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「国家公務員のボーナス大幅増」は不正確【ファクトチェック】

「国家公務員のボーナス大幅増」というツイートが拡散しましたが、不正確です。2023年の国家公務員の夏のボーナスは、過去4番目の引き上げ幅でしたが、これは前年比で、平成以降で最大の引き下げ幅だった昨年の反動としての引き上げだという文脈が抜けており、ミスリードです。


検証対象

「国家公務員のボーナス、大幅アップ!…岸田内閣は庶民の生活苦を無視して大増税へ」というツイートが拡散した。表示回数47万件、とリツイート2000件を超えている。

ツイートの反応を見ると、「地方公務員は大幅アップなんてない」「その分どこかで帳尻合わせないといけない」と、引き上げ額に注目が集まっている。しかし、コミュニティノートが付いており、2020年、2021年の方が2023年よりも高いことがわかる。

検証過程

日本ファクトチェックセンター(JFC)は、「国家公務員のボーナス、大幅アップ!…岸田内閣は庶民の生活苦を無視して大増税へ」のうち、「国家公務員のボーナス、大幅アップ!」を検証した。

話題となっている国家公務員ボーナスの金額は、管理職を除く職員の平均支給額だ(NHK記事)。

国家公務員の給与水準は、人事院の給与勧告に基づいて内閣が決定し、最終的には国会の給与法改正で決まる。給与勧告は、国家公務員と民間の給与水準を均衡させることを目的としており、毎年公表されている。

人事院の「給与勧告の仕組み」によると、民間企業のボーナスの直近1年間(前年8月から当年7月まで)の支給実績を調査し、民間と国家公務員の差があれば調整する。調査対象は、企業規模50人以上の民間企業で、この規模は民間事業所の約65.6%を占めるという。

今年の国家公務員の夏のボーナスは約63万7000円。前年比5万2500円(約9%)上昇で、3年ぶりの引き上げ。一方、経団連調査によると、民間企業の夏のボーナスは平均で約3.9%増えた。

民間企業の増加幅(約3.9%)と比較しても、国家公務員の夏のボーナスが大幅増(約9%)に見えるが、その背景として、その前年の減少がある。

2022年の国家公務員の夏のボーナスは58万4800円(前年比-11.5%)で、平成以降で最大の減少幅だった(日経記事)。今年のボーナスが1985年以降で4番目の増加幅となったのは、その反動だ。他方で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのリポートによれば、民間企業の昨年の夏のボーナスは前年比1.0%上昇だった。

判定

今年の国家公務員の夏のボーナスは1985年以降で4番目の引き上げ幅だった。しかし、これは平成以降で最大の引き下げ幅だった昨年の反動。拡散したツイートはこの経緯に言及しておらず、「国家公務員のボーナス、大幅アップ!」はミスリードで不正確と判定した。

検証:高橋篤史、住友千花
編集:古田大輔


検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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