3年後も、生き抜くために。変化を厭わない現役会計士が実践する、逆算型キャリアデザイン
「テクノロジーをカンタンに。経済価値を最大化する。」
というミッションを掲げ、オンライン売上最大化サービス『FLUX AutoStream』とノーコードウェブサイト作成サービス『FLUX siteflow』を提供している株式会社FLUX。
経営管理を担うCorporate Design本部の名付け親であり、チームを牽引する三浦龍二さんが今回のインタビュイーです。
監査法人から会計事務所、そしてベンチャー企業へ、というキャリアを選択した理由。
これまでの経験で今に活きていること。
そして、三浦さんの次の目的地はどこなのか。
キャリアのあらゆる可能性を示してくれるお話をうかがいました。
キャリアの先輩をご紹介
株式会社FLUX
執行役員
Senior Vice President of Administration
Corporate Design本部 本部長
三浦 龍二 氏
公認会計士
2014年 有限責任あずさ監査法人 入所
2017年 ケップル会計事務所 入所
2021年 株式会社FLUX 入社
※所属・役職は取材当時のもの
キーワードは“3年”
――最初に、三浦さんなりのキャリアパスや方針がありましたらぜひ聞かせていただきたいです。目標を決めてから動くタイプの方かとお見受けしましたが。
そうですね。どちらかというと逆算で考えた方がものごとを整理しやすいというのがあるので、私は3年スパンでキャリアを考えるようにしています。
「3年後に求められるのは、きっとこういう人材だろう」と目指すものをイメージし、そこから逆算して「いま何をすべきか」「どんな経験を積んでおくべきか」を考えます。
“3年”という期間に対してこだわりはなく、あまり先のことを考えすぎてもなぁと思うのと、だいたい3年経つとものごとがガラッと変わっている可能性があるためそのスパンを大事にしているという、それぐらいの理由です。
――3年で変わるものとは? ご自身の考え方ですか?
私自身の変化というより、外部環境の変化です。
たとえば管理部系ツールやSaaSサービスって、私が監査法人にいた2010年代はそんなに種類が多くなかったのですが、ここ1年くらいでプロダクトがかなり増えましたよね。これからさらに増えていくことでしょう。
そんな時代に管理部門として求められる能力ってなんだろうと考えたとき、それらのツールを使いこなせることだろうなと予測できます。
外部の環境が変わってきていたら、自分の未来の姿も変えていかないといけない。さらに、今やるべきことも変えないといけません。
状況変化や新しいサービスをキャッチアップすることを意識しており、環境に応じて自身の立ちまわりを変えなければ、という想いが強いです。
「昨日までなりたいと思っていた自分を、今日リセットしてもかまわない」くらいの気持ちでひとつの目標に固執しないようにしており、半年・1年ごとに軌道修正をします。
その考えのベースにあるのは、私は自分のことを誰よりもできないヤツだと思っているんです。
「これ1本で戦います」と言えるなにかを持っていないからこそ、求められる立ちまわりをして、しっかりバリューを出していくことを大事にしています。
求められているものを提供できる自分をシビアに追い求めていきたいです。
あるべき姿を見た
――キャリアの最初の3年、監査法人時代のお話を聞かせていただけますか。
ファーストキャリアである監査法人に3年半勤め、上場企業の会計監査や採用のリクルーター、そして公会計(国および地方公共団体でおこなわれている会計処理)の会計監査に携わりました。
それらの業務を通じて企業のあるべき姿を見てきた経験は、今でも活きています。
それこそキャリアのひとつの選択肢として、監査法人にもう1回入り直して、あるべき姿を見にいきたいと思うくらいです。
――1度目の転職のきっかけはなんだったのでしょう。
入所から3年たったときに、ふと「3年が過ぎてしまった」と焦り、転職も含めてキャリアを考えないといけないなと思ったんです。
どうしよう‥‥となって、まず最初に「会計士のキャリアって、どんなものがあるんだろう」と調べました。
すると、監査法人、会計事務所、事業会社の経理、FAS(ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス)‥‥組織規模や専門領域も多岐に渡り、かなり選択肢が幅広くあるんだなと思ったことが記憶に残っています。
選びたいのは、最短経路
――考えた末に、事業会社ではなく会計事務所を選んだ理由は?
監査法人を出たばかりでまだ外の世界を知らなかったために、もし事業会社に入るという選択をしたら、自分のスキルの幅を狭める気がしたのです。
1社だけに入り込むことを、リスクだと捉えていたんですね。
1企業のスペシャリストになるのではなく、他社でも通じる汎用的なスキルを伸ばしたかったんです。
スペシャリストよりも、ジェネラリストになりたい。
事業会社よりも、複数の会社に携われるクライアントワークをしたい。
当時は、そう思っていました。
そのなかでケップル会計事務所を選んだ根底にあったのは、いつか自分も会社の代表としてやっていきたい、だからそこへ行くためのいちばんの近道を選びたい、という想いです。
「中小企業・スタートアップの経営者の近くで働く経験をしたい。それが自分にとって必要だ」と感じたので、スタートアップをメインに支援しているケップル会計事務所に転職しました。
――ケップル会計事務所では、どのフェーズのスタートアップ企業を担当されたのですか?
シード(起業前〜起業直後)からミドル(事業成長期)までのさまざまなフェーズのお客様を持たせてもらい、状況に応じたあらゆるご相談を受けました。
とりわけ印象に残っているのは、会社が成長し規模が大きくなるなかで管理部門立ち上げを担う、管理部門の方からのご相談です。
「あるべき姿は理解できるけど、実際に適用するためにはどうしたらいいか」
「新しい制度・システムを入れるにあたって、社員にはどう説明すると受け入れてもらいやすいか」
といった相談内容でした。
管理機能を強くすることによって短期的に社員の行動を制限する場面が生じるので、とても悩ましい課題だったのでしょう。
ただ、事業会社での経験がなかった私が相談を受けて思ったことは
「‥‥やったことないな」
なにも答えられませんでしたね。
自分の力不足を思い知らされました。
経験した人にしかわからない
――そのあたりが、現職のFLUXに入社した理由につながっていそうですね。
そうですね。当時の自分にもっとも足りていないと感じた部分でもあり、すごく興味があったことが、事業会社の内部での経験でした。
社内にしっかり意識づけたり、最適なフィットを見つけたりするような経験がなかったので、そこがFLUXに入ってからもっとも大変だったことでもあります。
外部の立場で「あれをしましょう」「これはリスクですよ」と提案することと、実行することには、異なる難しさがありました。
現職ではこちらが外部のアドバイザーから言っていただく立場になり、
「おっしゃることはわかります。わかっています。‥‥でも!」
という気持ちになりました(笑)。
社内のみんなにどう認識させ、浸透させ、運用をまわしていくか。
会社に落としこんでいく大変さは、中で体制を整える経験をしないとわからないなと痛感しました。
――そもそもFLUXとはどんな出会いだったのですか?
もともとは、前職に勤めていたときの顧客だったのです。
ケップルから独立後も、私は5社ほどクライアントを受け持っており、当初はひとつのお客様としてFLUXと関わらせていただいていたのですが、縁あって正式に雇用契約を結ぶという運びとなりました。
FLUXが自分に合っているなと感じるところは、環境やユーザーなどをよく見ており、変化に対してどう立ちまわるかを考えて動く会社であるという点です。
当社のプロダクトが多種多様なのは、世のニーズに合わせたら自然と増えていったという、そんな理由があります。
クリエイティブな仕事をしていこう
――「管理部」から「Corporate Design本部」への名称変更は、三浦さんのアイディアだとうかがいました。どんな経緯だったのでしょう?
入社して1ヶ月が経ったころ、「組織の土台となる管理部門にはどういう名前がふさわしいか」を考えはじめました。
管理部門は、事務屋さんではないのです。会社の成長に直接寄与するわけではないけれど、会社・事業の成長のためにはどんな体制が適しているかを常に考えなければいけません。
つまり、クリエイティブな仕事をする部門であることは間違いないと思っています。
ですから「クリエイティブな仕事をしていくよ」という気持ちで、メンバーのみんなへ旗を立ててあげたいなと思ったんです。
そして、経営メンバーに賛同してもらい“Corporate Design本部”という名称に変わったという経緯です。
Corporate Design本部のみんながいかに柔らかく頭を使えるか、従来の管理部という枠をデザインし直して新しい概念をつくっていけるか、に取り組んでいきます。
「何もしなかった3年だったな」と思いたくない
――次の3年に向けて、どんなことを思い描いているのでしょうか?
FLUXの管理部門は充実してきており、10名を超える体制になりました。さまざまなスペシャリティを持つメンバーも集まり、理想としているチーム像に近づきつつあると感じます。
その先は、組織づくりのほうにフォーカスをあてていきたいですね。
監査法人時代に見たあるべき姿を目指していこう、とゴールが想像できていますから、そこから逆算し、さらに今のFLUXに適したカタチをつくっていきたいと思います。
個人的には、2年後の「35歳」という節目に向けて自身のキャリアをさらに中身の濃いものにしていきたいです。
この場所にいるから経験できることが、私にも、メンバーにも、あります。
FLUXにいると何ができるようになるんだっけ? を大事にしながら、みんなが将来のために必要な知識やスキルをここで蓄えていってほしいと心から思っています。
スタートアップで何がしたいですか
――若手会計士の方から「スタートアップに行きたいと考えています」という相談をもらったら、三浦さんはどんな言葉をかけるでしょうか。
実際に知人から相談されたときに伝えることをそのままお話しすると、「スタートアップで、何がしたいですか」というところが非常に大事だと思っています。
スタートアップはリソースが圧倒的に足りないので、即戦力が求められます。手取り足取りで教えてもらえる環境ではありません。
一方、大企業や監査法人は研修機能があって、ていねいに教えてもらえる環境だけど、アウトプットの機会が少ないです。
それを前提として、「アウトプットの機会を増やして成長したい」という想いがあるならスタートアップはとてもいい環境だと思います。
入ったあとにインプットをどこでやっていくのか。
どうやって自己成長につなげていくのか。
そのあたりを考えずに飛び込んで、ギャップに負けてしまい後悔を生むことになってしまうといけないので‥‥というアドバイスをすることが多いですね。
成長を意識してスタートアップに興味をもってもらえるのであれば、私としてはすごくうれしいです。
変化を楽しめるか。合う環境を見極められるか。
――それでは最後の質問です。スタートアップ企業に向いている人とは、どんなタイプの方だと思いますか?
向き不向きは基本的に無いように思いますが‥‥。唯一あるとしたら、環境・体制・状況が目まぐるしく変わる“スタートアップの性質”を理解していることが大事かなと思います。
今まで考えてきたことをゼロに戻す必要が出てくるのが、スタートアップです。
さっきまでこっちの山に登るという話だったのに、やっぱりこっちの山へ、となったときに準備からなにから変わることを楽しめるかどうか。
自分にとってのいい経験になる! と思うことができるかどうかだと思います。
ひとつの方法に固執する人や、こうある“べき”を強く持っているような人は、状況に応じて自分を変えることが難しいように思います。
あんまり環境変化がないところでやっていくほうが、その人にとっては幸せかもしれませんね。
合う合わないを見極められるようにしっかり考えて選べば、自分にとっての最善の選択ができるのではないかなと思います。
――三浦さん、ありがとうございました!
株式会社FLUX|https://flux.jp/
「テクノロジーをカンタンに。経済価値を最大化する。」というミッションを掲げ、現在はオンライン売上最大化サービス『FLUX AutoStream』と、ノーコードウェブサイト作成サービス『FLUX siteflow』を提供しているスタートアップ企業。
※写真はすべてFLUXオフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました
◇マガジン『デンタツ』バックナンバー
あずさ監査法人時代のご同僚、iCARE小松さん
同じくあずさ監査法人時代のご同僚、阿部さん
◇当社JAPAN FASは、さまざまな取り組みをしています
◇お問い合わせ
●公式サイト:https://japanfas.co.jp/
●Twitter:https://twitter.com/JAPANFAS_Career/
インタビューリクエストもお待ちしています💡
お読みいただき、ありがとうございました。
企画/JAPAN FAS株式会社
写真・文/Yui Osawa
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?