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【OAK】JJブレデイ獲得、AJパク放出

OAKとMIAの間でとても味わい深い1対1トレードが成立したので、私のトレード系記事の練習も兼ねて書いていきます。

OAKが左腕投手のAJパクをMIAに放出し、対価として若手外野手のJJブレデイを獲得しました。

両球団の思惑と総評

OAKサイド

再建中のOAKは来たるコンテンドに備え、待望の打撃が売りなタイプの野手を獲得しました。OAKは21オフ以降、一連の主力放出トレードで将来の戦力を獲得してきました。しかし対価は投手が中心で野手も守備型が多く(クリスチャン・パチェ、ケビン・スミス)、打撃が明確に強みの野手は既存のプロスペクト中心(タイラー・ソダーストロムら)でした。24年のコンテンドを考えた時に、JJブレデイはメジャー適応期間を終えた貴重な打てる選手として穴を埋めてくれる可能性があります。

OAKのロースターには10人以上の先発投手があふれており、今年先発転向予定だったAJパクは余剰デプスとしての面もあったと思います。そこを削って欲しいピースに変換した印象です。

またAJパクは本職リリーフだったわけですが、OAKでのリリーフとしての伸び代は限られていたと思います。そのため彼がいなくなっても他の手段でどうにか穴埋めできそうと踏んで放出に踏み切ったと思います。リリーフとしてのAJパクやOAKロースター事情については後述します。

MIAサイド

ホルヘ・ソレアーとアビザイル・ガルシアの補強勢、ジャズ・チザムJrのCF転向、ペイトン・バーディックやブライアン・デラクルーズらのデビューにより、メジャーレベルの外野手が余剰気味でした。その中から、一昨年〜昨年にかけて苦戦気味なブレデイを使い、クローザー候補にもなりうるコントローラブルな剛腕リリーフを補強したと思います。

昨年の補強が空振りしたこと、ナ・リーグ東地区が戦国時代なことで忘れ去られていますが、MIAはどちらかと言えばコンテンド期にあるはずです。しかし昨夏のザック・ポップとアンソニー・バースのトレード放出、アンソニー・ベンダーのTJ手術、コール・サルサーの度重なる負傷と放出も影響し、MIAロースターにはクローザー候補となり得るリリーフが不足しているように見えました。22年のブルペン防御率は4.15で30球団中22位と、投手育成が得意な球団の割に強みになっていませんでした。

先日BOSとのトレードで獲得した経験豊富なマット・バーンズに加え、既にOAKで様々な状況での起用経験があり球速に優れるAJパクは、スペック的にはクローザー候補にも挙げられるでしょう。保有期間が4年残っており23年はまだ最低年俸なのも、スモールマーケットなMIAにとっては嬉しいポイントでしょう。

まとめ

互いにロースターの欠けた場所を埋めるため、自球団では天井が見え始めたが相手球団では育ちそうなかつての高順位指名選手同士を交換した、現時点ではイーブンのトレードだと思います。今後は、両選手の開花次第でトレードの勝敗が左右されるでしょう。

OAKとMIAの間では、21年夏のスターリング・マルテ⇄ヘスス・ルザードのトレード以来、首脳陣間のホットラインが開通している印象です。昨オフにもロレアーノ⇄JJブレデイを軸とするトレードが話し合われたものの成立せずに終わっています。本トレードはそのリベンジと捉えることもできます。

AJパクについて

16年のドラフト1巡目(全体6位)でOAKに指名されたパクは、身長2メートルの恵まれた体格、スリークオーター気味のフォーム、100マイル近い速球で先発と、ランディ・ジョンソンとも比較されるロマンの塊でした。

しかしプロ入り後のパクは、ローテ入りが期待されるたびにまさかの負傷離脱という、もどかしいパターンの連続でした。ようやくケガが落ち着いた頃にはチームがコンテンドのまっただ中であったため、未知数かつ経験不足な彼をメジャーのローテで試す余裕がありませんでした。初めてメジャーでフルシーズン稼働した22年はリリーフとして62試合に登板し、20ホールド、4セーブ、防御率3.12の成績を残しました。

ようやく今春に念願の先発再チャレンジ予定でしたが、先発投手が潤沢(むしろ余剰気味)なMIAへのトレードにより、再びまさかの形で先発転向は打ち切られたことになります。この点については正直ショックです。

私がパクの先発が見たかったのは、ドラフト時の評価的に諦められないからという理由だけでなく、OAKにいたままではリリーフとしてのパクがこれ以上成長するのは厳しいと感じていたからです。豪速球と鋭いスライダーの2球種で普段は相手を制圧しますが、セーブシチュエーションなどハイレバレッジ状況で出すと、いきなり制球を乱したり速球の球質的な平凡さが仇となったりして、別人のように崩れることもしばしばな印象でした。OAKは剛腕投手の育成自体は不得意ですが、剛腕投手に先発としての機会を粘り強く与えて開花を促すことができる球団なので、先発に回れば球速の速さを武器にチェンジアップもバランスよく交えるスタイルに変えて強みが出てくるかなと思っていました。

しかしMIAに移籍した今は事情が変わってくるでしょう。MIAは左右問わず素材型の剛腕の育成には長けている印象で、速球の質の改善、制球改善、OAKでのリリーフ時は使わなかったチェンジアップ活用など、パクのエリートスペックが活きるよう上手く改造してくれることに期待しています。OAKが上手く扱えなかったヘスス・ルザード(かつてのパクの盟友)の伸び代を引き出した、MIAの投手育成に対する信頼は厚いです。


JJブレデイについて

2019年のドラフト1巡目(全体4位)でMIAに指名されたJJブレデイは、球団待望の中軸打者として期待されるトッププロスペクトでした。しかしプロ入り後は、三振が大幅に増加し打率が低下するなど期待に及ばない時期が長くなった一方、21年オフのAFLで大爆発・22年の3Aでは85試合で20HRと、山あり谷ありでした。22年途中にメジャーデビューすると65試合に出場しましたが打率は1割台と低調で、弱いフライ打球を打ち上げてのアウトが多くなっているようです(Under Contact打球の割合が44.6%もありました)。

190センチの筋肉質で大柄な体格、優れた選球眼、壁にぶつかるたびに改善する修正力高そうなキャリアを送ってきた点など、今後に向けてポジティブな面は数多くあります。先述の通りMIAでは外野の混雑により今後の出場機会が減りそうだったため、OAKへの移籍はプラスになるでしょう。体格と長打力の割に意外と動けて強肩であり、CFでの出場も多い点が、最近(なぜか)守備や走塁をかなり重視しているOAKの好みに刺さった面もありそうです。

様々な識者の評価を見ているとブレデイの将来像には2パターンありそうです。一つは、MIA時代のようにアッパースイングでのホームラン量産スタイルを突き通すルート。もう一つは、弱いフライの量産に繋がっていそうな過剰カチ上げスタイルを修正し、アベレージを上げてマイケル・ブラントリーに寄せるルートです。個人的には、ラインドライブ打球に力強さと伸びを感じるので後者のスタイルが向いている気もします。

21年オフにロレアーノ絡みの獲得話が破談して以降、ブレデイが長打を放つのを見ては恨めしい気持ちになっていたので、やっと来てくれた彼が光り輝いて見えます。またブレデイに限らず、Baseball Trade ValuesのTrade Simulatorはデビュー直後に期待通り行かなかったトッププロスペクトの価値を低く見積もりすぎではないかとも思います。大きく期待しています。

本トレードに伴うOAKロースター展望

リリーフ投手陣

AJパクは22年はリリーフとして稼働していました。40人枠にリリーフ投手が少なかったOAK(わずか7人しかおらず、2人は故障明け)が、貴重な計算できるリリーフ投手としてのパクを放出して良かったのかという疑問はあり得るでしょう。

ただ、私個人は2つの理由からあまり心配していません。1つ目に、昨年ザック・ジャクソンやジョエル・パヤンプスなどをロースター外から調達し役立てた様子を見ているので、今年も同様に、現時点では構想に入っていない選手や他球団から放出された選手の発掘がありそうだと楽観視しているからです(例えばマイナー契約したドリュー・ステッケンライダー)。

2つ目に、OAKのロースターにあふれる大量の先発投手を活用する可能性があると思っているからです。エイドリアン・マルティネス、アダム・オラーなどリリーフ適性もある投手たちを、積極的に2〜3イニングリリーフさせることで、過少リリーフの穴埋めができるだけでなく、調整方法的に先発へも再転向しやすいメリットがありそうです。

外野手陣

先日のエステウリー・ルイーズの獲得、さらには今回のJJブレデイの獲得により、そこそこ外野の人数も増えてきて、近日中に誰か1人を整理する可能性も出てきました。ありそうな動きとしては、需要あるだろうラモン・ロレアーノのトレードのほか、クリスチャン・パチェ、カル・スティーブンソンのうちスプリングトレーニングでの結果が芳しくなかった方の枠外しではと思います。

一方大穴の動きとしては、昨年150試合に出場して25HR、OPS.749を残した中軸打者セス・ブラウンのトレード可能性もありそうです。セス・ブラウンがトレードされると確実にホームランを計算できる貴重な選手がいなくなるほか、24年コンテンドの望みが薄くなりそうなので私はやめて欲しいと思っています。ただ、ブラウンと同じく残り保有期間が4年だったコール・アービンとAJパクがトレードされた今となっては、可能性が皆無とは言えないため今後を注視したいと思います。

※見出し画像は以下のツイートから引用しています

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