21世紀新明治計画 愛国者学園物語 第250話
討論会の3回目では、最初の話題を討論する前に、司会の内田から驚くべき提案があった。それは、第4回目の討論をしよう、そして、テーマは自由に選べるデスマッチにしようというのである。美鈴は絶句し、吉沢も驚き、強矢は好機を得たと喜び、根津はポーカーフェイスでいた。そして、美鈴組、強矢組共に第4回目に賛成し、出演することになった。
今日最初の話題は、強矢たち日本人至上主義者たちが提唱する「
21世紀新明治計画」
についてだった。憲法や政府機関などを作り変えて、かつての大日本帝国のようにしよう、明治時代の偉大な日本を取り戻そうという大計画だった。彼らがそれを世に問うたとき、かつての大日本帝国に支配された東南アジアや中国・韓国、それにロシアなどでは大規模な反日キャンペーンが行われ、そのような国々に在住する在外邦人たちが一時的に日本に避難したが、日本人至上主義者たちは「そんなことぐらい」ではめげなかった。
今の自虐史観に満ち溢れた(あふれた)祖国を自信あふれる偉大な祖国に作り直す。
その大命題の前には、「そんなこと」は重要ではなかった。
21世紀新明治計画の草案は以下である。
これには、
「日本人が誇りを持って生きることが出来る、世界最高の国家日本を作るために。かつて、日本が近代化を推し進めた明治時代を手本とし、21世紀の強く美しい国家日本の建設運動を、21世紀新明治計画と名づける」
という前文がある。
1、自主憲法の制定
明治時代の大日本帝国憲法を参考にし、天皇を主体とする神の国を再建する。
2、天皇を国家元首に
具体的には、天皇を国家元首と日本軍の最高指揮官にすること。
皇室を繁栄させるため、皇族の男性は側室を持つことが出来る。側室候補を育成するために2年制の花嫁学校、菊女学園を作る。入学出来るのは、学歴が優秀な人間、政府から推薦された者や有名人の子女など、容姿端麗のエリートのみとする。
皇宮警察は廃止、軍の近衛師団が皇族や皇室関連施設の警備にあたる。近衛師団には、不審者を警告なしに射殺出来る権限を与える。皇室侮辱罪を創設、最高刑は死刑。
3、神道の国教化
外国の脅威に晒されて(さらされて)いる神道を守り、後世に受け継ぐためには、全国民が参加して、神道の国教化を推進する。靖国神社と伊勢神宮などを国が定める聖地に指定。国教侮辱罪を創設。かつて起きた落書き事件のような事件をこれで処罰する。
4、自虐史観との訣別(けつべつ)
自虐史観を日本人至上主義に。戦没者追悼式を、戦没者栄誉式に。千鳥ヶ淵戦没者墓苑を廃止し、靖国神社に合祀する。国定教科書は、大東亜戦争を、日本国が生存するために行った自衛戦争であり、正義の戦争と定義。日本軍のアジア進出は、アジア諸国に大東亜共栄圏をもたらし、欧米の植民地支配からの脱却を促した(うながした)、正義の戦争と定義する。国定教科書を使わない教員は、国定教科書反逆罪で逮捕、教員資格を剥奪し、労働刑に処す。
6、明治天皇による教育勅語(ちょくご)を、全ての国民に暗唱させる。
7、自衛隊を軍にする
日本軍に核兵器と核ミサイルを装備する(相互確証破壊理論の実現。核があれば、日本は攻撃されない)。
徴兵制度を創設、女性も参加させる。ただし、学歴エリートや五輪選手など政府が特に認めた者は除外。
全ての若い国民は18歳になったとき、徴兵のための国防健康診断を受けなければならない。診断を拒否する人間には2年間の労働刑と公務員受験資格を永久に剥奪する。
自衛隊の警務隊を改めて憲兵隊に。憲兵に即時処刑権を与え、軍施設への侵入者や、徴兵者の脱出はその場で射殺する。逮捕や捜査、警告はしない。
東アフリカのジブチと、中東のUAE、東南アジアのタイに日本軍基地を。ジブチとタイは通商路を守るため、UAEはペルシャ湾の石油ルートを守るため。
皇居前での、大軍事パレードを復活させる。
叙勲制度を改め、軍事勲章制度を復活。
愛国債券により軍事費を調達。この債券の利率は一般的な債券よりも高い。
8、特別高等警察などの復活
国家反逆罪を創設、スパイ行為、共産主義の流布、反社会的活動は厳罰に処する。最高刑は死刑。
政府が特に定める政治思想を国民に流布した者は、国家反逆罪に処す。
愛国警察(思想警察)を創設し、反日的言動を取り締まる。
9、司法の再編
公開裁判における国家機密漏洩を防止するために、秘密裁判を行う。
検察に特別高等部を置き、国家反逆罪やスパイ罪を担当させる。
国家は死刑を積極的に行う。死刑事件の再審は行わない。
10、貴族制度の復活
政府高官や総理大臣経験者、功績のある政治家、軍人、大企業経営者などを貴族にする。
公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の階級を復活させる。一部の爵位に世襲を認める。
貴族院制度を復活させ、貴族議員にその任にあたらせる。
11、元老院の創設
総理大臣、閣僚、都道県知事、大使、軍高官、官僚組織の最高幹部などの経験者や、貴族を元老院議員に任命し、政治への提言を行ってもらう。国家に貢献した人々を称え、その功績に報いるため。終身在籍資格を与え、年金を支給する。
12、民主主義は米国によってもたらされた悪である。従って、日本独自の政治を確立する。政権与党議員の子息には議員資格の世襲を認め、無選挙で国会議員になれる。
13、内閣宣伝局の創設
世界の反日勢力によるデマゴーグに反論し、宣伝局が正しい主張を行う。
また、美しい祖国日本の姿を全世界に宣伝する。
14、内閣情報局の創設
15、マスメディア監督委員会の創設
マスメディアの業務を監視し、悪質な報道を行なった組織には、行政罰などを与える。