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パワークリーンの教科書


みなさん、
手にとっていただきありがとうございます!
ストレングスコーチのMOCCHYこと持田祥太です。
リフティングを広めたい!
アスリートのパフォーマンスアップにクリーンを役立てたい!
そんな思いでこの記事を書いてます。
僕の野望は「アスリート全員クリーン100キロ」です!
SNSで理想的ではないフォームで高重量を上げてるアスリートをたまに見ます。より適切なフォームを身に付けることで、トレーニング効果を倍増できると信じています!

自己紹介
アメリカンフットボールを10年間プレー
アメリカでクロスフィットを始めて、ウエイトリフティングにで出会う。
クロスフィットの本番アメリカで指導経験を積んで日本に帰国。
現在はストレングスコーチとして
・クロスフィット大宮
・Gritnation@渋谷
で指導しながら、
中央大学男子ラクロス部等の学生チームや個人アスリートにトレーニングのサポートしている。
インスタグラム@double_barbell_performaneを運営。
クリーン講習会、トレーニング指導はインスタグラムより随時募集中。


この記事は
「競技力向上のためにクリーンをしている」
「クリーンをやっているけどうまくいかない」
そんな方へ向けた辞典的な指南書です!
特に
・重量が上がらない
・フォームがわからない
・パフォーマンスアップしない
そんな悩みを抱えたときに解決策やヒントを提供します!

SNSでいろんなドリルやエクササイズは発見できると思いますが、
なかなか細かいエラーや修正方法が書いてあるものはありません。

今回は
・クリーンのメリット
・クリーン習得に必要な基礎種目
・目的別セット数x回数
・段階練習方法
・良くあるエラーと修正方法
・見るべきポイント
・エクササイズライブラリー
を解説していきます。

クリーンのメリット


そもそもクリーンやるメリットってでしょうか?
クリーンはクイックリフトと呼ばれるもので、
バーベルを爆発的な加速を用いてリフトすることにより、
様々な競技スポーツで最も重要な【瞬発力】を強力に高めることができます。クイックリフトを用いて【瞬発力】を高めることにより、競技パフォーマンスが向上します。

パワークリーンを取り入れることで期待される効果でよく言われるものが、
多くのスポーツの場面で見られるトリプルエクステンション(足首、膝、股関節の伸展)を鍛えられることがあげられます。
またエクステンションだけでなく、トリプルフレクション(足首、膝、股関節の屈曲)も同時に鍛えられます。これはジャンプの着地の時の姿勢と同じであり、エキセントリック・コントロールといってフォース(力)の吸収能力の向上することと言われます。
この衝撃を吸収するの能力が向上することで着地や減速でのパワー発揮が向上し、スプリントやアジリティの能力向上につながります。
切り返しが苦手というアスリートの多くはこのエキセントリックの局面で力を発揮するのが苦手なパターンが多いですが、パワークリーンではそのような弱点も鍛えられます。(僕がまさにそうでした)

まとめると
・RFDの向上
・筋の動員の向上

・ジャンプ力向上
・スプリント能力の向上
・方向転換能力の向上
・全身のコーディネーション能力向上
・体組成の向上

などが見込まれます。

更には、
最適なスタートポジションを作る、落ちてくるバーベルをキャッチして受け止める動作により
・柔軟性
・安定性
・可動性

などの基礎運動能力も鍛えられます。

賛否両論ありますが、
個人的には基礎運動能力がないとできないが、
やっていくうちに基礎運動能力が育ってくる
とも考えられるので、是非多くのアスリートや運動愛好家の方にチャレンジして、自分の可能性を広げてほしいと思います。

クリーンのメリットばかり話してきましたが、クリーンのデメリットとは何でしょうか?
それは
・スキル修得に時間がかかる
・手首などケガのリスクが伴う
・柔軟性や可動性が必要
・コーチング受けるリソース(場所、コーチ)が少ない

があげられます。

それでもやってみる価値が僕はあると思っています。
なぜなら今までにやったことない動きをすることで、
体が進化してくからです。

クリーンのフェーズ

クリーンには大きく分けて5つのフェーズがあります。
これらを知っておくことは指導者・アスリートともにクリーンするうえでとても大切です。なぜならば、フェーズごとに意識することやトレーニングにおけるフォーカスが変わるからです。

出典:Characteristics of the Shrug Motion and Trapezius Muscle Activity During the Power Clean https://www.semanticscholar.org/paper/Characteristics-of-the-Shrug-Motion-and-Trapezius-Nagao-Ishii/59878170d19ed37eac5a6485c9a716af2c04c536  2024,08.31



スタートポジション
・足を腰幅と肩幅の間に開き、つま先をわずかに外側に向けて立ちます。
・腰を肩より低くしてしゃがみ、肩幅(またはわずかに広め)の回内グリップでバーを均等に握ります。*親指の距離分をふとももから図ってもよし。
・肘を完全に伸ばして側面に向け、腕を膝の外側に置きます。
・バーをすねの前の約 1 インチ (3 cm) の母指球の上に置きます。  
・胴体、腰、膝、バーの正確な位置は、リフターの身体部分の長さと下半身の関節の柔軟性に関係します。

セットアップ


1stプル(ファーストプル)
・腰と膝を力強く伸ばす
・床に対して胴体の角度を一定に保ち、
・腰が肩よりも前または肩より早く上がらないようにして、背中のアーチを保つ
・頭を背骨と一直線にし、肩をバーの上かバーよりわずかに前にして、肘を完全に伸ばした状態を維持したまま膝までたつ
・バーをできるだけすねに近づける
・バーベルは上向きに加速するときに、太ももの上にスライドするか、太もものすぐ近くに留まる必要があり(体の近くを通る)

ファーストプル


移行(トランジション)
・バーが膝のすぐ上まで上がったら、膝をスクープしながら、腰を前に持ってくる
・膝を曲げながらスクープするときに、かかとを床につけたまま、靴の中で体重を足の中央に向かって前方に移動します。
・背中を中立かわずかに反らせた状態を維持し、肘を完全に伸ばして側面に向け、肩をバーの上またはわずかに前方に置き、頭を背骨と一直線にします。
・トランジションの終了時に、 バーベルはセカンドプル (パワーフェーズ) の位置にあります。

トランジション

2nd プル(セカンドプル)
バーを膝と太ももの真ん中の間に当てたこの位置から、腰、膝、足首を力強く素早く伸ばして セカンドプルを開始する
・バーはできるだけ胴体の近くを通過する必要があります。
・肩をバーの上に置き、肘をできるだけ長く伸ばしたまま、腰、膝、足首を伸ばします。
・下半身の関節が完全に伸びたら、肩を素早くすくめる
・肩が最高の高さに達したら、肘を曲げて体をバー体の近く通しながら引き上げる
・肘を上と横に動かしながら、腕をできるだけ高く、できるだけ長く引っ張り続け
・トリプルエクステンションによる上向きの勢いにより、胴体と頭は直立またはわずかに過伸展し、踵なしいし足が床から離れることがある

セカンドプル

ターンオーバー・キャッチ
・パワークリーンのキャッチフェーズは、バーを三角筋前部と鎖骨にあててフロントラックポジションで持つ。
・セカンドプルはバーが最大の高さで終了するので、手の中でバーを回転させて、肘と腕でバー引き上げたまま、体を引き込み、クォータースクワットの位置まで下がる。
足は、開始位置と比較してわずかに広いスタンスで床を再度蹴るって着地。
頭を前に向けて、  
首は中立かわずかに過伸展、
手首が過剰に伸びている、
肘を完全に曲げた状態、
上腕は床と平行になり、
背中は中立かわずかにアーチ型、
足を床に平らに置き、
足の中央に体重がかかります。

バーは、胴体をほぼ完全に直立させ、肩をお尻より少し前に出して握る必要があります。この位置は、フロントスクワットの下降動作の開始時の体の位置と平行であり、バーを重心の真上に置くことができます。
胴体が直立しすぎると、バーの勢いで肩が後方に押され、腰が過度に伸展してしまい、怪我の危険性が高まります。
コントロールとバランスを確立したら、完全に直立した位置まで立ち上がります。

キャッチ

クリーンを習得に必要な種目

次はクリーンを始めるために必要は基礎的な種目を説明してきます。
これに関してはNSCA発行の機関紙:機関誌2021年5月号:2021年5月号 「青少年アスリートのウエイトリフティング能力を育成するための長期的アプローチ」という記事に詳しく載っていますので、是非参考にしてください。

出典:NSCA 青少年アスリートのウエイトリフティング能力を育成するための長期的アプローチ 

クリーンのメインの動作としては以下があげられます。

トリプルフレクション・エクステンション
これはつまり、
3つの関節(足首、膝、股関節)の曲げ伸ばし
です。
これが入っているのでクリーンは爆発力、瞬発力を鍛えるといわれます。
ジャンプも一緒ですね。

このトリプルフレクション、トリプルエクステンションを構成する動作要素として
①スクワットとヒンジ →膝主導vs股関節主導
②シュラッグ →パワーの伝達
③ハイプル →トリプルエクステンションの完成
④キャッチ →身体の剛性
があげられます。

上記をマスターするために特に初心者の方、そしてチームでクリーンを導入する前段階のトレーニングで絶対にやっておいた方が良い種目を5つ紹介します。

①バックスクワット
②フロントスクワット
③デッドリフト(RDL)
④シュラッグ
⑤ハイプル


この5種目の理解があると
特に初心者はクリーンの習得が加速するので、
名前をいわれて、動作のポイントを理解して、すぐできるレベルまでやり込むことをオススメします。

バックスクワット 8回x3セット
目的:トリプルフレクションートリプルエクステンションの獲得、下半身の基礎筋量・筋量アップ
クリーンの強さはバックスクワットの強さに比例しているといわれる
注意点:ハイバーを推奨

フロントスクワット8回x3セット
目的:クリーンのキャッチポジションの獲得、下半身の筋力アップ
注意点:肘を高く上げすぎて、背中の筋肉を動員し過ぎない(背中と腹筋のバランスを意識)

デットリフト(RDL)8回x3セット
目的:ヒンジ(股関節の屈曲)の獲得、ハムストリング、臀筋、上背部の筋力アップ
注意点:体重を後ろにかけ過ぎて、腰に負担をかけない

シュラッグ 5回x3セット
目的:上半身のプルトレーニング、セカンドプル初期における、鉛直方向へのパワーの伝導
注意点:肩の方向(まき型でシュラッグしない)

ハイプル5回x3セット目的:バーべるを引き上げるきっかけ,セカンドプル中のスピード、ストレングス、バランス
注意点:高く引き上げることをゴールにしない、あくまでもクリーンの動作中のパワー発揮を意識

クリーンをパフォーマンス向上に繋げるエクササイズ
グットモーニングプレス

*ヒンジ+鉛直方向への力の伝達(股関節の上方向に固定してパワー発揮)

山本俊樹さんのセミナーで知ったこのエクササイズ。
日本ウエイトリフティング協会もこちらのエクササイズを使って指導しているという噂を聞きました。
ヒンジから、上体を起こしつつ、股関節を上方向に決めつつ股関節を伸展させてパワーを伝える感覚を養うのに非常に有効なエクササイズです。
クリーンがある程度できるようになった方も床を踏んで押しながら、上に伸びるというのを実感できるのでオススメです。
動画:

リフティングピラミッド

アメリカ人コーチ WIL Fleming氏が提唱する、パフォーマンスピラミッドならぬリフティングピラミッド。これを知ってくことで、リフティングにおける基礎がわかり、どのような練習をすべきかが見えてくる。
例えば、多くのアスリートがポジショニングをキープする姿勢を保持する力がないことでリフティングがミスするor伸びないことがあります。
もしくは、ファーストプルからトランジションの動作がスムーズでないために、そのあとのセカンドプルがうまくいかないなどのパターンもある。その場合は
ポジショニングを確認して、ムーブメントとしてつなぎ目を無くした動作にした時に、エラーがないか確認すればよい。そこにエラーがあれば、ポジショニングを練習するようにもムーブメントとして練習しないといけないなど、応用して使えます。

リフティングピラミッド

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