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アビマニュの結婚 ワヤン版マハーバーラタ(2)
レシ・シディワチャナが2人の孫を送り出す
一方、アンドングスマウィ庵では、レシ・シディワチャナのところに成長した2人の孫娘、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティが現れた。2人の娘は、母親のエンダング・マヌハラに死に別れたばかりだった。100日前、エンダン・マヌハラは病気で亡くなった。生前、彼女はエンダン・プレギワとエンダン・プレギワティに、二人のの父親は五人のパンダワの第三王子、アルジュナであると話していた。彼女らの父の住まいはアマルタ王国の一部であるマドゥカラ宮殿であった。母を亡くしたエンダン・プレギワとエンダン・プレギワティは、父を探そうと思った。
レシ・シディワチャナは二人を阻止しようとしたが、二人の少女はマドゥカラに行くことを主張した。彼はやむを得ず、二人が去るのを許可した。しかし、二人の孫娘だけで行かせるのは忍びなかった。レシ・シディワチャナは高齢と病気のため、二人の旅に同行することができなかった。仕方なく、使用人のジャナロカを呼び出し、二人の孫を案内するように言った。ジャナロカは痩せていて醜かったが、熱意に溢れていた。 彼は二人の少女のボディーガードになると言った。彼は、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティが父親に会うまで護衛することを誓った。 もしジャナロカが途中で気が変わったら、不運に見舞われ、暴徒の中で死んでしまうだろう。
レシ・シディワチャナはジャナロカを信頼し、使用人にそのような誓いを立てさせなかったが、ジャナロカはすでに誓いを立てていたため、取り消せなかった。彼は、旅の途中で何も起こらないことを願った。祖父から旅支度を受け取った後、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティは旅立ち、マドゥカラの父アルジュナに会えるよう、祖父に祝福を求めた。
アビマニュ、ガトートカチャに助けを求める
プリンガダニ王国では、アリンビとその息子のガトートカチャが、パナカワンのスマル、ナラ・ガレン、ペトルク、バゴンを伴ったアビマンニュを迎えた。アリンビは甥を歓迎し、何の用件なのか尋ねた。アビマンユは悲しそうな顔で、ドワラワティ王国からパティ・スラタとパティ・スシトラが到着し、シティスンダリと結婚するための条件について、クリシュナとバラデワの決定を伝えたと言った。 実は以前、彼女の両親(アルジュナとデウィ・スンバドラ)が二人の結婚を提案したとき、クリシュナははっきりと承諾していたが、日取りは決まっていなかった。
しかし今、バラデワがレスマナとシティスンダリの結婚の提案しため、クリシュナは優柔不断になり条件を出す事になった。アリンビは、クリシュナが求める条件は何かと尋ねた。アビマニュは、この条件は実はバラデワが提案したもので、花婿候補は、双子ではなく顔が似ている村娘のペアの形で、付添い人のパタ・サクンバランを提示しなければならないと言った。
この捜索において、アビマニュはアルジュナに助けてもらわず、レスマナはドゥリュダナに助けてもらえなかった。そのため、アビマニュはプリンガダニ王国に来て、ガトートカチャに助けを求めた。子供の頃から、アビマニュとガトートカチャは兄弟のようにしていた。
弟の訴えを聞いたガトートカチャは、すぐに協力すると言った。そして母親に、アビマニュの旅に同行する許可を求めた。もちろん、アリンビは許可を与え、バラデワとクリシュナが提案した条件を二人が満たすことができるように祈った。
ジャナロカ誓いを破る
一方、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティはアンドンスマウィを出発した。彼らはアマルタ王国への道を旅していた。突然静かな場所で、ジャナロカは二人の少女に少し休むように言った。
ジャナロカは、甘い言葉でエンダン・プレギワを誘惑し始めた。彼は、ここ数日エンダン・プレギワに想いを寄せていると言って、少女に近寄ろうとした。ジャナロカが初めてアンドンスマウィ庵に受け入れられたとき、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティはまだ子供だったので何の感情もなかったが、二人が成長した今、ジャナロカは大人びたエンダン・プレギワに密かに思いを寄せていた。エンダン・プレギワは、ジャナロカの愛は受け入れられないと答えた。子供の頃から、彼女とエンダン・プレギワティはジャナロカを叔父とみなしていた。 そのため、もし今ジャナロカが自分の気持ちを伝えたとしても、エンダン・プレギナはそれを受け入れることは出来なかった。
ジャナロカは恥ずかしさと怒りを感じた。欲情がピークに達して、暴力を振るうつもりだったのだ。 彼は、アンドンスマウィ庵から遠く離れ、レシ・シディワチャナを恐れる必要がなくなかったからだ。 エンダン・プレギワはジャナロカが彼女と妹をマドゥカラ宮殿まで護衛すると誓ったことを思い出した。もし誓いを破れば災難に見舞われるだろう。しかしジャナロカは意に介さなかった。彼は、エンダン・プレギワティとエンダン・プレギワを犯すと言い張った。
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突然、木の枝が折れて彼の頭に落ちた。ジャナロカは地面に倒れた。エンダング・プレギワとエンダング・プレギワティはこの隙に逃げ出した。目を覚ましたジャナロカは、自分の誓いが実現したことに愕然とし、庵から持ってきた水差しの水を飲んだが、突然水差しが割れて中身がこぼれた。ジャナロカは恐ろしくなった。
しかし、彼はすでに誓いを破っていた。すでに誓いを破ったのだから、罪を犯しても同じである。濡れるが勝ちということわざがあるように。そこで、ジャナロカは必死にエンダン・プレギワとエンダン・プレギワティを追いかけた。
ジャナロカは2人の少女の後を追って速く走った。 エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティは腰布を巻いていたため、その足取りは大きくなかった。一瞬にしてジャナロカに追いつかれた。2人の少女は捕らえられ、レイプしようと茂みの中に引きずり込まれた。
偶然にも、パティ・サンクニとコラワが通りかかった。彼らはちょうど10の村を物色していたが、双子ではない似た顔の2人の少女を見つけることができなかった。しかし、彼らは手ぶらで帰ろうとはしなかった。ドゥルササナとその兄弟は、自分たちの欲望を満たすために、妾にする何人もの美しい少女を誘拐した。パティ・サンクニは、ジャナロカに引きずられた二人の少女の顔が似ているのを見た。 彼はドゥルササナたちに彼女たちを捕らえるよう命じた。ドゥルササナと兄弟たちはすぐに行動を起こした。 彼らはすぐにジャナロカを攻撃した。ジャナロカは驚いて、身を守ろうとしたが、たった一人であれだけの数のコラワに立ち向かえはしなかった。ドゥルササナ、カルタワルマ、スルタユ、そして他のコラワたちは、痩せた男を殴り殺すした。エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティはジャナロカの死を悼んだ。たとえその男が自分たちに悪事を働こうとしても、彼らは子供の頃から彼を叔父だと思っていたのだ。
サンクニは二人の少女に、双子なのかと尋ねた。 エンダン・プレギワは「いいえ」と答えた。 彼女とエンダン・プレギワティは1歳違いの姉妹だったが、子供の頃から亡き母から同じ服を着せられていたので、まるで双子のように見えたのだ。パティ・サンクニはこれを聞いて大喜びした。彼女たちはバラデワの希望にぴったりであったので、二人の娘をハスティナ王国に連れて行こうとした。エンダン・プレギワはアマルタ王国に行き、父親であるアルジュナに会うことが目的だったため、それを拒否した。パティ・サンクニは気にしなかった。 父親探しの問題は、レスマナ・マンドラクマラがシティスンダリと結婚した後にすればいいと言った。エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティは反対だと主張したが、その手はドゥルササナに捕まり引きずられた。
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エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティはガトートカチャに助けらる。
その時、アビマニュとガトートカチャがプナカワンと共に現れた。 二人の少女がコラワに引きずられているのを見て、ガトートカチャはすぐに前に出て助けようとした。ガトートカチャは空中から蹴りを飛ばしながら暴れまわった。 コラワたちは圧倒された。ガトートカチャ自身は、父のいとこたちを傷つける気はなく、コラワが捕らえた2人の少女を助けようとしただけだった。エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティを助けた後、ガトートカチャはすぐに彼女たちを連れて飛び去った。 アビマニュとプナカワンもすぐに後を追った。
コラワたちをはるか後方に置き去りにした後、ガトートカチャとアビマニュは、すぐにエンダン・プレギワとエンダン・プレギワティに、コラワたちに捕まった理由を尋ねた。 エンダン・プレギワは、自分と妹がアンドンスマウィからアマルタ王国へ父親を探しに来たと話した。しかし、途中でコラワに捕らえられ、ハスティナ王国に強制連行されるところだったと言った。アビマニュは、自分もアマルタ王国の出身だから、彼女たちの父親を探すのを手伝えると言った。エンダン・プレギワは、彼女の父親はアルジュナで、母親はエンダン・マヌハラという名前で、亡くなったばかりだと告げた。
アビマニュは、彼女たちの父親が自分の父親と同じと聞いて驚いた。そして、自分より年上のラデン・ガトートカチャに、父がエンダン・マヌハラという女性と結婚していたというのは本当かと尋ねた。しかし、ガトートカチャは夢見心地でエンダン・プレギワを見ていて答えなかった。 そこでアビマニュは、スマルや他のプナカワンにこのことを尋ねた。スマルは、アルジュナがデウィ・スンバドラ(アビマニュの母)と結婚する前に、エンダン・マヌハラという村の女性と結婚していたことを確認した。つまり、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティはアビマニュの異母姉妹であった。
アビマニュはとても喜び、エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティを一緒にマドゥカラ宮殿に招待した。また、ガトートカチャにもコラワたちが追いかけてくる前に、一緒に国に帰るように言った。 ガトートカチャは、まだ夢見心地でエンダン・プレギワを驚きのまなざしで見つめていた。 エンダン・プレギワは顔を赤らめた。アビマニュは、二人が互いに想い合っていることに気づいて微笑んだ。
エンダン・プレギワは、コラワから解放してくれたガトートカチャに感謝した。ガトートカチャは、興奮のあまりナラ・ガレンの鼻を手で押さえながら、緊張した面持ちで答えた。エンダン・プレギワ自身もまた、颯爽とした従兄弟に密かに惹かれていたが、事前にそれを明かすことはできなかった。
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エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティが新郎新婦の付添い人になる
アビマニュとガトートカチャは、マドゥカラ宮殿でエンダン・プレギワとエンダン・プレギワティをアルジュナとデウィ・スンバドラに会わせた。アルジュナは、二人の娘が成長したのを見てとても感動した。また、エンダン・マヌハラの訃報を聞いて悲しんだ。彼は心の中で、二人の娘がこんなに大きくなるまで面倒を見てくれた妻と叔父の努力に感謝した。
顔は似ているが双子ではない二人の娘を見て、アルジュナは喜んだ。エンダン・プレギワとエンダン・プレギワティは、花嫁と花婿に付き添うパタ・サケンバランとなった。
ラスマナ王子はドワラワティ王国に出発。
一方、ハスティナ王国では、レスマナはすぐにドワラワティ王国から花嫁を連れて来たいと、彼の父と母に泣き言を言った。ドゥルヨーダナとデウィ・バヌワティは息子に忍耐強く、パティ・サンクニからの知らせを待つよう勧めた。しかし、レスマナは焦っていた。彼は、パティ・サンクニがバラデワが要求する2人の村娘を手に入れることに成功すると確信していた。
息子を甘やかしすぎたドゥルヨーダナは、仕方なくその要求に応じた。 彼はレスマナ・マンドラクマラに花婿衣装を着せ、デウィ・バヌワティと共にドワラワティ王国へ旅立った。
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続く