見出し画像

最近のお気に入り① 〜桐生ちあり「en/core.」〜

歳をとるにつれて、新しい流行を追うことが億劫になってくる。
感性が鈍ってきているということなのかもしれないが、長年慣れ親しんだ物で満足してしまう傾向がある。

服にしろ、食べ物にしろ、今どんなものが流行っているのか、全く興味がわかない。本や映画も、少し前までなら、昔から読んでいたり観たりしていた作家や監督の作品くらいはチェックしていたが、今は昔読んだ本を引っ張り出してきて読み返したり、昔好きだった映画をDVDやBlu-rayかAmazonプライムで観直している程度。

音楽も、ヒットチャートやテレビの音楽番組を追っかけていたのは中学生の頃までで、その後は専門誌を買って来て、良さそうなレビューを頼りにCDを買ったり、レコードショップで漁ったり。
そうやって集めたレコードやCDを繰り返し聴いている。
あとは、地元のライブハウスで出会うバンドを聴くというのがほとんどになってしまった。

それでも、最近はApple MusicやYouTubeで関連アーティストや関連動画で知るというケースが増えてきた。
まあ、もとよりサーチするアーティストがメジャーなところで活動してないので、関連で出てくるアーティストもマイナーどころが多い。
そういう狭い界隈でのアーティストなので、周りの知人と音楽の話しをする事があっても、昔聴いていた音楽の話しはできても、現在進行形の音楽の話しをすることはまずない(もとより、話し相手がいないので、そんな話しもする機会は滅多にない)。

そんな中でも今、自分の中でヘヴィーローテーション中なのが、桐生ちありさん。

先月、発売されたニューアルバム「en/core.」が、期待以上に素晴らしい出来だった。
最初は、何がきっかけだったか忘れてしまったが、1年くらい前に名前を知って、Apple Musicで聴いてみたら、彼女の歌唱力や表現力もとても魅力的で素晴らしいし、サウンドメイクも新しい中にも懐かしさも垣間見え、とてもクオリティの高い作品だった。
そして、ニューアルバムも今までの作品以上に洗練され、都会的でもあり田舎の風景も感じ取れる絶妙な匙加減で、彼女の魅力を思いっきり引き出されている。
くるりやサニーデイ・サービスあたりを下敷きにしていると思われる音作りだが、バンドサウンドに振り切らない、あくまでも「桐生ちあり」の歌を引き立たせるためのアレンジが施されている。
そして、彼女の歌の表現力にますます磨きがかかっている。強弱の付け方や曲調に合わせた声の使い分け、ファルセットの使い方、メインヴォーカルの後ろで聴こえる透明感のあるコーラスまで、聴いていてとても心地が良い。

プロデュースされた、that's all folksさんをはじめ、microstar佐藤清喜さん、関美彦さんなどが、見事に彼女の世界を音に閉じ込めた、素敵なアルバムです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?