見出し画像

「断念のほんとうを知る者のみが希望をもてる」 by 三木清 

 希望について言えば、これまでも多くの名言が残されていますが、私が若いころから愛読してきた三木清の『人生論ノート』(1938年出版)にもその一節があります。それほど分厚くなく文庫本で出版されていますので、みなさんも機会があったらぜひ読んでみてください。三木清は日本の著名な哲学者であり、多くの研究著作を残しており、終戦の年、治安維持法で検挙されて獄中で病死しています(9月26日。戦争は終結していたのに・・・)享年48。
 同書には、死、幸福、孤独、嫉妬、偽善、個性、旅など23の項目についてとりあげられており、他の哲学書とは異なり、平易かつ生の実感からよく考えられた文章が綴られています。これらの項目のなかに「希望について」も取り上げられています。少し要約すると・・・「人生は何事も偶然であり、必然であり、このような人生を我々は運命と称している。・・・希望は運命の如きものである。・・・運命というものの符号の逆でもあり・・・一切が必然ならば希望は有り得ず、また一切が偶然ならば希望も有り得ない。」とし、その一方で「・・・断念することをほんとうに知っている者のみがほんとうに希望することができる。何物も断念することを欲しない者は真の希望を持つこともできぬ。(原文ママ)131頁」と記しています。それは、一旦は何事も断念したジョージが最後には真の希望を勝ち取ったことに相通じるのではないでしょうか! みなさんはどう思いますか。

          くりおんだ  人生塾 柳緑花紅(塾頭)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?