー」としています。
農業に関する体験と言っても、その内容は主催する団体や人によって様々です。
最近では、農家さんと参加者のマッチングサービスもあるようです。
参加するメリット
非日常を味わって自然を満喫できる
採れたての美味しい農産物が食べられる
農家さんの苦労が少しだけ分かる
食育や環境教育につながる
特に生で食べる野菜や果物、傷みやすく輸送に向かない品目などは畑で食べるのが一番です。
私はすもものおいしさを畑で知って、それ以来毎年すももの収穫時期には農家さんのところに通い続けています。(サマーエンジェル最高!)
主催者がすること
農業体験ツアーを主催する場合にすることをざっくりとまとめました。
農家さんへのお願い・コミュニケーション
開催日の設定、コンテンツの決定
集客
配車の準備・確認
当日の流れの確認(畑の場所・移動経路・スケジュール・不測の事態への対応等)
ツアーの遂行
農家さんへのお礼
農業体験ツアーの難しいところ
農家さんにかかる負担
参加者や主催者と農家さんとの関係性や農家さんがどれだけ慣れているかにもよりますが、農家さんにかかる体力的・精神的な負担は想像以上に大きいです。
どういったところで負担がかかるのか、その例をいくつか箇条書きします。
スケジュールの変更をする必要がある(農家さんの休憩時間は真夏であれば昼間なのですが、その時間に参加者がいることがほとんどだと思います。そもそも休日だったりすることも)
参加者が家にあがるので掃除をしなければいけない
「農家メシ」を期待されている
参加者が怪我などをしないように気を配る必要がある
参加者が大事な農作物を変に扱わないようにしっかり説明・フォローを行う必要がある
上記のような負担は意外と軽視されていて、こうしたことに対して適切に謝礼が支払われることはそんなにないように感じます。
参加者の感覚からすると「農家さんの普段のお仕事のお手伝いをして、それでいて私たちは収穫物を買って帰るんだからWin-Winだよね」となるかもしれませんが、
農家さんにとって参加者を受け入れる日は日常では決してなく、普段しない準備を前々から色々と行った上で迎え入れているということを忘れてはいけません。
収穫時期 = 農家さんにとって一番忙しい時期
農業体験で参加者が一番期待するのは、間違いなく収穫作業です。
(果樹の枝の剪定や定植前の畑への元肥の散布を体験しに行く人はかなりの玄人だと思います)
ですが、収穫の時期というのは農家さんにとっても一番忙しい時期であることが多いです。
そんな時期に参加者を受け入れるのは容易ではなく、一日中参加者と一緒にいるのはできるだけ避けたいというのが農家さんの本音だと思います。
そして、この時期は手塩にかけて育てた農作物がやっと「商品」として「お金」に変えられる瞬間でもあります。
このタイミングで見ず知らずの人がやってきて、せっかくの収穫物を傷つけたりでもしたら。。。
悪天候などの不測の事態の発生
急な天候の変化や作物の状態の急変は不測ではありますが、意外とよく起こることです。
雨が降った後でも畑がぬかるんで作業ができないこともあります。
そんな時に代替案がないと、友達同士でもない限りなかなか気まずい時間を作ることになってしまいます。
(ビジネスとして行う場合)農業体験単体では収益を生みづらい
農業体験ツアーを行う際にかかる費用として、交通費・人件費は必ずかかるものですが、これらを農業体験というコンテンツだけでペイするのは意外と大変です。(そして農家さんへの謝礼も考えなければいけません)
参加者にとって農業体験に対して支払うお金は1000~数千円が相場です。
それに対して、主催者の人件費は最低でも丸一日分、交通費はレンタカー代・ガソリン代・人件費になりますが、参加者が増えればここにかかる費用も増えていきます。
であれば現地集合・現地解散にすれば良いのでは?という考え方もありますが、電車で来てもらう場合は畑が駅から離れている場合が多いので、結局車が必要になりますし、車で来てもらう場合は参加者が開催地までの往復や畑への移動を運転をしなければいけないので負担が大きく、集客力が下がります。
農業体験ツアーを成功させるには?
前提として、私が農業体験ツアーのプロだとかそういうわけでは全くないのですが、これまでの経験を踏まえて、どんな風に行えばみんながハッピーに農業体験ツアーを行うことができるかを考えてみました。
農家さんとのコミュニケーションを充分に行う
まず主催者は農家さんと仲良くなりましょう!
農家さんの生活や仕事のリズムは、その仕事をしていないと想像しづらいのでその部分をしっかりと把握したり、相談しやすい関係性を作るためにも農家さんと一定の信頼関係を作るのは必須です。
主催者がコーディネーターとしてどれだけ農家さんと参加者の間に立ちツアーを円滑に進めていけるかがほぼ全てだと思います。
とはいえ、やるべきことはとてもシンプルで、ツアーを企画する前に自らが畑に行って作業を体験すれば、そこでなんとなくでも信頼関係を作ることができるのでまずは畑へGOです。
作業を把握しておく
農家さんが忙しい場合、一日中参加者と畑に付きっきりでいるのは難しいことがあります。
そんな時に農家さんがいなくても農作業体験をやってもらえるようにどんな作業をするのか事前に打ち合わせをして、必要があれば主催者が事前に作業を体験しておき、要点などを把握して参加者に教えられるような体制を作れると円滑に進めることができます。
不測の事態に備えた代替案を考えておく
急に作業ができなくなった時に備えて、屋内でできる作業についても事前に農家さんと相談をしたり、場合によっては近くの観光地などを調べておき農作業以外のコンテンツも用意しておくと参加者の満足度を下げずに済みます。
(ビジネスとして行う場合)外から予算を引っ張ってくる or 農業体験以外のコンテンツを充実させる
農業体験だけではペイするのが難しい場合、外から予算を引っ張る、もしくは農業体験以外のコンテンツを考える必要があります。
外から予算を引っ張る場合は、自治体の補助金を活用したり、参加者と関係のある団体や企業から協賛金を得たりするケースです。
農業体験以外のコンテンツを作る場合は、例えば収穫した農作物を使った高級料理のフルコースをレストランに用意してもらったり、他の観光地や関連施設に行ったりなどをして参加費を上げることが考えられます。
最後に
今回は農業体験ツアーについて主催者側のことを書いてみました。
農業体験は単純に「農家さんのお手伝い」では全くなく、実際には農家さんにはそれなりの負担がかかっています。
そして、その負担をどれだけ軽減できるかが主催者の腕の見せ所だと思います。
農業体験は、農家ではない人が普段、自分達が食べているものの元の姿に触れることができる貴重な機会です。
食べ物は人々によって畑で作られるものなのだということが体験ベースで実感できます。
また、収穫体験だけでなく種まきや苗を植えるところから作業をし、畑に定期的に通うことができれば作物の成長を見ることもでき、農作物を生き物なのだと実感することもできます。
ですので、まずは収穫体験から始めて、徐々にそれ以外の作業にも参加してみるというのはとってもおすすめです。
そうすれば私たちの食べ物を作っている農家さんに対して、より具体的に感謝をすることもできると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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