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社会を変えていく不買運動

こんなことを書けば「経済が崩壊する!」「どう責任取るんだ!」「営業妨害」「悪質なクレーマー」とあちこちから批判の声が聞こえてきそうだ。

そう思った方は一旦落ち着いて最後まで読んで欲しい。
ビジネスを潰せ!なんて話をしてるんじゃないことがわかるはずだ。

私たちは、消費者として社会のためにできることをすべきである。

様々な社会問題

この社会はあらゆる問題を抱えている。
差別、不平等、貧困、環境、安全... 挙げ出すとキリがない。

今の時代、これらの社会問題を意識せずにビジネスを行うことはほぼ不可能であるといえる。目の肥えた消費者が増え、問題解決・批判的視点を持つ人々が多くなったからである。教育の勝利!
(日本はまだまだ、というのはここでは置いておく...)

そんな中、企業・国家の役割は消費者・国民のためのものづくり・国づくりをするだけではなく、社会貢献のための活動も不可欠ではないかという声が上がっている。

これを実現するための目標として「SDGs」が少しずつ広く知られるようになってきた。ご紹介しよう。

SDGsとは何か?

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持続可能な開発目標(SDGs)とは,2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として,2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。(出典:外務省 JAPAN SDGs Action Platform

これじゃよくわからないな。
噛み砕くと、「後世のことも考えて開発しよや」という国際目標のことである。

キーワードは「サステイナビリティ」。持続性である。

例えば、今ある資源をどんどん消費するだけで再利用や資源を生み出すことを考えなければ、この資源はいずれ無くなってしまう。

もちろん人も資源なので、使い捨てのように労働させて若者の健康や未来を考えなければ、いずれ次の世代を担う若者はいなくなってしまう。

また、SDGsは資源だけでなく社会全体のことも考えており、差別や搾取を温存することは社会におけるマイノリティの未来を潰すことに繋がるため、これを無くすために貢献をすることを目標としている。

このように、後世への影響をしっかりと認識した上で、SDGsに則り持続性のある社会にしていこうということである。

SDGsのうち、いくつかを目標として掲げる企業が最近増えてきている。

一方で、これが広く知られるようになったために、問題が可視化されるようになったものもある。

つまり、SDGsを1つの指標として、これを意識していない企業の活動が問題視されるようになってきているのである。

インドにおける児童労働 —アイシャドウやハイライトの原料は非人道的に採取されている—

具体例を1つ挙げよう。

みなさんはコスメを買う時、原料がどこから来ているのか気にかけたことはあるだろうか。

実は、アイシャドウやハイライトに含まれる「ラメ」の成分はインドのある地方で主に採取される「マイカ(Mica)」というもの。

土を掘ってその中からマイカを採取する作業を、4歳〜の子供たちが毎日行っているというのだ。

作業の流れはこうだ。


マイカが含まれる土に穴を掘る

洞穴の中へ子供が入る

土を採取し地上へ

ザルでふるい、土から手でマイカだけを分ける

マイカの採取によって児童(強制)労働させられている子供たちの数はおよそ20,000人。

洞穴は子供しか入れないサイズで、土を採取する際に石が落ちてきて大怪我をすることがよくあるそうだ。子供たちは怯えながら洞穴へ入る。

ここで命を落とす子供が毎月およそ10人〜20人。

また、子供たちの1日の稼ぎは日本円にしておよそ26円ほど。
満足に生活できる額ではない。

「マイカを採取しなければ、食卓にご飯を用意できない」

マイカ採掘で労働をする少女の言葉である。

児童労働だけでなく、劣悪な労働環境、搾取による貧困など、問題は山積みなのだ。

参照:【Youtube】The Dark Secret Behind Your Favorite Makeup Products | Shady | Refinery29

この重大な問題を、私たちは見て見ぬふりすべきではない。
そこで有効なのが「不買運動」である。


不買運動をする目的は?


なぜ私たちは不買運動をするのか。
答えは「企業のあり方に異議を唱えるため」である。

しかし、商品を買わないその先に何があるのかという話もしようと思う。
もちろん企業側に社会貢献の意識がなければこの運動は成功しない。

・不買運動が起これば、当然だが商品が売れなくなる。
・商品が売れなくなると、その商品の生産量を減らす あるいは無くすことになる(別商品の生産への移行も含め)。
・生産量を減らすということは、その商品を作るための材料の仕入れを減らすことになる。
・つまり、児童労働をさせている取引先との契約を解約することになる。
・取引先の組織は、児童労働をさせている今のままではビジネスができない(稼ぎが減る)ことに気づき、他の方法に転換せざるを得なくなる。

理論上はこうである。
ほとんどの企業は、不買運動の原因となった問題を解決しようとする。

また、この間にも企業側が

「このような問題を私たちは放置しない」
「差別や搾取を許さない」
「私たちの商品を安心して使ってもらうために、差別や搾取を過程に含んでいる組織との契約は行わない」
「この問題を解決するためにこのように工夫する」

と表明し、差別や搾取、虐待などをしていればビジネスはできないのだということを世界中に知らしめていくことが重要である。

また消費者にとっても、このように問題をオープンにする企業が増えれば、問題意識が高まり、企業や商品への期待値が上がり、他の商品に対しても倫理的な判断をするようになる。相互作用するのである。

問題の解決

先ほど紹介したマイカの供給に関して、例えばイギリスのハンドメイド化粧品メーカーLUSHは、人工的に作ったマイカで代用することで「人の死の上に成り立つ商品を売らない」とはっきりと表明している。

企業にできることは自然のマイカを使わないことではなく、マイカ採取に携わるすべての人を正当な賃金で雇うことであるという意見もあった(もちろん子供に必要なのは労働ではなく教育だということは言うまでもない)。

毛皮のコートが飛ぶように売れた時代には多くの動物が犠牲になったが、今では人工の毛皮(合皮)が当たり前のように生産され、捨てられるものの再利用を目的として鮭の皮を加工するメーカーも登場した。

こうして、少しずつ社会は環境や動物、人のために変容していくのである。この変化を真っ先にもたらすことができるのがものづくりの現場であると私は考えている。

そしてものづくりの現場に意見を届けることができるのが私たちである。

私たちにできること

問題の解決へ導くために私たち消費者ができること。

それは、商品を買う際に様々な視点で見ること。
調べること。意見すること。間違っていると思うものは買わないこと。

商品を手に取り、後ろのラベル表記を見てみよう。
動物実験はしていないか?どこの国で生産されているのか?

近頃外国で販売されているコスメには「No animal testing」 「Fair Wages」「Vegan」「Recycled packaging」などの表示があることが多いが、日本ブランドの商品ではあまり見ないかもしれない。

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No animal testing = 動物実験をしていない
Fair Wages = 平等な賃金で雇用している
Vegan = 動物由来のものを使用していない
Recycled packaging = リサイクルされた容器を使用している
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これらの表示があるコスメは、いわゆる「エシカル・コスメ(倫理的な化粧品)」である。

商品やメーカーのウェブサイトを見てみよう。わからないことはメールで質問してみよう。
どのようにして作られているのか?非人道的な過程はないか?

例えば先ほどのLUSHのウェブサイトでは「エシカル・バイイング・ポリシー」というものが公開されている。

児童労働
児童労働に対するラッシュの姿勢は、 国際労働機関(ILO) の基準に沿ったものです。 ラッシュでは、最低就労年齢はそれぞれの国において義務教育を終了する年齢を下回るべきではないと固く信じています。 ですからサプライヤーには、児童労働が行われていないことを確認しています。サプライヤーでの児童労働が発覚した場合、児童の学校教育復帰を支援するための訓練および移行プログラムにサプライヤーが従事することを要求します。

気づいたことについて、意見を送ろう。

差別、搾取、虐待が過程にある商品は、調査・再検討されるべきだ。
メーカーの問い合わせ窓口から意見を送ってみよう。

「これは差別的な表現だと思う」
「生産過程に虐待が含まれている、どういうことか」
「こういう問題が起きているので、もう少し環境のことを考えて欲しい」

こんなのでいい。

日本では商品やサービスについて問い合わせることが「悪」のように思われがちだが、そもそも英語のclaim(クレーム)という表現にネガティブな意味合いはなく、主張や要求などを指す言葉である。

complaintという言葉を使うこともあるが、これも消費者から寄せられたものという文脈では正当な理由を持つ「苦情」のことを指す。

何が言いたいかというと、意見することは悪いことではない。

商品改善・社会貢献は企業の責任でもあり、また意見は議論に繋がることはあっても何か強制的な力を持つことはない。

調べてファクトチェックし、自分で考えて、意見を主張する。

そして倫理に反していると思う商品は買わないようにするのだ。
企業が私たちの声に耳を傾けることを願って。

小さいことからできる私たちの社会貢献、それが不買運動だろう。

逆に、素晴らしいものはぜひシェアして欲しい。消費者にとってだけでなく後世の社会にとって価値あるものは残していくべきなのである。

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