パリでウ○コを踏んだなら
★最近埋没しかけてしまった自分のクリエイションを思い出すために何か書いていくことにした。
第一弾がこんな内容なのもどうかと思うがまぁいい。
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記憶にある限り
私が人生で初めてそれを踏んだのは、小学一年生の時だった。
花の都、パリ。
父の仕事の都合で我が家はその街に暮らしていた。
当時のパリは花の都とは名ばかりで
それはそれは犬のウ○コに満ちていた。
犬連れの多いこの街でなんのルールもなければ然もありなん、
歩道の随所にそれはあり、踏んで歩いた跡もかしこにある。
しかしここに越してから2年半、私は一度も踏んでいない。
学校の行き帰りや遊びに行く時も常に気をつけて歩いたし
気付いて避けるセンスにもそれなりにほのかな自信まで持っていた。
そんな矢先だった。
一人で歩いている時に不意にそれを踏んでしまったのは。
ぐにゅっ。と今までに知らない感触を足に感じた。
「げっ!!」
声にならない声をあげ、即座に湧いたのは
信じられない!
この私の靴にウ○コが付いた!
この私の靴にだ!!
なんたる屈辱!
プライドを傷つけられた怒り。
そして歩くと付いてくるウ○コの足跡。
「この人です!この人が今、ウ○コを踏みました!」
と声高に叫んでいるかのような跡。
怒りの次に来たのは、恥ずかしさだった。
この街でウ○コを踏んで歩いているなどさほど珍しい光景でもないはずなのに、
おとなしい小学生のジャポネズが
真っ直ぐな黒髪を揺らして足元を気にしている様は目立つような気がして
猛烈に恥ずかしかった。
家族に知られることも恥ずかしかった。
40も半ばを過ぎるとそんなこと別段どうってことないと思うのだが
少女には耐え難い屈辱とい羞恥だった。
でも確か、すぐに家族に知れた。
臭いがするものだし靴をどうにかしないとならないので
母に助言を求めるべく自己申告したのかもしれない。
住んでいたアパルトマンは当然ながら靴生活仕様になっていたが
我が家は生粋の日本人家族だったので段差のない玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替えて暮らしていた。
それでも、玄関にウ○コのついた靴があったらリビング全体に影響する。
繊細な感覚を持つ日本人少女はそんなことを感じ羞恥心を投げ打って自己申告したのだろう。
ああ
それなのに、
こんなウ○コ大国の住民のほとんどは
家に帰っても靴のままなのか。
それをベッドの脇に脱ぎ捨てて眠ったりしているのか。
いくらあらん限りのアクセサリーを見に纏っていても
香水を振りまいていても、
オシャレって一体何だろう、と考えてしまった少女時代の私であった。