四国旅から感じたこと②
私に何を求めてる?
「私を、四国へおいで〜おいで〜って呼んだでしょ?」
って冗談交じりに言ったら頷いた。
そんな言葉をひとつも出さずにラインに観光地の写真をいろいろ送ってきたよね?それっておいでってことだよね?
私の勘違いじゃなかった。
私は大学生の頃のケシじゃなくて小説を書き続けている現在の彼を知りたくて会いたかったけど彼はなぜ私に会いたかったのか?
それは聞けなかった。
で、昔話をした。
私はよく酔っ払ってケシに電話をかけていたらしい。私の愚痴を聞いてくれていたらしい。ぜんぜん覚えてないんだけど。
ケシの部屋でみんなで酒呑んでいたこともあった。私は1度だけ参加したことあるのは覚えてる。たぶんその1回だけだと思うけど、かなり衝撃的だったから記憶に残っている。
みんなで楽しく呑んでいたら後輩のひとりの女子が突然「私のお父さん不倫してる❢」って泣き出したんだ。
そしたらケユ(大学生の頃の私①〜⑨参照ください)がそれに応えるように、
「オレのオヤジもだよ。別宅があるからほとんど家に帰ってこない」
だって。
衝撃だった。不倫なんてテレビドラマだけの世界だと思っていたけど、こんな身近に親が不倫してる人がふたりもいるってことにショックを覚えた。
「ケシは私の部屋に来たことある?」
って聞いたら、ないって。
そうなんだ。
私の部屋に大学の友人知人たちたくさん来て夜な夜な呑んで騒いで大騒ぎして下の階の住人から何度もクレームくらったことあったけど、彼は一度も来たことなかったんだ。だからあまり絡んだ記憶がないんだな。
そのショッキングな話題の呑み会のすぐあとくらいからケシは同級生の女の子と付き合い始めた。それもなんとなく覚えてる。
それは私がシロに捨てられたわりとすぐあとだったのではないかと思う。
だからこれ以降の記憶はほとんどないのだ。
当時のケシの彼女の話もたくさん聞いた。卒業後もしばらく遠距離で付き合っていて、親御さんとも仲良くなって行き来してたみたい。結婚したかったのかも。彼女も何回か四国へ遊びに来たみたい。すごく愛していたんだな。それはものすごく伝ってきた。
結局別れてしまったらしいが。しばらくして彼女の自宅に電話してみたら親御さんが出て、もうここにはいなくて結婚して家を出たとおしえてくれたらしい。
なんだか切ないね。知らされなかっんだ。別れた元カレに結婚するなんて連絡しないか。
遠距離って難しい。人間も動物だから心だけで繋がっていることってやっぱり無理があるのかな。からだの繋がりって本当に大事なんだ。セックスだけじゃない。ハグして触れ合うこと、肌の温もり感じること、そんなこんなが大事なんだ、きっと。
そんな話から、次に私はシロの話をしてみた。
「あいつは初対面で襲いかかってくるような男だよ。今の時代なら強姦とかレイプだよ」
ケシは
「そういう一面もあるってことだよ。オレにとってはいい奴だったから。」
そうなんだ、彼にとっては善き友だちで彼の理解者でもあったみたいだ。どんなにあの男のことを悪く言っても否定しなかった。
じゃあ、もしも自分の愛する人が私と同じことやられてもそれでもいい奴だって思うのかな?
それは聞けなかった。
いずれにしても、もうこの世に存在しない奴のことを恨むのは辞めようって決めたんだった。だからケシがどう思おうと別にいいのだ。
同情して欲しかったわけじゃない。でも私の気持ちも理解して欲しかった。恐怖だったから。そんな事実があったことを知って欲しかったんだ。
だから自分の気持ちを直接伝えることができてよかった。
私の感情は開放してあげよう。
そして、もうひとりの話になった。
シロともっとも仲良かったケユのことだ。
ケユは、私がシロに襲われた夜の数日後にシロと一緒に私の部屋を訪ねてきた男だ。私とシロのことについて本当に何も知らないのか、未だに不思議なんだって話をした。
そういう(女性関係)の話はしないから知らないと思うって。
そうだよな、気づいていたら何かアクショあるはずだもんね?
いつかケユにも話してしまいたい。どんな反応が返ってくるのか想定できないけど。
あまりにもシロと仲良かったから死を認めたくなくてお見舞いにも葬儀にも行ってないって。
私を捨てたあとシロとケユは2ヶ月くらいかけてバックパックでヨーロッパを一緒に旅行してる。卒業前にはインドにも一緒に行ったらしい。
本当に親友だったんだな。
しかし、
そんな男が私を襲ったんだよ。
ケユは同じゼミ生の女の子と結婚した。何も知らずに今ものほほんとしているのがたぶん私は許せないんだ、きっと。
別にケユは何も悪くないとは思うんだけど、シロとケユが私の部屋を訪ねて来なければ何も起こらなかったはず。
だからなぜあんなことしたシロと一緒にヌケヌケと私の部屋に来たのかその理由を知りたい。
そんな大昔のこと覚えてないってきっと言うんだろうな。
私がこのことを覚えているのはこれによってものすごく深くキズついたから。
たぶん同じくらい楽しいこともあったんだと思うけど深くキズついたことしか思い出せないんだ。
愛のないセックスほど破壊的なものはないのかもしれない。
当時21歳の私にはキツ過ぎた。
でも私はそこからたくさんのことを学んだのかもしれない。
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