オンラインツアーの可能性 / わくわくと可能性しかないブルーオーシャン
オンラインツアーはアウトバウンド・インバウンドで今打てる数少ない打ち手の一つです。
この2ヶ月あまりオンラインツアーの可能性に魅了され、色々なところで話をするのですが、あまり響かないことが多いので、「オンラインツアーの魅力」を簡単にまとめてみました。
<よく聞くオンラインツアーに消極的な理由>
まずは、よく聞くオンラインツアー消極派の声をまとめてみました。
①「そもそもオンラインツアーなどは旅行ではない」
②「オンラインで満足したら、実際の旅行に繋がらなくなる (オンラインツアーとリアルツアーは対立する)」
③「オンラインツアーは大した収益にならない」
それに対する私の考えです。
①「そもそもオンラインツアーなどは旅行ではない」
オンラインツアーでも、工夫すれば没入感やつながり感があるし、一定の満足度が得られます(私は立派な観光だと思います ※詳しくは「旅行しないツーリズムは成立しえるか」をご参照ください)。もちろん「物足りないこと」もあぶり出されてきますが、逆にそれこそがリアルツアーで注力すべきエッセンスです。
②「オンラインで満足したら、実際の旅行に繋がらなくなる (オンラインツアーとリアルツアーは対立する)」
オンラインツアーに参加したお客様は、逆に旅行したい機運が高まるのを実感として感じます。これはオンラインツアーをやるガイド間の共通認識です。
オンラインツアーを「広報」と捉えれば、収入を伴う広報となります。実際の渡航先をオンラインツアーで探すというやり方が現れるかもしれません。オンラインツアーは、実際のリアルツアーと対立するものではなく、リアルツアーを補完する、あるいは促すものです。今、それを実証するため参加者向けのアンケートを作っています。
③「オンラインツアーは大した収益にならない」
オンラインツアーは単価が低くならざるを得ないので収益性が低いです。オンラインツアーによって、これまでの収益をカバーしようと考えるとおそらく期待外れになります。しかし、オンラインツアーを「広報」と捉えれば大した収益にならなくとも行う意義は大いにあります。そして何より、旅行屋は旅行を作るのが仕事です。ツアーを企画して、お客様に案内して、楽しんでもらうことは、関わる企画者、添乗員・ガイドを必ず元気付ける作用があると信じます。
<オンラインツアーのメリット>
①地理的制約を受けない
例えば、知り合いのガイド仲間で、茨木市という大阪の郊外で、駅から車で10分程の自宅で外国人向け料理教室をやっている人がいます。内容は素晴らしいのですが、アクセスの悪さ故、集客が振るわず苦戦されていました。ところが、オンラインになるとアクセスの悪さは関係なくなり、大阪駅前の一等地と同じ土俵になります。
同じどころか、むしろ地価が安くスペースのある地方の方が有利です。大都市がコモディティ化する中で、地域の独自色を出すことができたら、それは大きな訴求ポイントにもなります。
これは画期的なことで、「立地のパラダイムシフト」とも言えます。
②マーケットは世界
オンラインツアーは、インターネット環境がある全世界からアクセスの可能性があります。
まさにマーケットは全世界です。
「『日本に旅行をしている』世界中の外国人」ではありません。
日本とは縁もゆかりも興味もない人も含めて世界中の人です。
また、新しく日本への興味の有無とは関係なく、あるテーマへの興味がある人を新たに呼び込むことが可能です。
例えば自分のやっているウィスキーツアーであれば、
「ウィスキー」に興味がある人が、日本旅行に関心が全くなくても、予約をしてくれます。
そして、参加した多くの人は、日本旅行に興味を持ってくれます。
これは、本当にすごいことだと思います。
(もちろん、マーケットは全世界と言っても、ある程度、言語や時差の制約はありますが)
③広報
先程も挙げたように、オンラインツアーには広報としての側面があります。
既にオンラインツアーの中には、バーチャル東京観光、バーチャルパリ観光のようなタイプもあります。
リアルな旅行のハードルが上がり、旅行の価値が高くなれば、これからは実際の旅行先を決める際に、オンラインツアーに参加するという手法が一般化するかもしれません。
一度に届けられる数は限られますが、訴求力が桁違いの新しい広報形態の出現ととらえると、私はとてもワクワクします。
④物販との親和性
既に国内のオンラインツアーでは事例が出てきていますが、オンラインツアーは物販とめちゃめちゃ相性がいいです。リアルな旅でも、ご当地の食や工芸品などに触れるのは、大きな旅の楽しみの一つです。オンラインツアーでも現地と繋がったら、やはりご当地のお酒を飲んだり、旬の食べ物を食べたり、お土産を買ったりしたいです。
この物販は「タビマエ」と「タビアト」があります。
「タビマエ」
ツアーに予約したら、ツアー実施日前に地元から名産が送られてきます。
これをツアー前に食べて楽しみ、ツアー当日へのわくわくへとつなげます。
もしくは、ツアー中にガイドの解説を聞きながら一緒に食べて楽しむこともできます。
「タビアト」
オンラインツアーを通じて知った現地の商品をツアー後に購入。謂わば、旅行してお土産を買う感覚です。
オンラインツアーを実施する旅行会社などが、名産品の購入サイトを作ったり、ECサイトに誘導もできます。
<事例>
琴バスオンラインバスツアー ※「タビマエ」「タビアト」両方。
⑤地域活性化に寄与
地域の観光事業者が潤い、雇用が生まれ(あるいは保たれ)、地域の物産が売れるのであれば、それは地域経済にとってプラスになります。
また地域のファンが増え、訪問したり、様々な形で応援してくれる人が増えるのは地域にとって基本的にはいいことだと思います。
⑥双方向性
オンラインツアーは双方向性があります。
これがYoutubeなどの動画コンテンツと大きく異なる点です。
中間のものとして、ライブ配信などもありますが、オンラインツアーの双方向性は抜きん出ています。
全員の顔が見え、相互コミュニケーションもでき、参加している感を味わえるオンラインツアーは、実際のツアー同様に「つながり」感じることができ、それがリアルツアーと同様の満足感をもたらしています。
多くのオンラインツアーは、そこを意識して、人数制限を少なく設定して、はじめに自己紹介の時間を設けたり、全員一緒に何かを行う仕掛けを入れたりと、と工夫をこらしています。
⑦ガイド・観光事業者が元気になる
これは個人的とても強調したいことです。
オンラインツアーをすることでガイドが元気になります。
今ガイド・添乗員は本来の仕事がなくなり、意気消沈しています。
ガイドの仕事はガイドをすること。
たとえオンラインでもガイドをすることは、大いなる喜びで、やはり自分はガイドの仕事が好きだったんだなと思い出すガイドが多いのではないかと思います。私自身もそうだったし、周りのガイドでオンラインツアーを始めた仲間は精気を取り戻しました。
コロナ禍で、現場を離れたガイド・添乗員が他の業界へ流失してしまうことは観光業界にとって大きな損失です。
コロナ後の観光で、ガイドの必要性は高まる。
来たるべく爆発的復活期に備えて、有能なガイド・添乗員人材を観光業界につなぎとめることになるのであれば、オンラインツアーはそれだけでも大いに価値があると思います。
ガイドのことばかり書きましたが、これは旅行会社をはじめとして、観光業者も同じことで、旅に関わると元気がでるはずです。
というような理由で、私は今オンラインツアーに首ったけで、様々なオンラインコンテンツに参加したりしています。
オンラインツアーはまさに百聞は一見に如かず。観光関連産業の方はとにかくなんでも参加してみることを強くお勧めいたします。
以下は実際に参加したお勧めオンラインツアーと
実際に参加していないけど知っているオンラインツアーのリンクです。
<実際に参加したお勧めオンラインツアー>
「エアビーオンライン体験」
キング・オブ・オンラインツアー。オンラインツアーの礎を築いた。
コンテンツも世界中で400以上と多数あり、いずれも質が高い(8つ参加した)。基本英語だが、日本のもので日本語対応しているものもある。
「オンラインウィスキー体験 Secret of Japanese Whiskey」
筆者の体験です。6月頭からエアビーオンライン 体験で掲載しています。アメリカ人が多く参加してくれます。
「琴バスオンラインバスツアー」
初のオンラインバスツアー。これは参加した中で一番度肝を抜かれた。総合演出エンターテイメント。
とにかくすごい。参加を強くお勧めいたします。
私が参加したのは第2弾の祖谷。
他の2つも絶対に同水準で優れているでしょう。
「オンライン宿泊 LInda Hostel 106」
オンライン宿泊パイオニアのWhy Kumanoに触発され、いち早く大阪ローカル版をローンチした新進気鋭のLinda Hostel 106によるオンライン宿泊。「ゲストハウスの価値とは人との繋がりを得られること」と看破して、オンラインながらに参加者・オーナー・地域(大阪の下町)との繋がりを見事に演出したコンテンツは本当に見事。大阪の人も、大阪以外の人も楽しめると思います。
その他のオンラインツアー
「ノットワールドの「那智勝浦の生マグロを最大限楽しむ、オンラインマグロツアー」」
とても秀逸で次に参加したいと考えているツアーです。「地方応援オンラインツアー」の取組みは感動的です。
H.I.Sグループの「アクティビティジャパン」もオンライン体験を始めています。
「The Table Less traveledのLive cooking class」
アメリカの会社。英語になりますが、世界中のシェフからZoomで各国料理が学べます。