【創作帯付レコード Vol.2】Dukes Of Stratosphear / 25 O'Clock
個人的なプロジェクトとして、アナログレコードの帯を自分で新たにデザインする、創作帯活動をしています。レコード帯とはなんぞや?という方のために簡単に説明します。
レコード帯とは?
レコード帯とは本来、レコード屋などでアルバムの特徴を説明する広報の補助媒体として1950年代後半からぐるりとタテに巻いて、アーティスト名やアルバム名、収録曲や特徴を説明するものとして付録されてきました。いかに買ってオトクかというのを、レコード会社の広報部デザイナーがレタリングに凝ったり、コピーにこだわったりと、四苦八苦して販売していた形跡が当時の雰囲気を伝える側面と、現代までそれが残されているものは逆にレコードの保存状態の高さを表すものとして、高いレアリティを有無側面もあり、国内だけでなく海外でも高い人気を誇っています。
創作帯:デュークス・オブ・ストラトスフィア / 幻惑の25時
Dukes Of Stratosphear = XTC
85年にリリースされた本作は、全く無名のバンドによる新録サイケデリック・サウンド・アルバムという位置づけながら、英ロックバンドXTCの変名プロジェクトとすぐに紹介され、UK盤のみの発売ながら輸入盤屋などで安易に入手できるようになった。
全6曲とフルアルバムでないにしろ、その濃密な内容とジャケットのアートワークの素晴らしさ(実物は蛍光色の特色が特にキレイ)で、XTCの諸作品よりも個人的にはダントツで好み。
内容は、フロントマンのアンディ・パトリッジの趣味が炸裂。古い機材をあえて使用し、60年代サイケデリック・ロックをお手本に、本歌取りサウンドの嵐。シュリンクされていた誰も知らないサイケデリック・ロックが発掘されたんだよ、と言われてもわからないくらいのクオリティの高さ。こういう音を出そう、と次々とものすごいスピードで作曲・録音・リリースまで持っていったんじゃないかという程、表現欲求に満ちている。
こんなの日本盤で出てたの!? を再現したい
そんなDukesのアルバムにつけた創作帯の狙いは、まさに廃業した中古レコード屋から発掘されたデッドストックの中に紛れ込んだ、幻の帯付レコード。思わず「え、これ国内盤出てたんだ!」と言ってしまいたくなるくらいレトロ・サイケのデザイン。
こちらも本家と同じく下敷きにしたのは、エレクトリック・プルーンズの「今夜は眠れない」。あのファズ・ギターのギンギンサウンドと、ヨレヨレのヴォーカルが印象的な「今夜は眠れない」。(原題"I Had Too Much To Dream(Last Night)"=直訳すると、「昨日、夢を見すぎたんだ」を的確に訳したこの邦題のセンス!たまらねぇ)
ちなみにこちらのコピーをそのまま拝借して引用しています。(100ワット・アンプ8台以上使用。アメリカ中の若者をしびれさせた大電撃サウンド)元の帯の玄人向けの謎アピールも、たまりません。
紺色帯の渋い色彩に、頭クラクラ
余談になりますが、ネタ元のエレクトリック・プルーンズに付けられていた帯は、ビクター紺帯と呼ばれる、他社に比べると細いタイプの帯。当時東芝などから出ていた帯は、もちろん他のレコード帯より注目を集めないと意味がないので、彩度の高いグリーンや水色を背景色に使用していましたが、ビクターの帯は白地に紺。ジャケットの暗いムードに溶け込んで、まったく目立ちません。ただでさえ数が少なく珍しいレコードだったのに、売ろうという気負いもあまり感じられない色味……故に現在ではトップクラスのレア盤として名を馳せるまでになっていますが、それら総合的に見て言えるのは「とにかくシブい」ということ。
そして、それをレコード屋で掘ってて見つけたときに、僕みたいなビニール・ジャンキーは、脳内に流れるエンドルフィン・ドーパミン・脳内麻薬、そんなのが一気に頭から足の先まで巡り巡る感覚に陥ってしまうんです。
アナログレコード界の帯付テロを企てたい
そんな私には野望があります。それは、レコード帯の世界にいま取り巻かれている、「巻いときゃレア、売れれば高価」という風潮です。
「音楽の素晴らしさはわかってる、ただコレクションとして漢なら買わなきゃならんものがある」そんな仁義もあるのは重々承知しています。ただ、そこにあるのは、コート紙にオフセット印刷され、糊付けされた古紙です。そこにある価値と、現在の中古レコード界で流通される帯の価格差には、とてつもない差異があると感じています。
その結果、待っているのはマネーゲームの終焉であり、実質的なモノの持つグラフィックの美しさや、作品としての素晴らしさではないんです。
持つものと、持たざるものの対立しか産まないのではないか?とさえ危惧しています。(もう一人の自分「何を言ってるんだ、俺?」)
中には、クオリティ高く精密に出来た偽造品(印刷の色味・紙のやけ具合などの再現度も高いらしい)まで出回る始末。まさにCRUEL WORLD…
創作帯は、そんな現状に一石を投じ、本来の「帯があると、ないとで音楽の聞き方・楽しみ方が変わって楽しいよね!」というリスナーにとっての原点回帰、また制作サイドにとっても「ちゃんと音楽の楽しみ方を説明する帯を見て、手に取ってもらえる人が増えた方が、売上も増えるよね!」を確認してもらいたいという想いも実は込められているのです。(本当かな…フフフ)
それこそまさに帯付レコード界にとっての正義を掲げたテロリズムであり、平和への祈り(©プラスチック・オノ・バンド)であると、私は誰からも望まれないのに、狭い日本の国土の中で、思い続けています。
レコード帯デザイン依頼おまちしております
Jeff design / Jeff Recordsでは、レコードの帯デザインをしてほしいというバンド・会社さまを募集しています。レコード帯がジャケットに及ぼす影響、興奮ポイント、独特なデザイン性などを熟知した帯職人が、あなただけの、作品だけの絶妙マッチしたレコード帯を提案することが出来ます。
また、こんな帯を作ってほしいといったオーディエンスの声や、リクエスト(ある程度検討し)にお答えして制作いたします。
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