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今だからこそ「心理的安全性」の重視

「権威勾配」という言葉がある。

これは、ポジションの高い人に対して、ものが言えない、うまくコミュニケーションがとれない状態を言う。

上位の人に力はあるので、下位の人には「下手なことは言えない」という心理が働く。

これが行き過ぎると「忖度」になるのだろう。

単純に、下から上に、情報が上がらないというだけではなく、余計な配慮まで行われてしまうこともあるのだ。

「権威勾配」という言葉は、航空機で操縦士に副操縦士が意見を言えないという現象から始まっている。

コックピットという閉ざされた空間での明確な上下関係、場合によっては、副操縦士の操縦士への昇格を握っているような関係では、操縦士に副操縦士が意見を言うことができない。

危険を伴う現場においては、安全に対して、並々ならぬ対応をしなければならない。

そのような場面で権威勾配があると、安全に対する配慮が欠けてしまうことがある。

そのため「権威勾配」は、安全が重要視される現場でよく取り上げられる言葉だ。


では、一般の組織に援用できないかというとそんなことはない。

実際に多くの組織で「忖度」され、情報が上に上がらず、判断ミスを起こしている。

上は「なんで言ってくれないんだ」というが、「言うと怒られる」という環境では情報を上げることはしない。

つまり、普通の組織は、「人事考課を上長がする」以上、どうやっても権威勾配が組織からなくなることはない。

だからこそ、可能な限り勾配を緩くするということが、施策として必要な観点なのだ。

ただし、いき過ぎると「仲良しクラブ」になりかねない。

そこで重要となるのは、最近の言葉で言うと、「心理的安全性」や「セキュアベース・リーダーシップ」という考え方だ。

「心理的安全性」は、1999年に、ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授が唱えたものという。

セキュアベース・リーダーシップとは

「フォロワーを思いやり、守られているという感覚と安心感を与えると同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクをとり、挑戦を求める意欲とエネルギーを持たせる。

そうすることで、信頼を獲得し、影響力を築く方法」と定義されている

(『セキュアベース・リーダーシップ』

 ジョージ・コーリーザー / スーザン・ゴールズワージー / ダンカン・クーム 著,東方雅美 訳,ダイヤモンド社, 1998, p.39)。


弊社では、リーダーと部下との関係を相互の信頼関係で測るという理論を持っている。

上下の間の信頼関係ができていれば、お互いに同じ方向を向いて、虚心坦懐に話すこともできる。

組織内の信頼関係づくりが有効であることは間違いないだろう。


20210121 ジェックメールマガジンより


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