ジャスミン眞理子

ジャスミン眞理子でございます。1947年生まれの おめでたい団塊世代。古い映画専門の洋画・邦画のご紹介をします。

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学校で教えないジャスミンの映画の歴史

ジャスミンの映画の歴史を紐解くと 今からおよそ、およそじゃない、 きっかり59年前の17歳。 ふと誘われて行った デパートの8階にあったミニ・シアター そこは洋画専門の いわゆる名画座で 二本立てで¥100だったけれど そこに乗り入れてる 私鉄の切符の窓口で買うと ¥80なの。 一番はじめに観た映画が 何だったか覚えてないけれど 『ローマの休日』や『風と共に去りぬ』『エデンの東』など 観ましたね。 私と友人はプログラムが変わるたび 高校の制服のまま 行ってたけれど 学

    • 無言の映画詩 裸の島 (1960) 近代映画社

      新藤兼人監督 この映画には 台詞がひとつも無い けれどサイレント映画ではない 音楽、風や波の音、子供たちの声、 動物の鳴き声などが 背景に優しく流れている。 ほとんど平地も無く 急斜面の山地だけのこの島に ある夫婦が 二人の子供と暮らしている。 この島には 電気もガスも水も無い。 湧き水も 溜池も無い。 夫婦の日課は 夜明け前に小舟を出し 隣り島まで行き 飲料と作物のための水を運んで来る。 水の入った桶を天秤棒につるし 島の急斜面を登る。 そうして 春はムギ、夏

      • 生きるってなに? 女と男のいる舗道(1962)仏

        ジャン・リュック・ゴダール監督 主演は当時 監督の妻で 前期のゴダール作品の多くに出演している アンナ・カリーナ。 アンナ・カリーナ扮する ナナという 離婚歴があり 貧しいけれど ごく普通の22歳の女性が やがて街角に立つ娼婦に転落。 そして悲劇的な最期を迎える というストーリーが 12の章に分けて構成されている。 ゴダール監督にしては 筋書きが分かりやすく そして センチメンタルな映画だな, と思う。 あらすじは ざっくり。 いつもの如く ネタばれご免です。

        • ストリートに飛び出した ロミ&ジュリ! ウエストサイド物語 (1961) 米

          監督・ロバート・ワイズ & ジェローム・ロビンズ 『私は死にたくない』『傷だらけの栄光』 そして この4年後の『サウンド・オブ・ミュージック』などの ロバート・ワイズ監督と ブロードウェイ・ミュージカルの演出家であり 名振付師のジェローム・ロビンズさんの 共同監督作品。 シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を元にした ミュージカル映画ですね。 当時は、超々大ヒットしました。 何度も何度も 劇場に足を運んだ人が たくさんいたみたい。 1961年というと 昭和3

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          家付き・カー付き、バハア抜き!娘・妻・母 (1960) 東宝

          成瀬巳喜男監督 お話の舞台は 東京・山の手にある 坂西家。 今日は母の還暦のお祝い。 5人の息子や娘が  それぞれの連れ合いや パートナーと共に プレゼントを抱えて集まりました。 幸せな光景です。 当時の東宝オールスターキャストで撮られた作品。 登場人物が多いので ここでまず、坂西家の人々を 整理しておきますと しかし平穏に暮らしていたこの一家に ある日、突然降って湧いた災難! 長男の森雅之さんが 投資に失敗したことで 抵当に入れていた この家を処分せざる得なくな

          家付き・カー付き、バハア抜き!娘・妻・母 (1960) 東宝

          負けたヤツは裸になれ! 麻雀放浪記 (1984)東映

          阿佐田哲也原作 和田誠監督 1969年(昭和44)に 雑誌「週間大衆」に連載された 阿佐田哲也さんの小説「麻雀放浪記」は  当時の麻雀ブームの火付け役となり 「青春編」「風雲編」「激闘編」「番外編」と続き 角川文庫版のみでも 4巻すべてが50刷以上を重ね 2015年時点で 累計で約200万部を発行されたそうです。 監督は イラストレーターの和田誠さん。 もう何べん観たか分からない。 観れば観るほど 面白過ぎる! 戦後の混乱期 いずれも 賭け麻雀だけで飯を食っている

          負けたヤツは裸になれ! 麻雀放浪記 (1984)東映

          愛と滅びの美学! 俺たちに明日はない (1967)米

          アーサー・ペン監督 1960~70年代半ばにかけて この頃の米映画は アメリカン・ニューシネマと呼ばれました。 当時の大手映画会社の枠を打ち破った 若手監督による 若者の反抗と暴走、そして破滅を描いた作品。 刹那的に人生を駆け抜けるヒーローに 若者たちは憧れました。 特にこの『俺たちに明日はない』は これまで単なる悪役だった アウトローを主人公に据え そのボニーとクライドの 最期まで愛をまっとうした姿を描き ハリウッドの映画史を 塗り替えたとまで言われ 世界的に

          愛と滅びの美学! 俺たちに明日はない (1967)米

          懐かしの銀幕スター 「 スティーブ・マックィーン」

          1930年 スティーブ・マックイーンは 曲芸飛行のスタント・パイロットだった父と 母との間に生まれたが 母はアルコール依存症で 彼が生後6か月の時に両親は離婚、 父と別れた。 子育ての出来ない母は 自分の両親に マックイーンを預けたが 間もなくアメリカは 世界恐慌に陥り 祖父母はマックイーンを連れて 祖母の兄が営む 農場に身を寄せた。 この祖母の兄・クロードは とてもマックイーンを愛し マックイーンも 後に 「彼は非常に良い男で 自分も彼から多くのことを学んだ」と語って

          懐かしの銀幕スター 「 スティーブ・マックィーン」

          これぞ大大どんでん返し!恐怖 (1961) 英

          セス・ホルト監督 これは怖い! でも、絶対面白い! どんでん返しという言葉は よく使われますが これほどの どんでん返しは そうそう あるもんじゃ ありませんぜ。 そのため 当時、監督さんは 細かいショットから あれこれ想像されないようにと ポスターも 一種類しか作らず もちろん、 映画館の途中入場も「絶対、お断り」にした。 日本もそうだったけれど この当時は 入れ替え制ではない 映画館が多く 途中で入って来る人も 出て行く人もいたんですよ。 ジャスミン (←私よ

          これぞ大大どんでん返し!恐怖 (1961) 英

          知らなきゃ損よ! クロサワ『羅生門』おもしろ裏話

          芥川龍之介原作 黒澤明監督 脚本・橋本忍  撮影・宮川一夫  音楽・早坂文雄 昭和26年。日本ではじめて 海外映画祭でグランプリを取った『羅生門』 それにまつわる 数々の裏話は 本編よりも面白い! と言ったら 黒澤さんに叱られる!? 昭和25年『羅生門』撮影のため 大映京都撮影所に はじめて黒澤監督がやって来た。 監督の姿を見つけると 仕事中だった大映社員たちは 窓辺に駆け寄り 「あれが黒澤はんや、ごつう背が高いなあ」と騒いだ。 このときの黒澤さんは 40歳にな

          ¥200

          知らなきゃ損よ! クロサワ『羅生門』おもしろ裏話

          ¥200

          西田さんの懐かしドラマ 「淋しいのはお前だけじゃない」

          脚本・市川森一  1960年くらいの頃からかな・・ テレビ界では 倉本聰、市川森一、山田太一、早坂暁、鎌田敏夫・・ といった 優れた脚本家さんたちが 競うように活躍していました。 1974年の人気ドラマ「傷だらけの天使」は 複数の脚本家さんが 交代で書かれていましたが あ、今日の回はセンスいいな、と思って確認すると 市川森一さんだったことが よくあり その時から 好きな脚本家さんとして ジャスミン(←私よ)の 頭の中に 市川森一さんの名が インプットされました。

          西田さんの懐かしドラマ 「淋しいのはお前だけじゃない」

          グリスビーのブルース 現金に手を出すな (1954) 仏・伊

          ジャック・ベッケル監督 『肉体の冠』『モンパルナスの灯』『穴』などの ジャック・ベッケル監督 いい作品がありますね。 ジャスミン (←私よ)は 『穴』が一番面白かったけどな (どうでもいい) フランス製ギャング映画と言ったら メルヴィル監督や ヴェルヌイユ監督作品が好きですが この作品は別格。 ギャング映画の元祖 という気がします。 「げんなまに手を出すな」と読みますね。 「げんきん」じゃありませんよ、 それだと銀行の窓口みたいに なってしまいますからね。 原題

          グリスビーのブルース 現金に手を出すな (1954) 仏・伊

          前代未聞の超大作『怪談』裏話

          1964年、小林正樹監督が挑んだ『怪談』は ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の原作から 『黒髪』『雪女』『耳なし芳一』『茶碗の中』の 四つの怪談話を映画化した オムニバス作品。 構想に10年を要し 9か月の撮影期間と 多額の予算をかけて製作された。 製作は 1954年に 岸恵子・久我美子・有馬稲子が設立した 「文芸プロダクションにんじんくらぶ」で 小林監督は それまでのリアリズム演出から一転 幻想と妖美の世界を すべてセット撮影で創り上げた。 撮影したのは 京都の郊外

          前代未聞の超大作『怪談』裏話

          人の魂を呑んだ者は・・怪談 (1964)から 「黒髪」「茶碗の中」

          小林正樹監督 脚本・水木洋子 撮影・宮島義勇 音楽・武満徹 この映画『怪談』は ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の 小説から 「黒髪」「雪女」「耳なし芳一」「茶碗の中」の四話を オムニバス形式で描いた作品です。 小林監督、初のカラー作品ですが その色彩の独特な美しさ。 また武満徹さんの 邦楽器を駆使した音調が 国際的にも高い評価を得ました。 今回はその中から 「黒髪」と「茶碗の中」を。 他の二作から比べると 馴染みの薄い作品 なのかも知れませんが ジャスミン(←私

          人の魂を呑んだ者は・・怪談 (1964)から 「黒髪」「茶碗の中」

          ちょっと休憩 「ジャスミンのデンデケデケデケ」

          高校は女子高でした。 2年から3年というと 1964年~65年。 今から ほぼ60年前、と言うとちょっと愕然とする。 長生きしてるわ。 この頃は 日本にビートルズ旋風が ゴーゴー吹き荒れ ベンチャーズの嵐も凄かった。 そして 和製バンドも じゃんじゃん誕生した。 で、私たちクラスの仲間4人組も バンドを結成しようと 意気込んだことがあった。 当時はまだ、 女の子だけのメジャーなバンド というのは無かったのよ。 だもん、 私らみたいなカワイ子ちゃんバンドがデビューしたら

          ちょっと休憩 「ジャスミンのデンデケデケデケ」

          孤高の映画監督 ロベール・ブレッソン スリ (1960) 仏

          ロベール・ブレッソン監督 『抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より』 『バルタザールどこへ行く』『田舎司祭の日記』 『ラルジャン』など・・・ 職業俳優をいっさい使わないという 独特の演出法を確立した ブレッソン監督作品。 あるスリの青年が 犯行と更生を繰り返す 犯罪サスペンス・・ というより 心理ドラマと言えそう。 ブレッソン監督は 寡作ながらも発表した作品は いずれも高評価を得て カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの 三大映画祭などで 数々受賞しています。       

          孤高の映画監督 ロベール・ブレッソン スリ (1960) 仏