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ビットコイン、2025年も力強く上昇。米株下落をよそに2.5%高、9万4000ドル台を回復

米労働市場の堅調さが示す米株下落とは対照的に、ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)が上昇基調にあります。 2025年1月11日午前9時(日本時間)現在、グローバルなコイン市況中継サイトであるCoinMarketCapのデータによると、ビットコインは過去24時間で2.50%上昇し、9万4747ドルを記録しました。

この日、ビットコインは一時9万5770ドルまで上昇し、昨年からの調整相場を抜け出しつつある力強い動きを見せています。一時は9万1000ドルを割り込む危機にも直面していましたが、今回の反発は底堅い買い需要の存在を示唆していると言えるでしょう。本記事では、2025年を迎えたビットコインの最新動向を深掘りし、その背景にある要因、そして今後の展望について解説していきます。

米雇用統計が示す強気相場、しかし米株は下落

今回のビットコイン上昇の背景には、まず米国の雇用統計が挙げられます。先日発表された雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り、米労働市場の力強さが改めて示されました。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ時期が後ずれする可能性を示唆し、米国の主要3指数(ダウ平均株価、S&P 500、ナスダック総合指数)は揃って1%以上の下落となりました。

通常、株式市場が下落すると、リスク資産とされるビットコインも連れ安となる傾向があります。しかし、今回は米株下落にも関わらず、ビットコインはむしろ上昇しているのです。これは、近年のビットコインを取り巻く環境の変化、そして投資家心理の変化を反映していると考えられます。

「トランプ砲」から「機関投資家の時代」へ

2024年までのビットコイン相場を振り返ると、米大統領選挙におけるドナルド・トランプ前大統領の発言が、大きな影響を与えてきました。トランプ氏は、暗号資産に対して比較的寛容な姿勢を示しており、彼の発言はしばしば「トランプ砲」と呼ばれ、市場を動かす要因となってきました。

しかし、2025年現在、「トランプ砲」の影響力は限定的になりつつあります。以前のように、トランプ氏の発言が直接的にビットコイン価格を大きく動かすことは少なくなってきました。これは、ビットコイン市場が成熟し、よりファンダメンタルズに基づいた動きに変化してきたことを示しています。

そして、トランプ砲に代わって存在感を増しているのが、機関投資家の動向です。

ビットコイン上昇を支える3つの要因

今回のビットコイン上昇を支える要因として、具体的には以下の3つが考えられます。

  1. 調整局面を経て、テクニカル的な反発: ビットコインは昨年、力強い上昇を見せてきました。しかし、年末にかけては利益確定売りなどに押され、調整局面に入っていました。今回の反発は、こうした調整を経た上での自律反発という側面があると考えられます。チャート分析上も、重要なサポートライン付近で反発しており、テクニカル的な買いシグナルと捉える投資家も多いでしょう。

  2. 機関投資家の継続的な参入と市場の成熟: 近年、ビットコインは機関投資家からも注目を集めています。米国の金融大手企業が、ビットコインへの投資を表明したり、関連する金融商品を開発したりする動きが相次いでいます。こうした機関投資家の参入は、ビットコイン市場の信頼性向上流動性拡大につながり、価格の安定化にも寄与しています。2024年に承認された現物ETFは、機関投資家がビットコインへ投資するハードルを下げ、市場への資金流入を促進しました。2025年現在、この流れはさらに加速しています。特に、年金基金や政府系ファンドなどの大型機関投資家が、ポートフォリオの一部としてビットコインを組み入れるケースが増加しており、市場に大きなインパクトを与えています。また、カストディサービスの充実や規制環境の整備も、機関投資家の参入を後押ししています。

  3. マクロ経済環境の変化と代替資産としての注目: 世界的な金融緩和政策の長期化や、一部の新興国における法定通貨の価値下落などを背景に、代替資産としてのビットコインへの注目が高まっています。特に、供給量に上限のあるビットコインは、デジタルゴールドとも呼ばれ、インフレヘッジ手段としても注目されています。さらに、地政学的リスクの高まりも、安全資産としてのビットコインへの需要を高める要因となっています。

ビットコインだけじゃない。アルトコインも上昇

ビットコインの上昇に伴い、他のアルトコインも概ね上昇傾向にあります。時価総額2位のイーサリアムは1.50%上昇、時価総額4位のリップルは2.92%上昇しています。

  • イーサリアム: スマートコントラクトプラットフォームとしての地位を確立し、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)市場の拡大とともに、その需要は増加しています。特に、イーサリアム2.0へのアップグレードが完了したことで、スケーラビリティ問題が大幅に改善され、更なる普及が見込まれています。

  • リップル: 国際送金システムの効率化を目指すプロジェクトであり、金融機関との提携などを通じて、実用化に向けた取り組みが進められています。特に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)との相互運用性に関する研究開発が進展しており、将来的な成長が期待されています。

ビットコインETFの現状と影響

2024年に米国で承認されたビットコイン現物ETFは、ビットコイン市場に大きな変化をもたらしました。ETFを通じて、これまで暗号資産に投資してこなかった投資家層が、容易にビットコインにアクセスできるようになったのです。

2025年現在、複数のビットコインETFが運用されており、その運用資産残高は増加の一途をたどっています。これは、機関投資家だけでなく、個人投資家からもビットコインへの関心が高まっていることを示しています。

ETFの登場は、ビットコインの価格発見機能を向上させ、市場の透明性を高める効果も期待されています。

マイニング業界の最新動向

ビットコインの価格を左右する重要な要素の一つが、マイニング業界の動向です。マイニングとは、複雑な計算処理を行うことで、新たなビットコインを生成するプロセスであり、ビットコインのネットワークを維持するために不可欠な役割を担っています。

2025年現在、マイニング業界では、ハッシュレート(採掘速度)が上昇傾向にあります。これは、マイナー間の競争が激化していることを意味し、ビットコインネットワークのセキュリティ向上に寄与しています。

また、マイニングマシンの性能向上も進んでおり、より効率的なマイニングが可能になっています。一方で、電力消費量の増加環境問題への懸念も指摘されており、再生可能エネルギーを利用したマイニングの取り組みも注目されています。

規制環境の現状と課題

ビットコインをはじめとする暗号資産に対する規制環境は、国や地域によって異なります。2025年現在、規制の枠組みを整備する動きが世界各国で進められています。

  • 米国: 証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)などが、暗号資産に対する規制の検討を進めています。特に、ステーブルコインに対する規制強化の動きが注目されています。

  • 欧州連合(EU): 暗号資産市場に関する包括的な規制枠組みであるMiCA(Markets in Crypto-Assets) の導入が進められています。

  • 日本: 資金決済法などに基づき、暗号資産交換業者に対する規制が行われています。また、金融庁が中心となり、投資家保護やマネーロンダリング対策などの観点から、規制の見直しが進められています。

これらの規制動向は、ビットコイン市場に大きな影響を与える可能性があるため、今後も注視していく必要があります。

技術的な課題と今後の展望

ビットコインは、革新的な技術である一方で、いくつかの技術的な課題も抱えています。

  • スケーラビリティ問題: ビットコインのブロックサイズは限られているため、取引量が増加すると、処理速度が低下したり、手数料が高騰したりする可能性があります。この問題を解決するために、ライトニングネットワークなどの技術開発が進められています。

  • セキュリティ問題: 過去には、取引所のハッキングなどにより、ビットコインが盗難される事件も発生しています。セキュリティ対策の強化は、ビットコインの普及にとって重要な課題です。

これらの課題を克服し、ビットコインが今後も発展していくためには、技術的なイノベーションが不可欠です。

2025年のビットコイン市場 - さらなる成長への期待

2025年、ビットコイン市場は、機関投資家の参入加速、現物ETFの普及、そしてマクロ経済環境の変化などを背景に、さらなる成長を遂げると予想されます。特に、ビットコインの代替資産としての価値が広く認識されるようになり、長期的な視点に立った投資が増加すると考えられます。

しかし、一方で、規制動向や技術的な課題など、不透明な要素も存在します。投資を行う際には、情報収集を徹底し、リスク管理を十分に行った上で、自己責任で判断するようにしましょう。

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