負けたヤツは裸になれ! 麻雀放浪記 (1984)東映
阿佐田哲也原作 和田誠監督
1969年(昭和44)に 雑誌「週間大衆」に連載された
阿佐田哲也さんの小説「麻雀放浪記」は
当時の麻雀ブームの火付け役となり
「青春編」「風雲編」「激闘編」「番外編」と続き
角川文庫版のみでも 4巻すべてが50刷以上を重ね
2015年時点で 累計で約200万部を発行されたそうです。
監督は イラストレーターの和田誠さん。
もう何べん観たか分からない。
観れば観るほど 面白過ぎる!
戦後の混乱期
いずれも 賭け麻雀だけで飯を食っている
バイニン(麻雀師)たちのお話。
どうでもいいのだけど
ジャスミン(←私よ)は 小6で麻雀を覚えました。
亡くなったお父さんが教えてくれたのよ。
よく近所の人が家に集まるんだけど
メンバーが足りない時があって
その補充要員として 特訓を受けました。
もう私は すっかり夢中になっちゃって
毎晩でもやりたくてしょうがない。
それなのに
メンバーが足りてるときは 勉強してなさいなんて
大人は勝手なのだ。
もともと その素質はあったらしく
案外強かったですよ。
以後、ポーカー、花札、七並べ・・と
長年、バクチ道を歩いて来たけれど
麻雀ほど奥が深く 面白いゲームは無いと思う。
今もときどき、サイトで勝負してる。
ボケ防止に
これ以上のものは ありませんわ。
でもこの映画は
麻雀のルールなんか まったく知らなくても
この最高に面白い!
〇
オープニング
終戦直後の町並みに流れるのは
岡晴夫の「東京の花売り娘」
もうここで ジャスミンは ガツンと来る。
みんなは知らないと思うけど
明るくて軽やかな いい歌よ。
♪~青い芽を吹く 柳の辻に
花を召しませ 召しませ花を~♪
場所は東京・上野。
18歳の坊や哲は
以前、バクチを教えてくれた 上州虎にばったり出会い
チンチロ部落に誘われ
そこで はじめてドサ健に会った。
チンチロ部落って
サイコロのチンチロリンで勝負する賭場のことね。
ドサ健はこのとき 自分は張らずに
坊や哲にコーチして 儲けさせてくれた。
それ以来 坊や哲は
ドサ健に憧れに似た友情を感じるが
数日後、
ドサ健に連れられて 米兵相手の秘密カジノに行くと
大勝ちしたドサ健は 一人だけ先に帰ってしまい
負け金を払えなかった 坊や哲は
米兵にボコボコに殴られた。
このとき 動けなくなった坊や哲を 家に連れ帰り
介抱してくれたのは カジノのママ (加賀まりこ)だった。
ママは翌日 麻雀の "積み込み"を 仕込んでくれた。
"積み込み"とは インチキの一種で
はじめに積む牌を
自分に都合よく配分されるように 積むやり方だ。
それからママは
他にも いろんなことを 教えてくれて
坊や哲はすっかり ママに夢中になってしまう。
そんなある日、坊や哲は賭場で
天才魔術師のような 出目徳に出会い
坊や哲の才能を見抜いた出目徳は
"二の二の天和"という コンビ技を教え
二人でドサ健に勝負を挑もうと誘う。
この "二の二の天和"というのは
コンビでやる イカサマの技だけど
ジャスミンはちょっと よく判らなくて 説明できずゴメンしてね。
ドサ健はその頃
情婦のまゆみ (大竹しのぶ)の家に住んでいて
勝負はその家で 女衒の達を交えて
最高レートの「青天井ルール」ではじまった。
ここで 出目徳と坊や哲は
2度も「テンホー」を繰り返すなど ドサ健に圧勝。
「テンホー」とは「親」の時のみ 出来る手で
最初に配られた13枚プラス
一番初めに引いて来た牌で上がってしまう最高満点だ。
(この説明 ちょいと自信ないな・・これでいいのかな)
とにかく、
こんな天文学的な偶然が 2度も出るはずがない。
「おかしいじゃねーか!」と 怒るドサ健。
しかし 自分が負けたとき
インチキだと騒いで 負け金を払わないのは
プロの賭博師としてサイテーと言われているので
グッとこらえるしかない。
大負けとなったドサ健は 泣いて止めるまゆみを殴って
家の権利書を持ち出し 勝負を続けたが
それも取られると
今度はまゆみを吉原に売り飛ばす 契約まで結んでしまうが
これを見かねた 女衒の達が
一時、まゆみを預かり まゆみは女郎にならずに済んだ。
このときの ドサ健の台詞。
「あいつはこの世で たった一人の俺の女だ
だからあいつは 俺の為に生きなくてはならねえ
あいつと死んだおふくろと
このふたりには迷惑かけても かまわねえんだ」
殴られても 売り飛ばされても
ドサ健について行くまゆみ。
一方、坊や哲の ママへの一途な恋は
警察の摘発を受けたカジノと共に ママは消えてしまい
この あっけなく終わった恋によって
坊や哲も 大人に成長していく。
そして クライマックスは
いよいよドサ健が
まゆみを売り飛ばした契約金を元手に
まゆみの身柄と 家の権利書を取り戻す為の大勝負!
今はもう、一匹狼のギャンブラーとして
真っ向勝負に挑む 坊や哲と
出目徳、女衒の達、ドサ健の 二昼夜ぶっ通しの勝負だ。
出目徳は勝負に備えて ヒロポンを打つ。
そして決着は その出目徳がつけた!
「九連宝燈」!!
しかしその刹那、
あまりの凄い手に ヤク中で弱っていた
出目徳の心臓が止まった!
ドサ健がすぐに
出目徳の財布も着物も 身ぐるみ全部を剥いだ。
いくら稼いでも
死ぬときは何も残さない、それが博打打ちの掟だ・・
ラストシーンも スカッと面白い。
とにかく
内藤陳、天本英世、鹿内孝、笹野高史・・といった脇役も含め
個性の濃い登場人物が 生き生きと描かれている。
ドサ健役は はじめは松田優作さんだったそうですが
鹿賀丈史さんも良かった。
そして現在は 世界で活躍している真田広之さんが
まあ、なんて可愛かったんでしょう。
また
随所で見せてくれる イカサマの手口も 凄く面白いけど
今どきの全自動麻雀卓じゃ、お話になりませんね。
キネマ旬報ベストテン4位
長年渋い脇役だった 出目徳の高品格さんが
最優秀助演男優賞を受賞しました。