いまある経営資源の中で、商品やサービスの便益を生み出す “新”発想!!
ヒューストン空港の事例
これはアメリカにテキサス州にあるヒューストン空港の実例です。
この空港では到着後、荷物受取所に荷物が出てくるまで10分以上待たされるので、乗客からの苦情が絶えませんでした。
そこで考え出したのが、バゲージ・クレームのスタッフを増員してスピードアップする方法でした。その方法を採用したところ、10分の待ち時間を8分に減らすことに成功しました。
しかし、苦情はまったくといっていいほど減りませんでした。
そして最終的、空港で乗客の行動を観察して導き出したのは、荷物の処理時間を減らすのではなく、「待っていると感じる時間」を減らすという解決策でした。
乗客が飛行機を降りてから、わざと遠回りするように到着ゲートから、荷物受取所までの通路をデザインし直したのです。人は歩いている時間は「待たされている」とは感じないだろうという仮説を導いたからです。
その結果、乗客は荷物受取所まで約6分歩き、到着するとたった2分待つだけで荷物が出てくるようになり、苦情はほぼゼロになりました。
出展:感性思考
限られたリソースの中で、便益を生み出せ
ヒューストン空港の事例のように、荷物処理時間を減らすことこそが顧客便益になるだろうという思い込みのもとに、その便益を確保することに注力した結果、中途半端な便益しか提供できないと望んだ成果を出すことはできません。
ここで大切なことは、荷物処理時間を劇的に減らすことで強力な便益を確保できればばそれがベストですが、それが難しい場合には、物事のミカタを変えてみることで便益を確保できることもあるということです。しかもリソースを割かずにです。
つまり、荷物処理時間で問題になっているのは、待つことによるイライラ感であって、そのイライラ感さえ感じさせなければ、荷物処理時間そのものを減らさなくても便益は確保できるのです。
ヒューストン空港は、顧客の体験や感覚にアプローチして、限られたリソースの中で、より良い解決策やアイデアを導き出したのです。
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