すまじきものは宮仕え。

【すまじきものは宮仕え】とは、
人に仕えることは気苦労が多く、勤めは上役や同僚に気兼ねしなければならないから、できることならしないほうがよい事を表しているという。

〔類〕さすまいものは宮仕え 
〔出〕菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
〔会〕「上役にごまをすって、部下のご機嫌をとって、中間管理職は、気苦労が絶えん」「まさに、すまじきものは宮仕えですね。」

官職に就くことのつらさを表す言い回しは古くからあったようだ。有名なのは歌舞伎の「菅原伝授手習鑑(てならいかがみ)」の「寺子屋の段」か。仕えていた主君への忠義のため、罪のない子を犠牲にすることを思いついた武部源蔵が言う。「せまじきものは、宮仕えじゃなあ」。義理と人情のはざまの名演出だろう

⚫️有能な人材が集まるはずの「宮仕え」を、どうも「すまじきもの」とみる向きが増えているようである。キャリアと呼ばれる中央省庁幹部候補の総合職試験をめぐり、申込者が減り続けている。現行制度の導入以来、最少で、減少率も過去最大になったようですが、そこは中央省庁だけではなく、現在盛んに報道されてる◯◯県庁の知事による所業や、◯◯市の市長による◯ワハラ、◯◯町の町長による、◯クハラなどなど、枚挙にいとまがない。

⚫️長時間労働や深夜残業が志望者減の理由とみられているという。法案の文言に多数の間違いが明らかになった際も指摘されていたが、過酷な職場というイメージが関係しているようだが、気になるのが、近年横行した忖度(そんたく)の影響である。高い志があっても、政治の意志とのはざまで、つらい思いをする職場であると思えば、敬遠する若者も増える。

⚫️中央省庁に限らず、行政区の大小は問わず自治体の職員たる皆様、【宮仕え】の方々は政策を支える人材であり、国の将来、各地方自治体にとり、確保は重要であり、今後困難になる可能性が高いだろう。

⚫️『ガリバー旅行記』(スイフト)に登場する「リリパット国」には国家公務員の人選について、興味深い考えがあった。
<有能な人間であることよりも有徳の士であることを重視する>

⚫️徳や志を発揮できる職場かは、上に立つ上司たる首長の技量や裁量に大いに左右されるのは言うまでもないが、その首長と職員の間に居る中間管理職が、上ばかり観るむきばかりでは【宮仕い】は、苦しきものになるに違いない。

出典:日本語辞典・情報・知識&オピニオン imidas 
   会話で使えることわざ辞典 - イミダス”
出典:中日春秋:中日新聞Web

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?