すさみ食堂部|平日のみなと食堂で。
「近くにあるんだからすぐ来れる」なんて台詞は、大体来ない奴が言う。「漬丼なんて家でも作れる」は良くない港町の家庭の台詞。出たことない、少なくともウチの家で平目の漬丼なんて。
湊の民にとって近くて遠い「みなと食堂」にやっと来た。正確には初来店では無いのだが、今回いただくメニューを注文するのは初めて。営業日に店のそばを通ると「工事中?片側交互通行だっけ?」ってくらい混んでる。並んでいるのは大体スーツケースを引いていたり、シティな服装の人々だ。
今回も私の人間関係の中で最もコジコジに近い部長とともに来店。平日朝7時半。お客さんは私たちだけ。カウンターに座り、貼ってある「平目漬丼」のメニューを「平日漬丼」と読み、部長とお店の方の失笑を誘う。(平日限定メニューがあるのだと思い込んでいた故)
ともかく、丼は到着する。
もちろんオーダーしたのは平目の漬丼。「魚が取れなくなった」と言われて久しい。平目の仕入れは難しくないだろうかと結論が出ないことを考えながら味わう。さっぱりとした平目の漬けに濃厚な卵黄が合う。
せんべい汁とのセットにした。家庭では中々出なそうなお吸い物のような美しい具材に澄んだスープ。私は突きこんにゃくと縁遠い人生を送ってきたのだと痛感した。そして入れているせんべいは三戸町のせんべい屋さんのもの。薄さが特徴だ。
8時を回った頃だろうか、あっと言う間に10席ほどの店内は満員、表にも数人並んでいた。創業当初はこの陸奥湊の市場に関わる業者さんの憩いの場だったと他の記事で読んだ。それが人気に火が着き、現在の営業スタイルになるのにはアップデートし続けて来られたんだろうなと思う。自分の要素、環境の要素、時代の要素。どう取捨選択するの?見倣って、ボヤかずアプデし続ける己で居たい。
|みなと食堂|
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(魚屋さんの売り物を狙うウミネコ。「行こっかな、やめとこかな」と店の前と反対側の歩道を往復していた。煮え切らないこいつのせいで通りに渋滞が起きた。)