姓が変わるということ
結婚してまもなく1年になる。
私の姓が変わってまもなく1年になる。
結婚に際してどっちの姓を名乗るか、私たちはあまりちゃんと話し合った覚えはない。
私は探せば見つかるくらいの姓で、夫はちょっとレアな姓だった。
先祖には申し訳ないが、「田」のつく私の姓は正直あまり気に入っていなかった。
結婚後は夫の住む県に私が移住するのは決まっていたから、夫は仕事が変わらず、私が仕事を変わる予定だった。仕事が変わらない方の姓が変わるのは不便だろうな、と思っていた。
長女×次男の結婚だったから、まあ私が家を継ぐという道もあったのだろうが、先に挙げた諸々の理由から、結果として夫の姓を2人で名乗っていくことになった。
今の私のフルネームは気に入っている。
改姓しなきゃいけないなら事実婚を選ぶ、というほど自分の姓にこだわりもなかった。
だけど、結婚した当初は慣れない姓で呼ばれるのに違和感があった。
自分が呼ばれているのに、自分じゃないような変な感覚。
大人になるとまあまず下の名前で呼ばれないから、その違和感はあらゆるところで感じた。
それに、諸々の手続きも本当に面倒だった。
思い出せないくらいの量の書類を書き、数えきれないくらいの機関で手続きをした。
それなのに、免許証もマイナンバーカードも備考欄に新しい姓が小さく書かれているだけで、氏名欄には未だに旧姓がしっかりと書かれている。
更新まではあと何年もあるから、しばらくは旧姓が表に書かれたままだ。
教員免許は旧姓のままで有効だが、就職などで次に使うときには戸籍の写しが必要になるという。これもなんだか面倒だ。
私の名前ってなんなんだろう。
改めて、そんなことを思わなくもない。
姓が変わるのが嫌で結婚ができなかったり、事実婚を選ばざるを得なかったりする人の気持ちが、少し想像できる。
自ら選んで姓を変えた私でさえ、不便や違和感を感じるんだもの。
変えたくないというのはワガママなんかじゃない。
名前、名前、私の大切な名前。
私を他と区別するもの。
「姓」が、「名前」が、もう少し尊重される社会だと嬉しい。