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大人げなさがNYの魅力

この街に惹かれる人たちは、いくつになってもどこか純粋な子供っぽさを持っているような気がする。そして、それがあたかもごく普通のことのように通用してしまい、場合によっては賞賛されたり、応援されたりもするのがNYだ。(とはいえ昨今のありえない治安の悪化問題はまた別の話として置いておいて、ここでは、あくまでもごく一般的なニューヨークの話をしたい。)

今日から地下鉄やバスに乗る場合はマスクをすることが必須になった。ペナルテイーは50ドルの罰金だ。クオモ州知事がついにこの決定を下した。というのも、今のところ、地下鉄に乗車してくる人たちは、9割方は自主的にマスクをしているけれども、残りの1割の人たちは依然としてマイペースなままだからだ。クオモ州知事は、マスクはどこにいても必ずマストだとは言っていない。とくに密閉空間で人が集まるところではマストだということだ。

やはり、今年の春先に全米最悪の悲劇を経験しているNY州知事のクオモ氏としては、これから冬に向かっていくこの場所での第二波の可能性に関しては、用心に用心を重ねている。その気持ちが伝わっているのか、多くの市民は自主的にマスクをするようになったけれども、未だに地下鉄にはマスクなしで平気で乗ってくる人たち、そのまま中で大声で話している人たちもいる。それに対して、やはり不安な気持ちを持ってしまうニューヨーカーもそれなりにいるようで、今回の決定にはみんなもそれほど反対はしていないようだ。

参考までに、感染爆発時のニューヨーカーはマスクを完全にバカにしきっていたということに関する記事はこちらです。

やはり、冬になる前に、なんとか地下鉄車内でのマスクを習慣付けておかなければ、どんなクラスターが起こるかは分からないというのがクオモ氏の懸念だと思う。つまり、これはある見方をすれば、お父さんが子供達の世話を焼いてやっているような感覚にも近い。

クオモ氏だけでなく、デブラシオ市長もそうだけれども、二人とも実際に大学生ぐらいの年齢のお子さんがいるというせいもあってか、とにかくみんなのお父さん(Big Daddy)みたいなところがある。それが彼らがいくつになっても大人気ないニューヨーカーに愛されている所以のような気もする。

そもそもニューヨーカーは、ある意味で言えば、みんなが子供みたいなところがある。要するに年齢関係なく自然体なのだ。だから、子供でなくてもみんな楽しいことやサプライズが好きだし、それを純粋に表現することで、賞賛の拍手を浴びるようなところもある。その一つの代表とも言えるのが、このNYパブリックライブラリーのメインブランチのライオンたちだ。このライオンたちは、もはや、NYでみんなと共に生きていると言っても過言ではない。

ライブラリーが工事中の時は、彼らは黄色いヘルメットをしていたし、クリスマスが近づけば、巨大なクリスマスリースを首に巻いている。今回のパンデミックではそれがマスクになった。

そして、感染率が下がり、少ないパーセンテージを維持し出してからは、彼らのマスクは取られていた。その後はマスクなして過ごして来たようだったので、私はステイホームでミッドタウンに行く機会がなく、マスクをした実物のライオンたちを見そびれてしまった事をとても残念に思っていたところ、今日たまたま近くを通りかかったら、彼らはまたマスクをしていた。

つまり、これは、地下鉄でマスクが必須になったためのデモンストレーションだと言うことだ。

こういうニューヨークのセンスは本当に素敵だと思う。これらは決して子供たちのためにやっているのではない。自分たちが楽しむため、そして自分たちがニューヨーカーとしてこの街を本当に愛しているという気持ちを存分に表現するために大人たちが考案してやっているのだ。

ちなみに、この図書館に関してはまだまだ書きたい事があるのだけれども、それは別の機会に取っておきたい。

今回の罰金制度がうまく功を奏する事を願って、今日はライオンにちなんだ一曲を、ライオンのように強くなりたいあなたに送ります。







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