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やっぱり、コミュニケーション。地方在住フルリモートでのチームビルディングのすすめ
「テクノロジーを通じて人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する」というビジョンのもと、いつでもどこでもオンラインで面接をおこなうことができるDXサービスや自社開発のAIによって採用をサポートする、株式会社ZENKIGEN。
フルリモート・フルフレックス制度を取り入れているZENKIGENで、管理部門部長として活躍中の白尾美緒さん。
子育てしながら働くことで感じた葛藤、人とのつながりの大切さ、新しい領域に挑む際の姿勢など、
どんな経験にも真摯に向き合ってきたからこその重みのあることばで語っていただきます。
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キャリアの先輩をご紹介
株式会社ZENKIGEN
コーポレート本部経営管理部 部長
白尾美緒 氏
2007年 株式会社サイバーエージェント 入社
2017年 石川県金沢市へ移住
2017年 株式会社アイディス 入社
2020年 株式会社ZENKIGEN 入社
※所属・役職は取材当時のもの
悩みながら 葛藤しながら
――まずはざっくりとした質問ですが、キャリアについてのお考えや何か思うことはありますか?
いま思っているのは‥‥いろいろ悩んでいますね。どんな働き方がいいのか、ずっと悩みながらです。
当社ZENKIGENには子どもがいるメンバーが多いのですが、出産を経て戻ってきたのは私がはじめてなんです。
今後、育児休暇を終えて復帰するメンバーが働きやすい制度や人事的な面を整える必要性を感じています。出産に限らず介護とかに直面する可能性は、誰にでもありますから。
マネジメントする立場であるからこそ、これからメンバーが年を重ねるうえでさまざまなライフイベントが起きても長く働けるような環境を整えられるといいなと考えています。
でもこれは私自身が出産を経験したから感じることであって、経験したことのない人にはわからなくて当然で、それでいいと思っています。
とはいえ会社の成長を考えるならば、そのあたりをうまく調整してチームをつくっていかないといけませんよね。
オンオフのバランスを整えていかない会社は、労働者人口が足りなくなるといわれている近い将来、おそらく人が集まらなくて採用に苦労するのではないでしょうか。
――危機感を感じていらっしゃるのでしょうか。
そう思いつつ、葛藤のなかで働いている感じですかね。でも、みんなに私のような働き方をしてほしいとはまったく思っていません。
ただ「多様な働き方ができるような基盤を整えたいな」とは思っています。
――お話をうかがっていて、白尾さんなら成し遂げてくれそうだという印象をもちました。
これまで、「やりたい」と言い続けたことが叶わなかったことが無いんです。
たとえ今すぐには叶わなくてもとにかく願い続けてやっていけば、いつかどこかでちゃんとつながってくるのだと信じています。
挑戦する機会に溢れていたサイバーエージェント時代
――ここからは白尾さんのこれまでのご経歴について聞かせていただきたいと思います。
2007年、新卒でサイバーエージェントに入社しました。社長の藤田(晋)さんの著書『渋谷ではたらく社長の告白』を読み、さまざまな仕事にチャレンジできる会社だという印象をもったことが志望理由です。
もともと広告代理店がビジネスモデルの、当時まだドメスティックな会社でしたが、これからグローバルになっていくんだろうなという予感がありましたね。
私が育った家は、夏休みの時期に海外からの留学生のホームステイ受け入れをしているような家庭でした。
留学生と話をしていると「あぁ、こういう考えもあるのだな」と感じることが多く、「日本人の考え方しか知らないと、視野が狭くなるな」「国内だけでは、チャレンジの場としては狭いのでは」と、おのずと思うようになりました。
そして、もしいつか海外に事業展開するようなチャンスがきたらすぐに手を挙げて海外に行きたいとずっと思っていました。
そんな想いを抱きつつも、大学院で国際会計を学んでいたこともあって数字にも興味があったので財務経理に配属希望を出し、希望どおりバックオフィスに配属されました。子会社の月次決算や清算、本社の経理対応、それ以外にも幅広く担当させてもらいました。
先輩方から学ぶことは多かったですし、100人以上いる同期もそれぞれの部署ですごくがんばっていて、まわりは努力家でアツい人ばかり。ものすごく成長・チャレンジできる環境でした。
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そんなある日、とうとうサイバーエージェントが海外に進出するタイミングが来たんです。
私が「行きたい」と言い続けていたのが上の人の耳にも入っていたようで有難いことにお声がけいただき、役員、先輩社員、そして管理部門メンバーとして私、4名でサンフランシスコに駐在することになりました。
そうして、約2年半の駐在生活が始まりました。
関連会社と同じオフィスに入居したものの、最初はデスクすら置いていなくて、IKEAまで買いに行って、組み立てて。そんなスタートでしたね。
ビザ取得手続きから現地の方の採用、子会社の設立、そしてもちろん経理も。あらゆることをやって忙しかったのですが、そのときのいろんなことがすべて今につながっているので、非常によい経験だったなと思います。
ところが、2013年に私の父が大きな病気になったことがわかり、日本へ帰国することになりました。
帰国後は本社の財務経理室に戻り、一方でアメリカの現地メンバーとリモートで連携しながら引き続き海外事業にも携わりました。
しかし、帰国後に“ある違和感”を感じるようになったんです。
それは本社での細分化された経理業務への違和感でした。整っていて、経理だけで10人以上もメンバーがいて‥‥大きい会社なので、当然といえば当然のことなのですが。
アメリカで管理部門を幅広く見られたことで、私は、横との連携の大切さを知ることができました。同じ部屋に、開発、デザイナー、営業のみんながいて、事業部の「こうありたい」に対して、管理部として「こうしよう」というような、いっしょに事業をのばしていくような連携が楽しかったんです。
きっと私は、わちゃわちゃしているのが好きなんでしょうね。
どうしても違和感がぬぐえず、「キャリチャレ」という希望部署に異動できる社内制度を利用することにしました。
未来の数字を語るところがおもしろそうだと思ったことと海外投資家とコミュニケーションができることから広報IR室を希望して、約2年ほどIR(Investor Relations)に携わりました。
大切な人のことを考えて決めた道
――違和感を見て見ぬふりしない姿勢がステキだと思います。そのあと、10年近く勤めていた会社をお辞めになって金沢へ移住するという選択をした理由を教えていただけますか。
ひとつは、父が他界して母が一人暮らしになったことが大きなきっかけです。
また、当時パートナーと結婚の話がでていたこともあって、将来のことを描いてみたんです。もし子どもをもったときに、なんとなく東京で子育てって大変そうだなと。地元の金沢はのんびりした環境で子育てしやすいように思えたことも理由のひとつです。
「IRの仕事は少ないかもしれないな」という不安はあったものの、2016年に退職、翌年に結婚し、夫婦で金沢に移住しました。
――移住後はどんな働き方をされていたのでしょう。
金沢に移ってからも前職のつながりからお仕事をいただき、シンガポールやグアム、ニューヨークなどの海外立ち上げの仕事に携わったり、ベンチャーのゲーム会社の管理部門を整える仕事を受託したりしていました。
しばらく続けていて、あるときゲーム会社のほうから常勤監査役をやらないかという打診をいただいたんです。
監査経験はなかったものの、当時はまだ子どももおらず、いい会社だし、「チャレンジしてみるのもいいのかな」と思ってお引き受けすることにしました。
“常勤”監査役ですから、都内にワンルームマンションを借りて火曜日から金曜日は東京、土曜日から月曜日は金沢、という二拠点生活をしていました。いま思えば、タフでしたね(笑)。
監査役を経て、のちに取締役に就任しました。
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ZENKIGENとの出会い
――実にいろいろなチャレンジをされてきたのですね。
仕事は刺激的で楽しくて、金沢は食べものがおいしいし私生活にも満足していて、「いいとこどりだな」と思いながら働いていましたね。
リモートワークを受け入れてくれる会社があることを有難いなと感じていました。
ただ、週末婚的な生活はさすがに大変で、働きすぎかなと感じるような身体への影響があったため、2020年6月をもって取締役退任を申し出ることにしました。
――そこからZENKIGEN入社までの経緯を聞かせていただけますか。
退任する少し前、前職の同期と集まる機会がありました。そのときのメンバーのひとりに、ZENKIGENで働いてる人がいたのです。「管理部門の人を探している」という話をいただいたんですが、まだ在任中だったこともあってお断りさせていただきました。
しかしZENKIGEN代表の野澤は、実はサイバーエージェントのときにお世話になった先輩だったこともあって、後日、今度は代表の野澤と人事の松川と会食をする機会があったんです。
そのときに、社名にもなっている「全機現」という言葉が示す「すべての人が力を発揮できる世の中」を目指すという考え方を知って、「いい考え方だな」と興味を持ちました。
さらに、東京に戻るという選択肢がなかった私に「フルリモートが可能で、必要なときに出張に来ればいいから、管理部門の立ち上げをしてほしい」という提案をしてくれました。
その日のうちに「行きます」とお返事して、ZENKIGENに入社したという経緯です。
フルリモートでのチームづくりのリアル
――入社後、リモートでの管理部立ち上げはいかがでしたか。大変だったのでは?
入社直後は自分ともう1名で管理部をまわしつつ、あらゆることを整えていきました。幸いすぐに新しいメンバーが採用できて、アルバイトの方も加わり、チームとしてのカタチができていきました。
月2回は東京に来て重要なことは顔を合わせて話し合っていたものの、普段はリモートで「どうやってメンバーとコミュニケーションとっていこうかな」というのは悩みましたね。
毎週1on1ミーティングをおこなったり、オンライン会議スペースに待機しながら仕事をして「なにか聞きたい人は誰でも聞きにきてね」という日を設けたりもしました。
リアルでもリモートでも、きちんとコミュニケーションをとってみんなの状態を把握し、「どういうチームにしたいか」を発信するように意識した結果、よいチームができていきました。
ところがそのタイミングで私が産休に入り、産休から戻ったときにはチームメンバー同士の連携が崩れてしまっていたのです。
管理部門のメンバーにはそれぞれ専門性があるため、連携しなくてもある程度は個人で仕事を進められてしまう側面があります。しかし、やっぱりチームで連携しないと200、300%の力は出せないし、業務の抜け漏れが起こりやすくなってしまいます。
少数精鋭でまわすベンチャー企業において、やはり横との連携はとても大事です。
そんな考えのもと「報告・連絡・相談」を今一度大切にし、1on1でチームの状況把握を徹底し、できる限り情報をオープンにしてメンバー間で情報格差が起きないようにして‥‥と取り組んできたかいあって、現在はいいチーム体制が整ってきたように思います。
自身の“軸”となる強み・専門性を持つことはすごく大事です。
ただ、そこに付随して“枝”を生やして事業全体を見られるようにならないと、ベンチャーの管理部門ではやっていけないのではないでしょうか。
「軸から枝を生やしてほしい」と、メンバーには口酸っぱくして伝えています。
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――マネジメントに尽力されるなかで、フルリモートであるがゆえに困っていることは何かありますか?
たとえばチームの定例ミーティングで、自分だけがリモート、みんなはリアルで集まっているという場合、向こうで空気感ができあがっていて会話に入りにくいなと思うことはありますね。コンマ何秒の時差があるために「発言しづらいな」と思うことが時々あります。
それから、情報の得られにくさも感じますね。オフラインでのコミュニケーションで自然と情報が入ってきたり、メンバーと一緒にごはんに行けたり、そういった情報キャッチアップがしにくい点はデメリットだなと思います。
東京出張の際にはコミュニケーションをとったり情報キャッチアップしたり。そのような機会はやはり不可欠です。
――情報のキャッチアップがむずかしいというお話がありましたが、普段はどのように情報を得ているのでしょう。
社内外関係なく人と話したり、ソーシャルメディアを追ったり‥‥でしょうか。
サイバーエージェント出身者にはベンチャーに転職した人や起業家が多く、彼らのソーシャルメディアを追っているとなんらかの情報が得られますし、気になることがあれば問い合わせて直接聞くこともあります。
また、他社のIR情報はチェックするようにしています。前職でIRをやっていたときからの習慣で、メディア系、IT系、HRテック系の決算は、まず見ますね。
できることなら未上場企業の数字も見たいなと思いますがそれはむずかしいので、まわりの人の話を聞いて情報を追うように努めています。
――今後はどんなことに挑戦したいですか?
自身のキャリアを振り返ってみると、今までの経験を活かせるのは海外展開や管理部門の立ち上げの領域だと思っています。
コロナ禍でオンライン面接採用の需要が増えたことで当社の売上は伸びており、社員も増えてきました。まだ先にはなりますが、海外展開する際には立ち上げをやっていけたらなと思います。
ZENKIGENでいつか海外に行けたらいいなというのはありますし、日本企業がもっと海外でも戦えるといいなと思っているので、そういう会社の進出のサポートをしたいなという想いもありますね。チャレンジしたい企業や個人、そういう方々のお手伝いをしたいです。
とにかく目の前のことをなんでもやってみよう
――それでは最後に、ベンチャー・スタートアップ企業に興味がある方に向けたメッセージをお願いします!
私が社会人になってすぐの頃、先輩から言われたことばがあります。
「とにかく、点をいっぱい打ってくれ。
打った点は、いつか線になる。
その線が、面になり
面は、やがて立体になる」
「点を打て」イコール「種をまけ」だと私は捉えていて、
「たくさん種をまいたら、のちにそれらがつながって、視野が広がり、多面的な考え方で物事を見られるようになる」という意味だと思ってます。
これはベンチャーに転職するときにすごく大事な考え方で、どんどん新しいチャレンジをして新たな「種」をまくことを拒まないことは、とても大切だと思います。
ベンチャーでは横との連携を拒んでいたらなにもできないし、その経験をしないかぎり上に立っても誰もついてこないよ、ということはお伝えしたいですね。
「スタートアップでIPO準備」などのキラキラしたところだけを見ていたら、きっと入ってからギャップを感じるんじゃないかなと思います。
泥臭いことだらけです。むしろ泥臭いことしかないです。
私自身、とにかく目の前のことをなんでもやってみようと、そういう働き方を意識して今までやってきました。これからもどんな仕事が来ても拒まずに挑戦し続けていきたいです。
――白尾さん、ありがとうございました!
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株式会社ZENKIGEN|https://zenkigen.co.jp/
社名の由来にもなっている「全機現」とは、「人の持つ能力のすべてを発揮する」という意味の禅の言葉。Visionは『テクノロジーを通じて、人と企業が全機現できる社会の創出に貢献する』。人とAIの共創による新たなスタンダードを創ることにより、次世代に繋がる社会づくりに貢献します。
◇マガジン『デンタツ』バックナンバー
◇当社JAPAN FASはさまざまな取り組みをしています
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企画/JAPAN FAS株式会社
写真提供/株式会社ZENKIGEN
取材・文/Yui Osawa