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商品ETFで広がる投資の世界~金、原油、農産物~ 現物投資とは異なる魅力とリスク



1. はじめに:商品ETFで手軽にコモディティへ投資


ETF(上場投資信託)の魅力は、株式のように手軽に、そして多様な資産へ投資できる点にあります。特に、金や原油などの「コモディティ(商品)」への投資を可能にする「商品ETF」は、近年注目を集めています。
従来、現物や先物でしか取引できなかった金、銀、原油、農産物といった商品に、ETFを通じて少額から、かつ手軽に投資できるようになりました。

2. 楽天証券やSBI証券で簡単リサーチ!原油、金、銀の価格をチェック


コモディティの価格は、楽天証券やSBI証券といった主要ネット証券のウェブサイトで簡単に確認できます。 また、松井証券の「マーケットラボ」などのウェブサイトを活用するのも良いでしょう。
さらに、「Investing.com」 などのウェブサイトでは、より多くの商品価格情報を得ることができます。

3. 国内上場ETFで原油や金に投資:注目の「金ETF」を例に


それでは、実際に日本国内に上場されている商品ETFを見てみましょう。楽天証券やSBI証券のウェブサイトで、「国内ETF」のページから「商品」カテゴリーを選択すると、国内上場されている商品ETFの一覧が表示されます。
金、銀、原油、天然ガス、穀物など、多様なETFが上場されていることがわかります。これらのETFは、対象となる商品の価格指数に連動して価格が変動します。
ここでは、代表的な商品ETFをいくつか紹介します。

3-1. 純金上場信託(現物国内保管型)(1540)

  • 概要: 国内現物保管型の金ETFで、三菱UFJ信託銀行が金の現物を国内で保管しています。信託報酬は0.44%(税込み)です。

  • 特徴: 金の現物を裏付け資産としているため、金価格との連動性が高いことが特徴です。

3-2. SPDRゴールド・シェア(1326)

  • 概要: 世界最大級の金ETFで、現物の金地金で裏付けされています。信託報酬は0.4%です。

  • 特徴: 流動性が高く、金価格との連動性が高いことが特徴です。

3-3. WTI原油価格連動型上場投信(1671)

  • 概要: WTI原油先物の価格に連動するETFです。信託報酬は0.869%(税込み)です。

  • 特徴: 原油価格への投資を手軽に行うことができますが、先物価格に連動するため、現物価格との乖離が生じる可能性があることに注意が必要です。

これらのETFは、楽天証券、SBI証券、マネックス証券などの主要ネット証券で取引できます。

例:「純金上場信託(現物国内保管型)(1540)」を詳しく見てみましょう。
楽天証券のウェブサイトで「1540」と検索すると、このETFの詳細情報が表示されます。価格推移チャート、基準価額、出来高などを確認できます。
重要なのは、「目論見書」 を確認することです。目論見書には、ETFの運用方針、投資対象、リスク要因、費用などが詳しく記載されています。「純金上場信託(現物国内保管型)(1540)」の場合、金の現物を裏付け資産とし、金価格に連動する投資成果を目指していることがわかります。

4. ETNとは?ETFとの違いとメリット・デメリット


ETN(Exchange Traded Note)は、ETFと似ていますが、いくつかの重要な違いがあります。

  • ETF(Exchange Traded Fund): 実際に現物資産や先物などに投資し、特定の指数に連動するよう運用される「ファンド」です。

  • ETN(Exchange Traded Note): 証券会社が自身の信用に基づき、特定の指数への連動を保証する「債券」です。

安定性の面では、裏付け資産を持つETFが優れていますが、商品の多様性では、発行体の信用力に基づいて組成されるETNに軍配が上がります。 日本では、「NEXT NOTES」シリーズなどが有名です。ただし、日本では商品ETNの数は商品ETFと比べて少ないのが現状です。

5. 商品ETF投資のリスクと注意点:価格予想の難しさ


商品ETFは、多様な資産への投資機会を提供してくれますが、注意すべき点もあります。それは、商品価格の予測は、世界経済の予測と同じくらい難しいということです。
「自分は商品価格の先行きを予測できる」という考えは、ある種の過信と言えるかもしれません。投資判断は、「現在の価格は過去と比較して十分に割安か?」「将来的に価格上昇が見込めるか?」「損失リスクが限定的か?」といった点を慎重に見極める必要があります。
特に、価格が急騰している局面で「乗り遅れまい」と慌てて投資するのは非常に危険です。

6. 個別商品ETFの特徴と投資判断のポイント


ここでは、代表的な商品ETFの特徴と投資判断のポイントを解説します。

6-1. 金ETF:米ドルとの関係性と投資タイミング


金は、米ドルの価値が下落する局面で価格が上昇する傾向があります。これは、米ドル以前は金が基軸通貨であった歴史的背景に由来します。つまり、米国経済の先行きに不透明感が増したり、金融危機が発生したりするなど、米ドルの信認が揺らぐような状況では、金の価格は上昇しやすくなります。 反対に、米国経済が好調で米ドル高が進む局面では、金の価格は下落する傾向があります。

6-2. 銀ETF:金との価格連動性を理解する


銀は金と価格が連動する傾向が強く、基本的には金ETFと似た値動きをします。そのため、「金ETFに投資しているから、リスク分散のために銀ETFにも投資しよう」というのは、あまり意味がありません。銀ETFに投資する場合は、金との価格連動性を理解した上で、投資判断を下す必要があります。

6-3. 農産物ETF:長期的な価格動向と投資判断


農産物ETFは、他のコモディティと比べて、現時点では、価格が今後大きく上昇する要因が見当たりません。長期的な価格動向をよく確認し、慎重に投資判断を下す必要があります。

6-4. 原油ETF:世界経済、株式市場、地政学リスクとの関連性


原油価格は、世界経済の動向、特に製造業の活動状況を反映します。また、原油価格は株式市場の変動率よりも大きく変動する傾向があります。
さらに、原油価格は、中東情勢などの地政学リスクの影響も大きく受けます。 原油ETFへの投資を検討する際には、これらの要因を総合的に考慮する必要があります。

7. まとめ:商品ETFは万能ではない!適切な知識と理解でリスク管理を


商品ETFは、多様な資産への投資機会を、手軽に、少額から提供してくれる魅力的な金融商品です。しかし、商品ETFは決して万能ではなく、投資対象に関する適切な知識と理解、そしてリスク管理が不可欠です。
特に、商品ETFへの投資を検討する際には、価格変動要因を十分に理解し、慎重に投資判断を下すようにしてください。また、一つの商品ETFに集中投資するのではなく、他の資産クラスへの分散投資も検討し、リスクを適切に管理することが重要です。


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