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「ワインは一人で飲んではいけないよ」
「ワインは、一人で飲んではいけないよ」
だ、そうだ。ワインを題材にしたドラマの中のセリフだ。
あー、はいはい、そうですね、としらけた感じでゴロ寝しつつ、私はそのドラマを観ていた。
息子が胃腸炎をもらい、私に感染して下痢と嘔吐に苦しんだあと、娘にも感染して一週間ほど仕事を休んでいた時の話である。体力はカスカスだが暇なので、ドラマを観ていた。
有名なワイン漫画を題材にした日本とフランスの合作ドラマだ。元々原作の読者だったので、興味があったし、内容は面白かった。
だが、このセリフだけは引っかかって仕方ないかった。
何故なら、私は基本的に毎晩一人でワインを飲んでいるからだ。
何か文句ありますか?あ?
と、なんだか喧嘩腰に画面に迫ってしまいそうだ。
ただ、本音を言うなら私だってワインは気の合う人と飲みたい。だが、我が家で好んでワインを飲むのは私だけ。
外に飲みに行くにも、ここらへんはワインバーなんかない。以前にも書いたが、ド田舎の居酒屋にあるのはだいたいビールと焼酎、日本酒。あってもウィスキー。ワイン固定派で、他のアルコールをうけつけない私は、金を出してこれらを飲む気にはなれない(好きな方、すいません)
まあ、ワインは置いてないこともないが、例えば私の好きなキャンティ・クラシコなんて存在しない。
ついでに、深くワインを語りながら飲むような友人も近場にはいない。ワインに興味ない友人に、ちょっと蘊蓄を語ったら、たぶんウザがられる気がする。
ただ、少し遠いが、長年夫婦通っている地元のイタリアンレストランならワインが豊富だ。店主はワイン好きで、親しい。だが、二人目が産まれてコロナ以降、夜には行かずにそこでテイクアウトするだけになった。
だいたい、子ども達を置いて外飲みにいくハードルが高い。何日も前から義母に予定を調整してもらい、夫の機嫌をとり、子どもたちのごはんの支度は済ませて、その他いろいろ…
もう、その算段をつける時点でうんざりするし「そこまでして行かなくていいや」となる。職場の飲み会も、何年も参加していない。
こんな様々な理由から、私は必然的に一人でワインと夜な夜な向き合う日々が続いている。
一人で飲むの寂しいでしょ?とよく言われる。
だが、別に強がりでもなんでもなく、私は一人でワインと向き合って飲むのが好きだ。楽しい。
大勢だとなんだかんだ、楽しくても気を遣うが、一人で飲んでる分にはそんな必要もない。遊んでる子どもたちの相手をしながら、ワインを飲みつつ、味や香りと向き合う。これはこれで、いい。
余談だが、冒頭の「ワインは一人で飲んではいけないよ」と言ったこの登場人物。
ドラマの中で若い女と不倫デートの最中に、二人でワインを飲みながら、このセリフを言ってるんである。
シーン的にはいい感じの回想として出てきた場面だったが、私は「じゃあこの場で奥さんも呼んでみんなで飲めよ」と、ツッコミをいれてしまった。
ワインは誰と飲むか、より、そのシチュエーションじゃなかろうか。
飲んでいるのは私一人だ。だが、いつも娘が描いた絵を見せてくれたり、その隙に息子がワイングラスに手を突っ込んでイタズラしそうになるのを止めたりしながら、毎日ワインを飲んでいる。
不倫デートより、はるかに幸せなシチュエーションじゃなかろうか。