【#14】ローマのロージン(老人)
それはローマでの最後の夜。
ローマに詳しい後輩から教えてもらった美味しくて一人でも入りやすい店に行った時の事だった。
お目当てはローマの郷土料理ブカッティーニ・アマトリチャーナ。
この写真がそう、ローマに行ったら絶対に食べないといけないと言われているブカッティーニ・アマトリチャーナです。
うどんぐらい太いパスタを固めに茹でて、ローマの味に仕上げているものです。これが絶品。
GOOGLEマップで店を見つけた後、店の中が満席だったので外のテラスに座ることにする。
テラスに座って、オーダーを待っていると一人のおじいさんが話しかけてくる。
店の中がうるさいから、外に座りたいけど相席はできないか?と訪ねてくる。
どうぞ、と座ってもらい、そこから会話が始まる。
おじいさん、スイスから一人で出張で来たらしく、日本にも行ったことがあるらしい。
スイスでイタリア料理屋を経営しているらしく、相当儲けているらしい。
二人で旅行の話や仕事の話、家族の話等で盛り上がる。
会計の時間になりお金を払おうとすると、なんと全部おじいさんが払ってくれた!
おじいさんは一人で出張に来ていて寂しいらしい。
その反面、家族と離れて自由を満喫したいのもあったらしい。
2件目に誘われる。
奢るからバーに行かないか?と切り出され、仲良くなったと思っていたので快く一緒に2件目のバーに行くことに。
これが悪夢の始まりになるとはつゆ知らず、、、
おじいさんとタクシーに乗ったが、中々バーには着かない。
タクシーはそのうち、人気(ひとけ)のない丘を登りだす。
ちょっと心配になりかけるが、酒が入っていたのもあり好奇心が勝ってしまう。
バーに到着。
外にはPIANO BARと書かれたネオンが光っていて、ジャズバーのように見える。
中に入るとピアノなんかどこにもなく、何故か店の真ん中にポールダンス用のポールが、、、
時間が早かったせいか? 店の中には僕たち以外客は居ない。
そして、案内されたのがキャバクラのボックス席みたいな席。
その類の店はあまり好きではないが、イタリアではどんなシステムなのか気になったので、とにかく楽しもうと思った。
僕とおじいさんにそれぞれ一人ずつ女の子がつく。
失礼かも知れないが、二人とも美人と言う訳ではなく体つきもぽっちゃり!と言うかごつい!
おじいさんと二人でビールを頼むと、女の子二人も飲み物が欲しいと言ってくる。
一杯ぐらいなら良いかと思い、承諾する。
すると、持ってこられたのが一人一本ずつシャンパンのボトル。
ちょっとやばいかな、、と思うが、とにかく楽しもうと思った。
シャンパンは一杯分注いだだけで、ボトルが空に!!
最初から一杯分しか入ってない!!
しかも、ボトルが空いたからおかわりをくれと来た!
これはさすがに断る。
女の子達はどうやら東欧から出稼ぎに来ていたらしい。
おじいさんの方に目をやると、すごくつまらなそうにしている。
横のごついお姉さんと会話が弾んでいないよう。
一方、僕はと言うと、、、
僕も本当につまらなかった。
30分程経過して、ビール一杯飲みほしたところで、あまりの怪しさとつまらなさに帰ることにした。
お会計をしてもらうことに。
30分の滞在、ドリンク1杯で、出されたお会計の額がなんと
490ユーロ!!!
今の日本円のレートで約64000円、、、
会計の額に驚く僕! しかしおじいさんは知らん顔。
奢ってくれるってさっき言ったよね?と確認すると
「自分の女の分ぐらい自分で払え」と来た!
すると、店の人が僕のところに来て
「ホテルまで無料のタクシーで送りますよ」と。
凄い恐怖を感じる。
もうハメられへんぞ(笑)
会計を済ませて逃げるように店を出る。
おじいさんは知らん顔。
結局店を出てダッシュで店から離れた。
とにかく近くの駅を探して、なんとか自力で宿までたどり着くことが出来た。
あのまま何時間もあそこに滞在していたら会計がいくらになっていたのか、考えただけで恐ろしい、、、
帰り際のおじいさんの目が全てを物語っていた。
おじいさんはバーの関係者で、僕は完全にカモにされた訳だ。
東欧から来た女の子達、もしかしたらマフィアに売られて来たのかも知れない。
無料のタクシーとやらに乗っていたら身ぐるみ剥がされていたのかも知れない。
とか、色んな想像をしたが後のまつり。
一人旅でヤラれた時のみじめな気持ちは表現する言葉が見つからないぐらいみじめだ。
次の犠牲者を出さない為に書きますね(笑)