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「お金」とは何か? なぜ、あなたの預金は目減りするのか。

はじめに

「お金」とは何でしょうか?

私たちは日々、お金を使い、貯め、増やそうと努力しています。しかし、その「お金」の本質について、深く考えたことはあるでしょうか?

本記事では、「お金」の役割、そして現代社会における「お金」の問題点を、分かりやすく解説していきます。特に、私たちが普段使っている「信用貨幣」の抱えるリスクについて考察します。

お金の3つの役割

一般的に、お金には以下の3つの役割があるとされています。

  1. 価値貯蔵手段 (Store of Value):将来のために、価値を保存しておく手段

  2. 交換の媒介 (Medium of Exchange):商品やサービスと交換するための手段

  3. 価値尺度 (Unit of Account):商品やサービスの価値を測るための基準

信用貨幣の限界:価値貯蔵手段としての欠陥

現在、私たちが使用している日本円や米ドルなどの通貨は、「信用貨幣」と呼ばれます。信用貨幣とは、国家の信用を裏付けとして発行される貨幣であり、金(ゴールド)のような実物資産に裏付けられていません。

信用貨幣は、交換の媒介や価値尺度としては機能しますが、価値貯蔵手段としては大きな問題を抱えています。

その証拠に、現在最も信頼されている信用貨幣である米ドルでさえ、1971年のニクソン・ショック(金本位制の廃止)以降、その購買力を約90%も失っています。

つまり、1971年に1万ドルを金庫に保管していた場合、現在の購買力は当時の1,000ドル相当にまで下落しているのです。

失われた購買力はどこへ消えたのか?

では、失われた9,000ドル分の購買力はどこへ消えたのでしょうか?

その答えは、「過剰な金融緩和」と「一部の資産への富の集中」 です。

政府は、景気刺激などの名目で、通貨供給量を増やし続けてきました。その結果、通貨の価値が希薄化し、インフレが発生します。そして、このインフレによって、現金を保有する人々の購買力は、実質的に減少 してしまいます。

一方、金融緩和によって生まれた余剰資金は、株式や不動産などの資産市場に流れ込み、これらの資産価格を押し上げます。結果として、資産を持つ者と持たざる者の格差が拡大 していくのです。

銀行預金では、インフレに勝てない

「銀行に預けておけば、利息が付くから大丈夫」と考える方もいるかもしれません。しかし、1971年の金本位制の廃止以降、特に2008年のリーマンショック以降、預金金利はインフレ率を下回る水準で推移 しています。つまり、銀行に預けていても、実質的には資産が目減りしているのです。

過去の教訓:歴史は繰り返す

歴史を振り返れば、信用貨幣の価値が毀損し、ハイパーインフレが発生した事例は数多く存在します。

  • 古代中国の「交子」(世界初の紙幣)

  • 江戸時代の日本における「当百銭」

  • 第一次世界大戦後のドイツ

  • 近年では、ベネズエラ、ジンバブウェ、アルゼンチン、トルコ

これらの事例は、信用貨幣が本質的に抱えるリスク を示しています。

なぜ、信用貨幣は購買力を失い続けるのか?

信用貨幣は、金などの実物資産に裏付けられていないため、発行コストはほとんどゼロ です。そのため、政府や中央銀行は、財政赤字の補填や景気刺激などの目的で、容易に通貨供給量を増やすことができます。

しかし、通貨供給量の増加は、通貨の価値の希薄化 を招き、インフレ を引き起こします。そして、インフレは、通貨の購買力を低下 させるのです。

リンゴの例え:インフレの本質

ここで、リンゴの例を用いて、インフレの本質を考えてみましょう。

市場にリンゴが10個、通貨が10円流通しているとします。リンゴ1個の価格は1円です。

ある日、政府が通貨供給量を増やし、市場に10円を追加で供給しました。その結果、市場には合計20円の通貨が流通することになります。

リンゴの供給量(10個)は変わらないため、リンゴ1個の価格は2円に上昇します。これは、通貨の価値が半分に下落したことを意味します。

このように、通貨供給量の増加は、通貨の価値を希薄化させ、インフレを引き起こす のです。

信用貨幣は、長期的に見れば、その価値を失い続ける運命にあるのです。

補足:信用貨幣の歴史と問題点

信用貨幣の歴史は、政府や中央銀行による通貨の過剰発行と、それに伴うインフレの歴史でもあります。

  • 金本位制の時代: かつては、金(ゴールド)などの実物資産が貨幣の価値を裏付けていました。しかし、金本位制は、経済成長に伴う通貨供給量の増加に対応できないという問題を抱えていました。

  • 管理通貨制度への移行: 多くの国が金本位制を放棄し、中央銀行が通貨供給量を管理する「管理通貨制度」へ移行しました。しかし、この制度は、中央銀行の裁量によって通貨供給量が左右されるため、インフレのリスクが高まります。

  • 現代の金融政策: 現在、多くの中央銀行は、インフレ目標を設定し、金融政策を通じてインフレ率をコントロールしようとしています。しかし、過剰な金融緩和は、資産インフレや格差拡大などの副作用をもたらす可能性があります。

真の価値貯蔵手段を考える必要性

現代社会において、信用貨幣は「価値貯蔵手段」としての役割を十分に果たしていません。私たちは、インフレによって資産が目減りするリスクに常にさらされているのです。

将来にわたって資産の価値を守るためには、信用貨幣だけに依存するのではなく、真の価値貯蔵手段 について真剣に考える必要があります。

  • あなたは、信用貨幣の将来について、どのように考えていますか?

  • インフレから資産を守るために、どのような対策を講じていますか?

  • 真の価値貯蔵手段として、どのような資産が考えられますか?

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