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中国人妻の地元を訪ねて③〜中国の祖父母と過ごした日々と進撃の酒鬼〜

2023年8月末〜9月上旬にかけての2週間、妻の地元・中国江蘇省に帰省&ホームステイしたので滞在記シリーズとしてnoteに更新しています。
まだここまでの日記を読んでいない方はぜひこちらもご覧ください。

今日は江蘇省鎮江編第二段ということで、前回嵐のような初日を終えて、2日目は妻が地元の映えスポットに女性陣で出掛けてしまい、お呼びでない私は実家の祖父母の家にポツンと残されたというところまでお話ししました。

おじいちゃんと公園の歌劇サークルへ

昨晩酔っ払ってしまい午前中ぐっすり眠っているパパ。早起きのおじいちゃん、おばあちゃんと居間で三人。方言がわからない私は半分聞き取れない中でおじいちゃんと中国地方文化の話題で盛り上がります。中国各地には土地柄を反映した様々な歌劇があり、北京なら「京劇」、浙江省には「越劇」があったり。江蘇省にも地元ならではの歌劇があり、実は退職しているおじいちゃんも昼時に公園の公民館で行われている歌劇(唱戏)によく参加しているとのこと。中々そんな経験できないので思い切っておじいちゃんに一緒に連れてって!と頼むと「興味があるのか?」と嬉しそうに快諾。寝起きのパパも一緒について来てくれました。

「ミニバス」と書かれた可愛い電動三輪車でゆっくり出かけるおじいちゃん 
後ろを徒歩でついていきます。

ほどなくして公園内にある公民館に到着すると地元の高齢者の方が五十人くらい集まっていて、おじいちゃんも「オス!」って感じで挨拶周り。みんな顔見知りのようです。真ん中ではおそらく素人のおじさんが民族楽器の伴奏に合わせて熱唱していました。スナックのカラオケ感覚でしょうか。その後、おそらくプロの歌手と思わしき女性が歌劇を熱唱。伸びのある美声+リズムに合わせた演舞も入り、会場は熱気に包まれて大きな拍手が送られます。

歌劇の様子

会場を出た後にパパが説明してくれましたが、中国では受験戦争の加熱や若者の就職難も社会問題だけど、より深刻なのは高齢者の働き口が少ないこと。中国の定年は男性で 60 歳、女性は非管理職が 50 歳、管理職が 55 歳となっており、ここまでに一生分稼がないといけないプレッシャーもありますが、同時に退職後に「やることがない!」と生きがいを失ってしまう人が多いそうです。前回の記事でも書きましたが、退職後の祖父母が孫の面倒を見るというのが一つのモデルケースになっています。

こうした社会背景もあって、中国の高齢者は実に多趣味です。この歌劇サークルもそうですが、道端で中国将棋(象棋)や麻雀、トランプゲームなどをやっている人も多いです。

お粥ばっかり食べているおばあちゃんが心配・・・

実家のアパートに戻ると、テンションが上がったおじいちゃんが中国伝統文化の話から地方ごとの特色の話題で熱のこもったトークを繰り広げます。
おじいちゃんは僕のことを結構気に入ってくれたみたいで「こんなに黙って話を聞いてくれる子は初めてだよ」と。まあ方言で半分理解できてないのですが…日本で培った相槌スキルがこんなところで発揮されたようです。

そして一日一緒にいるのでおばあちゃんとも少しずつ会話が捗るようになり、今の悩みを聞いたところとにかく食事が辛いことだと。胃腸を悪くしているのでお粥が主食という感じで、せっかくの美味しい中華料理もほとんど食べることができません。私は今度再訪する時には日本の美味しいお茶漬けやふりかけを持ってくるよ!と約束すると「ホッー(標準語の「好」オッケーという意味)」とにっこり微笑んでくれました。

こうして、途中妻との南京旅行を挟みつつ、4日間鎮江で過ごしましたが、人間に備わった環境適応能力というのは侮れないもので、私もだんだんおじいちゃんとおばあちゃんが話す方言が聞き取れるようになってきました。

そして鎮江を出発する前日、親戚一同の盛大な食事会が行きつけのレストランで開かれました。

白酒の魔王”ダーイーフー”降臨

食事会参加メンバーは私たち夫婦と妻の妹・両親はもちろん、姑姑(パパの姉)、姑夫(その夫)、姑姑の娘、パパの幼馴染のおじさんとその妻、大姨夫(妻の一番上の姉の夫)、そして爷爷(おじいちゃん)と総勢12人。おばあちゃんは実家でお留守番です。

ここで登場するダーイーフー(大姨夫)という人物が、この先波乱を巻き起こすキーマンになっていく事はこの時は知る由もありませんでした…妻の母は四人姉妹で一番上の大姨娘(ダーイーニャン)の夫がダーイーフー。自宅は江蘇省淮安市という場所にありますが、建設会社に務める大工さんで鎮江に出張して仕事をしています。筋骨隆々でシュっとした表情。THE職人という感じの面持ちで、訛りはありますが標準語での会話もある程度通じるので直感的にこの人とは仲良くなれそう…と感じました。

宴席が始まる前に、パパから「今夜は酒好きのメンバーが集まってるから、男性で一番若いあなたからお酒に誘わないとダメ。それ中国のルール」と仕込まれました。幼馴染のおじさんは酒を飲みすぎて体を壊しているので「俺は酒のせいで脳梗塞やっちまってココナッツジュースしか飲めない体になっちまってなぁ〜ガハハハ」と穏やかでない宣言がありましたが、ダーイーフーもグーフー(姑夫)も大酒飲みという事で、私の方から積極的に50度の蒸留酒「白酒」で乾杯していきます。すると「日本からやってきていい度胸だ!今日はとことん飲もう!」となり、笑顔に包まれ盛り上がる宴席。

パパは私にこっそり日本語で「わかる?これが家族の絆」と竹中直人さんのようなダンディーな表情を浮かべ白酒を飲み干します。カッコいい!

後半に差し掛かると徐々にダーイーフーに火がついてきます。やたらと乾杯のペースが早い。グラス一気飲みの乾杯は標準語で「干(ガン)」もしくは「干杯(ガンベイ)」というのですが、江蘇省の方言では「ゲェ〜」と独特の発音になります。ダーイーフーは遠路はるばるやってきた私とパパにロックオンして「ゲェ〜」を連発してきます。

私もかなり酔っ払いますが、ギリギリ正気を保ったまま二次会のカラオケへ。途中のタクシーでパパがついにリバース・・・横からすっとエチケット袋を差し出すママ・・・さっきまで竹中直人ばりのイケメンだったのに・・・このちょっと抜けてるところがパパの可愛さでもあるんですが。酔い潰れたパパは実家へ緊急避難、カラオケに興味のないダーイーフーらは帰宅。女性陣多めのカラオケで必死にタンバリンで盛り上げる私もそこそこ限界で、翌朝の二日酔いは強烈でした。

祖父母との別れ

丸4日間にわたる鎮江でのホームステイを終えて、次に向かうのはママの故郷「揚州」。お世話になったおじいちゃんとおばあちゃんと別れの時がやってきます。

おばあちゃんが重い腰を上げて私の袖を掴み「行ってしまうの?また会えるの?」と言われた時は私もウルっと来てしまいました。おじいちゃんとも「また会おう」と力強く握手。ウルルン滞在記の別れ際ってきっとこんな気持ちになるんだろうなぁ・・とか

その後、妻からテレビ電話の使い方を教わったおじいちゃん
今でも時折電話をかけてきてくれて妻と一緒に近況報告しあっています

次回は揚州編
郷愁あふれる田園風景の中で出会った素朴な人々との交流
そして暴走するダーイーフー
乞うご期待!

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