冷たさを知って、きっと温かくなっていくんだ
成人式に行かなかった、と言うと決まって「なんで?もったいない」と言われる。
私の地元は成人式が行われるのは小学校。行かなかった理由は小学校時代にいじめや嫌がらせがあったからというのもあるし、一番仲が良かった友達は卒業前に引っ越してしまったから地元の成人式に行ったところで今更会いたい人なんていないからというのもある。
成人式という特別な場だからみんな行くんだろうけど、行かなくても成人はする。(当たり前)
成人式に行きたいと思う人は、会いたいと思う人がいるということだ。
めちゃくちゃ良いことだと思うし、地元という必ずしも自分で選ぶことができないコミュニティでそう思える人に出会えているなんてすごいことだし、心底うらやましい。でも、私はそう思える人に地元では出会えなかっただけの話。
毎度いろいろ説明するのも面倒だし、「なんとなく」とか正直に「別に行かなくてもいいかなと思って」と笑ってごまかしながら答えるとだいたい「え~、冷たいなぁ」なんて言われたりする。
冷たくさせたのは、誰だ?
正直、冷たいと思われてもいい。でも人に対して冷たくしたいわけでは全くない。
地元で経験したことは、周りのみんながいい人だと思ってた10歳の私の考え方を180℃変えてしまった。
どれだけ仲良くなっても「でもこの人もいつ居なくなるかわからない」と心のどこかで思ってしまうのはそういう冷たさを経験したからだ。
でも冷たさを知っているからこそ、大事な人たちにとっては心から安心できるような温かい人間でありたいと願う。
私の周りの温かい人たちは、これまでたくさん人の冷たさに直面してきた人たちだ。こんなに素敵な人たちがどうしてそんな思いをしなければならなかったんだろうって思うけど、たくさん苦しんで、もがいて、流した涙が今の包みこむようなやさしさにつながっているんだと思う。
もちろん、つらい思いなんか惨めな思いなんか誰もするべきじゃない。誰にもしてほしくない。
でも人間は冷たさを知って、本当の意味で温かくなっていくのかもしれない。
でも温かさを知らなければ温かさが何かも分からない。
まだ目の前の人にとって何が本当の温かさや優しさになるのか、ときどき分からない。でも温かさを持って接したいって気持ちだけは忘れたくない。