老舗企業のリブランディングの話
世の中の状況が目まぐるしく変化する中で、多くの企業が直面している課題が、消費者の固定化されたパーセプションをどう変えていくかだ。
2024年1月、120年以上の歴史を持つ東洋インキSCホールディングスが「artience」(アーティエンス)へと社名を変更した。
同社は、顔料や樹脂の設計技術や分散技術を強みに世界24の国・地域で事業を展開し、スマートフォンや電気自動車などに使われるリチウムイオン電池用材料を製造するほか、大ヒットした生ジョッキ缶の内面塗料を開発するなど高い技術力を誇っている。
120年以上続く企業だからこそ、企業としての堅実さや信頼感は獲得できていたが、その一方で「あまり挑戦しない」「リスクを取らない」というイメージも生まれつつあった。そういったイメージを払拭するためにも、社内外に変革の強い意志を伝えることがリブランディングの目的だった。
企業のコミュニケーションによってブランドは周知され、消費者の経験や口コミ、メディアの影響によってそのイメージは固定化していく。ただ、世の中の変革スピードがどんどん上がっている昨今、市場動向や消費者の移ろいゆくニーズやインサイトに合わせてブランド価値を高め続けていくことが企業の存続に強く影響していくのは間違いない。