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若い先生方へ(16)

 今回は、教師の技「授業」の2編目です。どうぞお読みください。
6 真似るが先
 立派な授業は風格がある。その姿勢を真似る。息づかい、子どもとの距離感を真似る。次に指導技術の細部を真似る。細部が見えなければ、「このときはどうすればよいか」と聞く。次に、指導案を借りて授業をしてみる。同じようにできなかったらそこが未熟な部分。そこも真似ればよい。
 どこの学校にも授業達者な先生はいらっしゃいます。若い先生方はその授業を何度も参観させていただき、詳細まで分析的に観察してまねることが大切です。導入、発問、手技口技、指名の仕方、展開の仕方、子どもの応えの展開、机間指導、まとめ方、本時の授業評価など、まねるべき視点は数々あります。
7 教材研究と授業
 10の教材研究をしても授業では3つしか使わない。後の7は徒労か。そんなことはない。確かなねらいで行った教材研究の成果は、授業の厚みとなる。手持ちの懐刀となる。貼りものを作ることだけが教材研究ではない。教材を深く吟味したい。
 教材研究が浅い授業は、参観していてすぐにわかります。深い教材研究は
展開の深さや思わぬ方向転換にも対応できます。やはり教師は授業が商売道具です。
8 発問
 授業の要は発問。珠玉の発問をしたい。発問により子どもの思考がわき上がる。発問は間口が狭く、奥行きが広く深いものを。また、発問の際は場の雰囲気作りを。さらに意表をつく発問もよい。発問を深めるのは一生の研究であり、人間としての価値観の発露。
 「間口が狭く奥行きが深い」の意味はおわかりでしょう。「間口が広いと、ピンボケで子どもたちは何を答えたらよいかわかりませんよ。
 饒舌は慎みたい。口はよく滑る。不要な開口はおおかたが蛇足となる。説明や指示と発問時は声を変えるとよい。「来るぞ」と子どもに構えさせることも肝要。時には役者の「見得を切る」もよい。人は意表を突かれたとき例外なく真剣になる。中身で突きたい。
 私は、漫才や落語を観て間の取り方や、話の節付けや違う内容への転換を学びました。視点を定めれば漫才や落語も大いに学ぶ材料になります。
9 仏の指
 教師の見えない指で子どもを押すと、押されたことを知らない子どもは「自分でできたと」と思い、自己有用感が生まれる。これが支援の妙味。
※大村はまさんの仏様の指はぜひ熟読すべきです。明日から授業がかわってきますよ。   
10 黒板に向かう姿
 黒板に向かう姿は決まっているか。姿勢一つに真剣さが漂うことが大切。子どもが引きつけられ、思わずノートをとりたくなるような板書の工夫。教師の横姿がよい。板書は1時間の集大成。渾身の思いを込めたい。芸術性もほしい。
 板書計画は本時の授業の屋台骨です。工夫して達者になってください。
11 役者
 手を挙げさせるのは右手なら、教壇の上でどっちの手を挙げるか。計算し尽くされた技の極地を身につけたい。右手で子どもに指示をしているなら空いた左手はどうするか。細部の工夫はいくらでもある。
 幼保の先生は子どもたちと対峙した際に、ミラーを意識して動作されます。まねたいものです。
 今回はこれまでです。またお会いしましょう。

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