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【OAK】大混雑のOAKローテ、今後どうなる?

 このたび、もーさん運河さんと共に30球団合同noteでOAKの記事を担当させていただくことになりました、jechと申します。本来は自己紹介から始めるべきですが、時事性があるテーマなのでこの記事から始めさせてください。自己紹介記事も書いている途中なのでお待ちください。

 現在OAKはロースターに大量の先発投手を抱えています。もちろんマイナーでのプレーが想定される選手もいますが、メジャーで投げることが現実的な候補だけでも12人もいます。2チーム分のローテが作れますね。先日ポスティングにより加入した藤浪晋太郎もその1人です(藤浪加入でOAKに興味を持たれた方は、まずはもーさんの記事をご覧下さい)。

 23年のOAKは、すぐに勝ちを目指すわけではなく色々な選手を試す段階にあります。とは言え、これだけ多くの先発投手がいると選んだり競争させたりするのも一苦労です。OAKは誰をどの優先順位で開幕ローテに入れるのでしょうか?また長期的にこれらの投手たちをどうするのでしょうか?これらの問いに答えていきたいと思います。

12人を整理して分類する

 まず12人の先発投手の、状況やスペックなどを以下の表にまとめました。

  • オプション:マイナーにあと何シーズン落とせるか

  • 残り年数:FAになるまでの残り保有年数

  • 直球平均球速:22年シーズンのfangraphs参照、フォーシームとシンカー両方投げている場合は投球割合の高い方、リリーフ登板のみは「R」、fangraphsに数字がない目安の数字は「?」

  • リリーフ?:リリーフ向けのスペックがあるか、先発リリーフのどちらで大成して欲しいかの2軸に則り、総合的に私が判断しています。

2023/02/04追記:この項目の補足記事を書きましたので、こちらもご覧下さい。

続いて上の表をもとに、12人を6グループに分類しました。

1.ローテ確定…アービン
 
開幕ローテが100%確定しているのはアービンだけでしょう。安定した投球を2年間続けイニングを消費し続けている上、まだ調停前でサラリーが安く、保有期間もあと4年残ります。

2.主力だがトレードかも…ブラックバーン、カプリーリャン
 ブラックバーンとカプリーリャンは、確実に開幕ローテ入りの資格がある実績組ですが、チームの先発の頭数過剰のためにトレードの可能性もあります。先発を探している球団はたくさんあり、彼らには先発3~5番手としての需要があるでしょう。なおブラックバーンの方がトレードバリューは高く、かつ売りに出す可能性は低めです。

3.海外FA先発…ルチンスキー、藤浪
 獲得経緯やフロントの発言からするに先発が期待されるはずです。どちらも他球団への転売をにらんでいそうな契約内容となっている一方で、2人ともメジャーでの先発経験は乏しいため、まずは夏のトレードデッドラインを目安にコンディションを整えていきたいところでしょう。
 ちなみにルチンスキーと藤浪では契約内容に大きな違いがあります。ルチンスキーは24年にもオプションがついているため今年1年をかけて試せるのに対し、藤浪は23年のみの1年契約のため、夏のデッドラインまでにどうにか売れる形にしなければOAK側に旨味がありません。この事情が、2人の起用優先順位にどう響いてくるかは正直読めず、今後注視していきたいと思います。

4.期待度大の若手有望株…ワルディチャク、マラー
 メジャーでの実績はまだわずかなものの、マイナーでの実績十分な、将来フロントスターターへの成長も見込まれる若手有望株です。仮に開幕ローテに入らなくとも、出来るだけ早く開花に向けてメジャーでの登板機会を与えたいところです。

5.開幕メジャーっぽいが先発かリリーフか不明…シアーズ、マルティネス、パク
 シアーズとマルティネスには先発の力量が疑いなくありますが、リリーフとしてのポテンシャルにも期待したくなります。シアーズはスライダーが、マルティネスはチェンジアップがそれぞれ必殺球となり得ます。2人とも昨年既に一定の先発回数をもらったこともあり、まずは他選手の試運転のためにローテを降りて、リリーフとして試されるのではないでしょうか。
 リリーフとして既に実績がありつつ先発に再チャレンジするパクも、一応このグループに加えておきます。

6.その他…オラー、ターノック
 オラーはスペックに恵まれていない上に、昨年既にかなり登板機会をもらっていることから、マイナー待機・DFAの可能性もあります(藤浪加入時にもDFA候補に挙がりました)。本人比では昨年1年で成長したのですが、他選手との相対比較での序列は上がっておらず、派手に失敗した場合の立ち位置が危うい綱渡りが続くと思われます。
 ターノックはまだメジャー経験に乏しく、マイナーで鍛える伸びしろもありそうなことから、マイナー待機しつつメジャーの枠が空くのを待つのではないでしょうか。

 グループ間でのローテ入りの優先順位は、ナンバリングの数字順です。すなわち「1.ローテ確定」→「2.主力だがトレードかも」→「3.海外FA先発」→「4.期待度大の若手有望株」→「5.開幕メジャーっぽいが先発かリリーフか不明」→「6.その他」です。

開幕ローテは誰なのか?

 では、いよいよ開幕ローテを決めていきます。
 ローテ5人は、アービン、ブラックバーン、ルチンスキー、藤浪、マラーになると予想します。6人ローテにする場合のもう1人はワルディチャクと予想しますが、OAKは伝統的に6人ローテに消極的なためマイナー待機でしょう。

 理由を説明していきましょう。まずアービンとブラックバーンは実績枠で、チームにいる限りローテを外れることはありません。続いてルチンスキーと藤浪です。2人はこれまでの経歴、契約、夏のトレード構想により、開幕でのローテ入りが優先されるでしょう。

 残された先発枠は1つしかありません。序列が高いのは若手有望株の2人、ワルディチャクとマラーと思います。このうち早く機会を与えたいのは、オプションが1回しか残っていないマラーでしょう。貴重なあと1回を、メジャー先発経験に乏しいまま終わらせることは避けたいはず。今年の早い段階で、本人にメジャーでの課題を体感させたいところです。
 ワルディチャクは補欠1番手としてマイナー待機すると思います。パフォーマンスが悪かった投手は意外と早くワルディチャクに代替されるかもしれません。

 カプリーリャンはトレード要員になるか、IL入りしているかして、開幕時にはチームにいないと予想します。トレードする場合は、安さと保有権の長さを誇り、かつ獲得時の必要対価が少なくて済む先発4~5番手となるため、手軽に成立しそうと思います。IL入りするのは、オフに行った肩の手術からの万全の復活を期し、開幕に無理に間に合わせない場合だと思います。

 マルティネス、シアーズ、パク、その他の投手たちはブルペン待機でリリーフをやりつつ、もしくはマイナーで待機しつつ、隙あらば先発の出番を待つことになるでしょう。
 OAKのロースターは先発投手に枠を割きすぎたため、40人枠内の専業リリーフ投手が少なくなり過ぎています(アセベド、ジャクソン、ヒメネス、メイ、モール、スニード、チャド・スミスの7人のみです)。フロントはリリーフを削ってまで先発を貯め込む鉄の意志を示しています。
 そんな中、ローテからあふれる先発投手たちは、先発しかできない軟投派ではなく、質の高い変化球で押せて一定の球威があるタイプがそろっています。彼らは人手不足のリリーフの穴を埋めつつ、ピッチングの幅を広げて先発の機会をうかがうはずです。昨年リリーフと先発を行き来し投球を改善させたオラーと同じ起用法が想定されます。
 さらに、彼らが複数イニングのリリーフを高頻度で行う可能性にも期待したいです。ビハインドの試合には敗戦処理ロングの出番があります。加えて接戦やリード試合でも、コッツェイ監督は先発投手を3巡目の打者と対戦させず早めに降板させる傾向にあるため、2イニング程度を投げるリリーフの需要がありそうです。昨年のプルーイットやケイニグの起用法が想起されます。

3イニングをリリーフしたケイニグ
2イニングホールドを挙げたプルーイット

 以上が私の予想となります。ただ、これは全員がスプリングトレーニングで同じくらいのパフォーマンスを見せたと仮定してのものです。スプリングトレーニングで派手に失敗した選手は優先順位が下がるかもしれないですし、21年春先のアービンのように、序列が低くても突き抜けたパフォーマンスを見せればローテ入りの可能性は残されそうです。

長期的にはどうするのか?

 ここまで開幕ローテの顔ぶれを予想してきました。では長期的にはこれらの投手達をどう運用していくのでしょうか?

 踏まえておきたいのは、フロントの動きやプロスペクトの動向からするに、OAKは再建期間を長く取るつもりはないことです。24年から一定のコンテンドをもくろんでいるはずです。

確実な長期構想入り

 アービンは残すでしょう。4年と潤沢な保有期間が残っていますし、コンテンド期を丸々支えてくれるはずです。アービンを一番高く評価して上手に活用できるのは、各種statcast指標の悪さを一切気にしないOAKだと思います。よほどの対価でない限り放出しないと思います。
 ワルディチャクもチームに残るでしょう。保有期間が6年残るだけでなく、現状のままでもメジャーで先発としてやっていけるだけの力を既に示していますし、今後成長すれば1~2番手にもなり得るので長期構想に確実に入っているでしょう。

トレード要員?

 藤浪、カプリーリャンはトレード要員でしょう。藤浪は1年契約なので、契約延長がない限り24年以降のコンテンド期間にはチームにいません。カプリーリャンはケガ癖があり、伸び代もあまりないため、ソリッドな好成績が続いているうちに需要のあるところに売りたいでしょう。
 ルチンスキーも24年のオプションがあるのでコンテンドに加わる可能性がないわけではないですが、トレード要員の公算が大きいです。
 ブラックバーンは25オフFAのためトレードも残留もあり得ますが、仮にここに分類しておきます。他の投手たちの成長事情しだいでしょう。

その他投手の長期的見通し

 それ以外の6人の投手(マラー、シアーズ、マルティネス、パク、ターノック、オラー)は保有期間も長く、先発確定でもない立場です。もちろん先発で化ければローテに定着できるでしょうが、そうでない場合にどうするのでしょうか?さらに、マイナーから先発可能な投手達(ホーガン・ハリス、ルイス・メディーナら)が昇格してくる時にどうするのでしょうか?リリーフの可能性とトレードの可能性とに分けて、まったく根拠のない憶測をしていきます。

1.リリーフの可能性

 まずリリーフの可能性です。先述のように、ローテが空いた場合の先発機会をうかがいながら、スペックを活かしてリリーフ(しばしば複数イニング)に回り、コンテンド期の長期的な戦力になるルートが考えられます。

 このような立場の投手を多く抱えるメリットとして、完全な憶測ですがOAKの財政事情が考えられます。すなわち、次のコンテンド期におけるOAKは、過去のコンテンド期より使える資金が減る可能性が否定できないということです。
 前回コンテンド時のOAKはそれなりの数のFA契約選手を抱えており、ペイロールも90M台~100M前後くらいはありました。しかし相次ぐ新球場建設計画の遅れもあり、利益至上主義のフィッシャーオーナーが前回コンテンドと同じ水準のペイロールを許すか何とも言えません。一方でFA選手の標準的な契約額はインフレし、ますますOAKが手を出せる金額帯から遠ざかりつつあります。

 以上の事情から、OAKフロントは先発発掘のついでに、先発もリリーフも可能なバーサタイルな投手を発掘することにより、コンテンド期間中に投手ニーズが変動してもなるべく内部で柔軟にやりくりでき、外部からの補強なしに戦っていける体制を構築しようとしているのではないかと思いました。ニック・マルティネスを柔軟に活用した22年SDのような運用が出来れば理想でしょう。

 また、前コンテンド期でベテランリリーバーのFA契約に貴重な金銭を投じたところ、結果的に21年のブルペン崩壊につながったことへの後悔の気持ちが、OAKフロントに元々ある先発ストック大好き傾向と融合しているかもな…とも妄想しています。

2.トレードの可能性

 浮いた投手や他球団から強く求められた投手はトレードチップとして活用し、来たるコンテンド用の戦力を獲得していくことも考えられます。

 トレードには様々な形が考えられます。普通の小規模な1対1トレードもあるでしょう。ブラックバーン、カプリーリャン、復活する(予定の)ロレアーノとセットにして、対価の質を上げることもあるでしょう。

 私としては、先発兼リリーフの投手2~3人をまとめて他球団に送るトレードが起こってほしいです。
 この願望案を考える上で思い出したのが、17年夏にWSHとの間で起きたトレードです。当時再建中のOAKは、大物リリーフ2人(ライアン・マドソン、ショーン・ドゥーリトル)をコンテンド中のWSHに送る代わりに、ブレイク・トライネン、ヘスス・ルザード、シェルドン・ノイジーを獲得し、18年以降のコンテンドに役立てました。

 現在の市場の相場は17年とは異なり、リリーフ専業でこれほど巨大パッケージを引っ張って来るのはやや厳しそうです。一方でOAKフロントが何度も述べているように、若い先発の市場価値は高まり続けています。安く保有期間が長い、先発も可能な投手をまとめて、不測の事態で投手不足にあえぐ他球団に送りつければ、コンテンド期の資源となる一定の対価を引き出せる可能性があるのではないでしょうか?
 直近の他球団の事例だと、22年夏のデッドラインではMIAがTORに専業リリーバー2人を送ってマイナーの野手ジョーダン・グロシャンズを獲得していました。相手球団へ送る投手に先発のスペックが加われば、もう少しアップグレードした対価を入手できないかなと願っています。

※見出し画像は以下のツイートから引用しています



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