カナダ在住イタリア人女性の憂鬱
青い瞳が太陽の光で、緑色に変わる。 近くのスーパーで買ったサラミの切れ端を見て彼女はとても悲しそうな顔をした。 そして、一切れのサラミを細長い指が掴み上げる。
“This is sad”
…
Airbnbで半年分の家を予約し、すぐにイタリアに帰るつもりだった彼女はもうカナダにきて2年経つらしい。 「ボスに騙された」と言いながら、彼女お手製のボール一杯のティラミスをスプーンで掬って食べ始めた。
イタリア育ちの彼女はアメリカンティラミスは甘すぎるらしくいつもティラミスを自分で作るらしい。
そんな甘すぎるアメリカンティラミスが嫌いな彼女が作るティラミスはビターチョコレートを使っているので、ほんのり苦い。
ティラミスのレシピを語りながら、食の楽しみ方を語る彼女は私の想像するイタリア人そのものでした。
そんな彼女だからこそ、ワインとチーズ、ハムをカナダで買おうとすると高すぎることを本当に残念そうに語ります。そして、ここで買ったハムもチーズも新鮮ではないと愚痴りながら、最近タバコを控えているという彼女のタバコを吸う手は止まりませんでした。
イタリア人はとにかく食事の時間を大切にし、料理を人に振る舞うのが大好きです。そして、自分にも新鮮で美味しい食事とワインを楽しむ時間を与えるそうです。
「カナダの人はとても優しいし、フレンドリーだけど、職場でしか交流がないのよ。変だと思わない」
と話す彼女はとても悲しそうでした。「本当は同僚とブランチやお茶をしたり、食事を楽しんだり、ホームパーティをしたいのに、夕方にはすぐに家に帰ってしまうのよ!」と叫ぶ彼女。
「私はどうしてもここのモッツァレラチーズが食べれないは、噛んでも味がしないし、食感がガムみたいなのよ!信じられる?」
「少しのワインと美味しいチーズとハムを楽しんでタバコを吸って何が悪いの。これが人生じゃない!?」
と語る彼女を見ていると、みんないろんな形で文化の違いを感じているんだな、海外に来て苦労しているのは日本人だけではないんだなと励まされました。
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